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TGS2004仕事日誌
 
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毎年秋(大体9月下旬ですね)にはTGSこと東京ゲームショーが開催されます。
独自のイベントを開催する任天堂を除き、国内のほとんどのメーカーが出展するこのイベントは、国内で開催されるゲーム系のイベントではおそらく最大級のものです。

ここ数年はゲーム史上の縮小やそれに伴うメーカーの倒産・撤退などで出展社数が減少傾向にありましたが、ここにきて、アジアや北米の有力メーカーやビデオボードメーカー、携帯コンテンツの増加に伴う携帯関連メーカーの進出、さらにはゲーム系の学科を持つ専門学校も多く出展するようになり、結果として例年にない大規模なイベントとなりました。

私の所属する会社も当然ながら出展しており、私の携わっているタイトルも出展している関係上、私もスタッフとして参加する事になりました。

準備からイベント開催までの流れを簡単なレポートとというか日誌形式にまとめたので、お暇ならどうぞ。


・2004年9月上旬:出品決定と前準備

およそ一ヶ月前、現在開発中のタイトルをTGS2004に出展する事が決定しました。
とは言っても、このタイトルは会社を代表するタイトルのひとつでもあり、開発状況や発売時期を考えると、TGSへの出展は最初から決まっていたようなものです。

開発中のタイトルをイベントに出展する場合、ほぼ例外なくイベント専用の特別バージョンを制作する事になります。
購入後に家でプレイするのと異なり、ほんの数分、長くても十数分しかプレイできないTGSにおける展示において、複雑な操作が要求されるようなシーンや長ったるいスキップ不可のイベント・ムービーは省き、単純明快に遊べて、それでいてそのゲームの面白さをお客様が味わえるような内容の特別版を制作しなければいけません。

なお、こういったイベント用の特別版を制作する期間はスケジュールに組み込まれていない事が多く、大抵の場合は夜とか土日とかを潰して制作する事に・・・  いいかげん、こういった体質は改善されないかなぁ、と毎年毎年思っているのですが!


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・TGS直前:打ち合わせ

さて、バグチェックとバランス調整を経てTGS用特別版も無事(?)完成し、いよいよTGSの開催が目前に迫ってきました。 みなさんもご存じのように、TGSは金曜の業者日と土日の一般公開日の計3日間で開催されます。
私は一般公開日に自社ブースにおいて接客対応する事になり、その打ち合わせが行われる事になりました。

どのような事を打ち合わせるのかというと、まずは基本的な業務内容である接客対応に関する内容の確認です。
出品中のタイトルに関する説明(内容、発売日、対応ハードとか色々)ができるように各項目を確認するのですが、自分は知っていてもTGSの時点では一般客には教えてはいけないような事もたくさんあるので、それらをうっかり喋ってしまわないように注意する必要があります。 また、時には質問ではなく、ユーザー(たまに株主!)からの叱咤激励がある事もありますので、それらに対する対応の仕方も重要です。

さらに、長時間プレイしたり順番無視や順路逆流をしてくる「困ったお客様」に対する対応の仕方や、果ては迷子・急病人が出た際の対処の仕方など、やる事・覚える事は多種多様です。
純粋に大変な仕事ですが、逆にこれらの事にしっかりと対処できないと、出展社としては失格なのです。


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・TGS当日:いざ出陣!
金曜の業者日が終了し、いよいよ一般公開日が明日に迫りました。
既にニュースではイベントの模様が大きく取り上げられており、一般日に向けての徹夜組もいるようです。
この徹夜組の方々は、おそらく声優イベントの整理券やTGS限定グッズの確保を目指しているのでしょうが、くれぐれもマナーと健康管理に気を付けてほしいものです。

さて、7時に起床した私は軽くシャワーなど浴びまして容姿を整えて出陣!
途中の駅で立ち食い蕎麦を食べて腹ごしらえをします。(仕事の性格上、もちろんネギ抜きで)
移動中の電車の車内では、これからTGSに向かうと思われる人々の姿もちらほら・・

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・会場到着:最終打ち合わせ
イベント開始およそ45分前に会場である幕張メッセに到着し、関係者入り口より入場。 そのまま自社ブースに直行して出欠確認の後にスタッフ用の衣装(衣装と言っても社名ロゴの入ったTシャツみたいな物ですが)をもらいます。
そしてスタッフ用の更衣室に行って着替えたら再び自社ブースに行き、そこで担当ブースの他のスタッフと落ち合い、業務内容の最終確認を行います。

メインステージではイベントに出場する声優さんや司会進行担当者が最後のリハーサルを行っており、他のブースを担当するスタッフや接客対応のコンパニオンさんも続々と集結。 しばらく後に全体朝礼が始まり、注意事項の確認等が終わると、いよいよ開場10分前。 それぞれが持ち場に散らばってゆきます。
これからここは、まさしく「戦場」になるわけです。 大げさなようですが、TGSってば凄いんですから!

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・開場! 始まった戦い
「ただいま開場しました〜」とのアナウンスが流れると、1分もしないうちに「ドドドドドド」という足音を響かせながら来場者が入場してきました。 入場というよりは「突進」という表現が合っているような勢いで、それぞれ目的のブースを突撃してきます。 ある者はイベントの整理券を目指し、ある者はお目当てのタイトルを、そしてある者は限定配布品を、さらにある者は限定品を求めて物販コーナーへ・・・ もしかしたら緊急事態でトイレに向かっている人もいるかも。

この時、出展している側の人間として一番悲しいのは、入場してきた人々が自社ブースを素通りして行く事ですね。
そして隣の他者ブースに行列でもできはじめた時には、例えがたい屈辱感・敗北感に襲われるのです!(笑)
まっさきに行列のできるタイトルをどれだけ準備できるかどうかがTGS、ひいては発売時の売り上げにおける勝敗を分けると言っても過言ではないでしょう。
もっとも、イベント整理券や限定配布品だけでしか人を呼べないようなタイトルでは、発売日に悲惨な結果になるのは目に見えています。

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・激戦開始! 接客対応
私が担当するタイトルにもさっそく人が集まり始めました。(この瞬間、ホッとすると同時に戦いが始まるわけです)
今回は注目タイトルという事もあり、10台以上の試遊台を準備しましたが、瞬く間に埋まり、しかも順番待ちの行列もできました。(ちなみに、ゲームの内容にもよりますが、大抵30分から1時間程度の行列になります。)

このタイトルが続編物という事もあり、軽やかな手つきでプレイする人もいれば、初プレイなのか、操作にとまどう人もいます。 一応各モニターの前には操作説明が書かれたパネルがありますが、サイズもあまり大きくないので、この辺は要改良でしょう。 貴重なプレイ時間を操作説明の確認に取られるのはもったいないでしょうから。

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・早速出た! 困ったちゃん!

開場して1時間も経たない頃、早くも「困ったちゃん」が出現!
思いっきり列を逆流してくる人もいれば、大胆にも二度目のプレイをしようとする人も(この場合の「二度目」とは、いったんプレイを終えた後に並び直すのではなく、そのままぷれいを続行する事を指す)。
こういった方々は丁重に並び直していただかねば!

今回の対応で一番困ったのは、プレイしながらゲーム中のキャラの台詞を一字一句漏らさずに大声で復唱し始めた人ですか。 別に悪い事をしている訳ではないのですが、いかんせんビッグボイスだったので困りました。


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・つかの間の休息:昼食を取れ!
今回は試遊台の数の割には担当スタッフが少なく、ローテーションも30分休んでは90分対応というような忙しいものでした。 私の休息時間はちょうどお昼時に回ってきましたが、この30分の間に昼食をすませないといけません。

30分と言うと、結構十分な気がしますが、大混雑の会場を縫うようにして隣のホールの隅の飲食コーナーまで移動し、行列に並んで食べ物を購入して、今度は2ホール離れたスタッフ控え室まで移動して食事し、後かたづけなどをしなければならず、実際30分ではギリギリです。 そして食べ終えたらすぐさま担当ブースへ直行です。 まさに息つく暇もありません。

休息時間になるとすぐさま移動を開始し、大混雑のホールを突破し、並み居るコスプレイヤーの間を掻き分けて隣のホールへ突入、そのままホールの対角線上にある飲食コーナーへ行き、列に並んで購入。 もはやメニューを選んでいる余裕など無く、目の前にあったオニギリや焼きそばなどを適当に購入してすぐさま折り返し、再びコスプレイヤーを横目に「寒くないのだろうか」などとどうでも良い心配をしつつホールを突破してスタッフ控え室へ。 既に食事を終えた他のスタッフが死んだように寝ているのを見つつ、私も急いで食事をします。

食事が終わって時計を見ると、交代2分前。 いやはや、ギリギリでした。
というか、今度から食事は購入してから行きましょう。 失敗しました。

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・疲労のピーク:足が、足がぁ〜
午後4時過ぎ、ラスト1時間を切った頃には、既に足腰が悲鳴を上げています。
足腰だけでなく、意外と肩が凝るんですね、これ。 手を後ろに組んだ状態でずっと立っているからでしょうか。
とは言え、一時間以上も並んでプレイしてくれる来場者の事を考えると、これくらいでヒーヒー言ってる場合ではありません。 もう一息です。

プレイが終了したお客様には真心を込めてお礼を言い、悲鳴を上げる足腰にはソッとストレッチを・・・
ふと自社ブースを見渡せば、あふれんばかりの人・人・人。
この混雑ぶりは嬉しい反面、もう少しアメニティを向上させねばいけないでしょう。 さすがに窮屈です。
 

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・午後5時:戦い終わって・・・

展示終了となる午後5時がやってきました。 長かったようで、あっと言う間にも感じた8時間です。
対応したお客様の数は覚えていませんが、楽しそうにプレイする様子を見た時が一番嬉しかったですね。
これが辛い仕事への励みになるってものです。

しかしながら、混雑して移動も困難なブースレイアウトや、長時間待たないとプレイできない点、さらには身障者への配慮不足など、今後改善すべき反省点は多数見受けられたのもまた事実。
早速レポートを提出せねばいけません。

撤収作業や着替えなどを終わらせ、会場を後にした私は、疲労のあまり、帰りのバスと電車では爆睡し、家に帰ってからもバタンキューでしたが、収穫も多く、非常に充実した一日でありました。


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