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ここでは、ゲーム業界で働くためには何が必要なのかという事を、自分の経験や現場で抱えている問題点などを元に書いてみました。 例えば「デッサンを学ぶ」「プログラムを勉強する」などと言った当たり前かつ他でも紹介してあるような事は書いてもしょうがないので、あえてそれらは省き、給与をもらい、売れる物を作らないといけないプロとしての心構えみたいな事を書いていこうと思います。

・仕事に私事を持ち込まない
いきなり謎かけみたいですが、要は「公私混同をしない」という事です。
これは会社の机の周りに模型やフィギュアとか漫画を置かないと言う事ではなく(もちろんそれはそれで感心しない事ではありますが)、仕事における判断と私生活における判断は混同しないと言う事が第一にあげられます。

例えば、私生活において衣類を買おうと思って店に行った場合「この商品は自分の趣味に合わないから買わない」という判断は問題ありません。 が、仕事において「このデザインは自分の趣味に合わないから導入しない」という判断は例外を除いて御法度です。 なぜなら、仕事において求められる判断という物は、「自分の趣味に合う物」ではなく、「消費者に受け入れられて売れる可能性が高い物」だからです。 誰もあなたの趣味など聞いてません。

会社で商品を作ると言うことは、当然ながら莫大な予算と時間と人員が必要で、作り上げた商品をたくさん売って利益を得て、それを元に社員に給与を支払い、会社運営の資金を捻出し、さらに株式会社であれば株主に配当金を支払う必要があります。 つまり、自分の好き嫌いでわがままをいう余地はありません。 もっとも、自費製作の作品を個展に出展するという場合なら自由にできますが。

・素直な心を持ち、勘違いをしない
ライバルの同僚(あるいは企業)に、自分(自社)の商品より優れた物を作られた場合は凄く悔しいです。 私も何度悔しい思いをしたことか・・・・
悔しい思いをする事は悪い事ではないと思うし、その悔しさをバネにする反骨精神は必要だと思います。 が、しかし、悔しさのあまり、相手の優れた所、そして自分の改善すべき点を素直に認めないのはよろしくありません。
 
よく勘違いされますが、相手の優れた所と自分の劣る点を素直に認める事はプライドを捨てるという事ではありません。そして、何があっても自分の考えを曲げない(変えない)という事は、一見根性があるようにも聞こえますが、大抵の場合、それは単に精神的に未熟なだけです。 良い物はどうあがいたって良いし、悪い物はどうあがいたって悪いのです。 それを素早く判断し、認め、良い所は取り入れ、悪いところは改善して長所に変えましょう。

また、これもよく勘違いしている人を見かけますが、「自分の意見に自信を持つ事」と「他人の意見に耳を貸さない事」は全く違います。 自分の意見に自信を持つという事は、地道な情報収集や検証・実験に裏付けされている必要があると思いますし、自分の意見に自信があるならば他人の意見に耳を傾ける事もできるはずです。 他人の意見を聞いてみてやっぱり自分の意見が正しいと思ったならばそれを主張してみればいいし、他人の意見の方が正しいと感じたならば、素直に認めて自分の意見を改良すべきでしょう。

・ゲームを作るには他を見よう。 何かをゲーム化するなら実際に体験してみよう。
ゲームを作るという仕事を行うに当たって、何を参考にすべきでしょうか。 私の考える答えはズバリ「ゲーム以外の物」です。 たしかにテクスチャの貼り方とかゲームのシステムなど、他社のゲームから学べる事もたくさんあります。 が、しかし、それはあくまで技術的な事でしかありません。 技術的に優れているだけでゲームが売れた時代はもうとっくに過ぎ去っています。 ストーリー・グラフィック・サウンドなど、ゲームを構成する各要素のセンスを磨いたり、ゲームのストーリーやアイデアの発想を得るためには、ゲーム以外の物を聞いたり見たり鑑賞したりしたりするのが一番ではないでしょうか。

映画館に行ったり、コンサートに行ったり、地理や歴史、文化を学んだり、あるいはスポーツを実際にやってみるとかも良いでしょう。 旅行に行ったりする事もお勧めです。 「世界の車窓から」「世界遺産」「ヒストリーチャンネル」などのテレビ番組も非常にお勧めです。 他社のゲームをプレイ(ただのプレイではなく研究)する事で、確かに技術的な事はある程度盗めるかもしれませんが、それ以上は望めません。 

例えば、野球ゲームを作ろうとするならば、間違っても野球ゲームをプレイしてばかりとかいう事は避けるべきです。 なによりもまず、球場へ野球を見に行くべきです。 私自身野球観戦が大好きで、よく球場へ足を運びますが、その感想として「実際に球場で味わえる感動・臨場感は、テレビで観戦するのより1000倍多い」という結論に達しました。 テレビで見ているだけだと「ファウルボウルが飛んでいったくらいで、なぜ観客は大騒ぎしているのか?」「ストライクが一球決まったくらいで騒ぐのは何故だ?」「平凡な外野フライで大騒ぎするのはどうしてだろうか?」といった疑問が浮かぶことがあります。 しかし、実際に球場で観戦すると、これらの謎が全て解決します。 
ホームランバッターがバッターボックスに立った時の威圧感は半端ではなく、そのバッターの打球が例え平凡な外野フライだったとしても、応援しているファンは「ホームランでは!?」と思って興奮が一瞬にして頂点に達し、守備に就いているチームのファンは「ホームランを打たれたのではっ!?」と思って凄まじくヒヤヒヤします。 これは実際に球場で観戦しないと絶対に味わえません。
この興奮と感動をいかにしてゲームにフィードバックするかを考えるべきでしょう。

昔遊んだことの有る野球ゲームに、半径5メートル以内だったらボタン一つでファインプレイ処理できたり、ホームランバッターが250メートル球のホームランを連発したりするゲームがありました。 はっきり言ってしらけます。 実際の野球がどんなものなのかを知っていたら、こんなひどいバランスになるはずがありません。

車ゲームを作りたいなら実際に車を運転したり、レースを見学しに行くべきです。 野球をゲーム化したいならば、やはり実際に見に行ったり、あるいは自分でやってみるべきです。 ゲームを作るべき立場の人が、作ろうとしている対象の物について詳しくないというのは論外である。 これが私の考えです。

もちろん、リアルさよりフィクション的な爽快さ・派手さを追求した野球ゲームやドライブゲームもあります。
では、そういった方向性のタイトルを作る際には実際に体験したりする必要は無いのでしょうか?
私の考えでは「意味は有る」が答えです。 結局の所、根底にある基本的なモノは野球であったり車を運転する事です。 ですから、どういった味付けをするかに関わらず、やっぱり基本であるそのものを体験し、知っておく事は重要であると考えます。

理想的なのは、常に技術動向に目を光らせつつ、色々な事を学ぶ姿勢を崩さない事でしょうか。 そもそも、この業界はどうしても引きこもりがちになるので、少しでもそういった状態を回避するためにも色々な事をやったり見たり行ったりしましょう。

・とにかく一般常識を身につけよう!  コミュニケーション能力も身につけよう!
別にこの業界に限ったことではありませんが、社会人になって組織に属して他人と協力して仕事をするわけですから、仕事の能力以前に、まずは一般常識とコミュニケーション能力を身につける必要があります。

これは実際に体験した事例に基づく話ですが、とあるプロジェクトにおいて発注先の下請け会社から送られてきたメールの一文に「〜納期に遅れましてすいません。 ^^;)」という内容のものがありました。
・・・納期に遅れたのはともかく(遅れる事自体大問題ではありますが、この場合はおいとく)、遅れた事を謝罪する分に顔文字とは!!!  社会人としての常識を疑うどころか、人間としてどうなんでしょうか。 社会人としての心構えも、遅れを出してしまった事に対する反省のかけらもなさそうです。 

とにかく一般常識を学ぶ必要があります。 「一般常識」という名前からも分かりますが、なにも特別な事を要求しているのではありません。 一般的な常識を求めているのです。 ここができていないと、後から社会人としての常識だけを身につけようと思ってもたぶん身につけれません。 基礎を身につけていないスポーツ選手が高等テクニックを身につけられるはずがありませんから。

また、一般常識と共にコミュニケーション能力も必要です。 会社で仕事をするという事は、家にこもっているのは訳が違います。 同僚や上司、あるいはお得意先に対してしっかりと話して聞いて考えて、時には謝罪したり部下を叱ったりとかしなければならない時もあります。 上司にはしっかりと敬語を使用して接する必要があります。 そりゃあ時には敬語を使うのももったいないようなどうしようもなく駄目な上司も居るでしょう。 また、会社の社風があまりにもだらけていて、自分だけしっかりしてもしょうがないじゃないかと思う事もあるでしょう。 しかし、だからといって自分までだらけてしまっては元も子もありません。 他がだらけているならば、なおさら自分はしっかりしないと!

それから、他人とのコミュニケーションを積極的に取るようにしましょう。 もちろんチャットや掲示板の中でではなく、日常生活においてです。 誤解の無いように断っておきますが、チャットや掲示板でのコミュニケーションが駄目と言っているのではありません。 それ以上に日常生活において人と接してくださいと言いたいのです。
やはりコミュニケーション能力は実際に人と接する事でしか磨かれないでしょう。 たまに(というか頻繁に)掲示板などで他人に対して強気で意見を言っている人を見かけますが、そういった人に限って現実の世界では引っ込み思案なものです。 他人の前に出されると借りてきたネコの様です。 

一生この業界で仕事をする人もいれば、途中で転職をする人もいますし、あるいは最初から全く別の業界に行く人もいると思います。 いずれの場合でも、一般常識とコミュニケーション能力は必須です。 
考えてみてください。 自分の意見を発言したり、他人の意見に反論できるのはネット上のみで、いざ実際に人と接するとまともに会話もできず、脚光を浴びる時といえば違法コピーのCD-Rを配ったり画像アップローダーに画像を貼り付ける時だけ。  ・・・人生終わっちゃいますよ?
 

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