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ゲーム産業の歴史を辿ると、古くは米国アタリ社がpon等を発売した頃に遡りますが、歴史の紹介は他の文献に任せるとして、ここでは現状、特に日本及びそれを取り巻く世界の市場状況はどうなっているのかにスポットを当ててみたいと思います。


・強い日本のハード
ここ10数年、世界的なゲーム産業をリードしてきたのは言うまでもなく日本です。 マイクロソフト社のX-BOXの開発コードネームは「ミッドウェイ」ですが、これは第二次大戦中に、快進撃を続ける日本軍を米軍がうち破り、日米形勢逆転のきっかけとなったミッドウェイ海戦に由来していると思われます。 つまり、ここ10数年世界的にシェアを握ってきた任天堂・セガ・ソニー製のゲームマシンを快進撃を続ける日本軍に例え、それをうち破り形勢逆転するハードをX-boxとしているのでしょう。  この事からも、日本のハードがどれだけ強いかという事が伺えると思います。

ハードウェア部門ではX-boxが善戦しているとはいえ、まだまだソニー及び任天堂陣営が圧倒的なシェアを誇っており、この状況は簡単には変わりそうにもありません。 携帯マシン市場に置いては、かなり昔から任天堂がGAMEB\OYファミリーで市場を席巻しています。 ソニーもPSPで携帯ゲームマシンに参戦しましたが、能力は魅力的な反面、本体価格や開発コストが高くなるのは容易に想像できるので、成功するかどうかは未知数です。 もっとも、PSPが携帯ゲーム機の分野で覇者になったとしても、結局は日本勢が覇権を握る事には変わりありません。 ノキアも先頃携帯ゲーム機に参入しましたが、早くも大失敗しているようです。 市場で覇権を握れるかどうかは企業の大小だけでは決まりません。 戦略がしっかりしている事も重要です。 ノキアは世界第一の携帯電話メーカーですし、企業の大小だけで勝敗が決まるのであれば、3DO規格に参入した松下が覇権を握っているはずです。

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・ハードは強いが、ソフトは苦戦

さて、上で述べたように、ハード部門では当分の間、日本勢が市場を席巻すると思いますが、ソフトウェアの分野ではでどうでしょうか? 率直に言うとだいぶ苦戦しているように感じます。
一昔前までは、マリオやソニックなどの日本製のソフトウェアが北米・欧州などの市場でも爆発的に売れており、人気シリーズになると「シリーズ売り上げ○○千万本」といった様な記録的な売り上げを残したタイトルもあります。 しかし、ここ数年は、そういったタイトルの市場に対する影響力もかなり弱まったように感じます。
この事は、これらのタイトルがさすがにマンネリ化してきて魅力が落ちた、という要素もあるとは思いますが、それ以外にも、海外メーカーのソフトのクオリティが劇的に向上し、かつ日本人には発想できないようなアイデアのゲームがたくさん生まれて来つつある事が大きな原因ではないでしょうか。

例えば、「DOOM」に代表されるようなFPSや、「GTA」などのバイオレンスゲームは、絶対に日本人には作れないゲームでしょう。 仮に企画があったとしても必ず落とされるはずです。  ですが、これらのタイトルは世界的に驚異的な売り上げを記録しています。 一つのタイトルでも余裕で数百万本売れています。  

こういったタイトルに見られるような内容のゲームは日本からはなかなか生まれてきていない現状を考えると、日本人の能力が不足しているというよりは、文化的にそういった内容の企画が生まれてこない事に原因があるのではないでしょうか? もしそうであるならば、今後そういったゲームのアイデアが発想できない日本のゲームソフト産業はかなり厳しい状況に置かれるのかもしれません。 文化的な問題は一朝一夕で変えれるような物ではないからです。 

また、海外で強いスポーツや映画などの版権物が弱いのも日本メーカーの弱点でしょうか。
版権物と言えば、例えば「スターウォーズ」「ハリーポッター」「ロードオブザリング」などが人気が高いですが、見て分かるように、これらは全部海外の作品です。 スポーツに関しても、NBA、NHL、MLB等は毎年必ずゲーム化されており、世界各地で好調に売れています。 しかし、スポーツの分野でもやはり海外の物を題材にした海外産のゲームがほとんどです。 つまり、日本にはゲーム化しても世界で受け入れられるような映画やスポーツが皆無なのです。(たまにポケモンとか例外はありますが)

裏を返すと、海外、例えば米国ではこういった世界的に人気な映画やスポーツが日常的に周りにあふれており、当然ながら国民もそれに接しながら育ってきたというわけです。 それらをくみ取りゲーム化する発想は日本人がまねしようとしてもなかなか難しいでしょう。

スポーツや映画を題材にしたゲームというものは今後も無くなることは無いと思うし、市場に置いて重要なポジションを占めていくでしょう。 今後の日本の産業にとって、世界に通用する映画やスポーツを育てる事も重要ですが、せめて海外の人気映画やスポーツを敏感に嗅ぎ分けててゲーム化する事くらいはどんどんやっていかないとかなり厳しい事になりそうです。


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・もはや本職だけでは食べていけないのか?
最近のゲーム業界では、おそらくほとんどのメーカーが携帯やパチスロコンテンツ製作へ参入していると思います。
これは携帯やパチスロの市場のデジタル化が進み、そういった分野でゲーム業界の資産や技術が活用できるという事ですが、それ以上に、もはや本職のゲームだけでは食べていけないという、ゲーム業界の厳しい現状の現れではないかと思います。

街中を見渡すと、かつてはあちこちにあったはずのゲームショップが軒並み潰れている光景が目に付きます。
逆に携帯電話を持っている人は街にあふれています。 かつては趣味としての消費の対象であったゲームにお金を注ぎ込む人は減少し、もっぱら携帯に時間とお金を費やしているという状況が見て取れます。
携帯電話の発達と普及に加え、少子化やカードゲームなどの台頭などによる趣味と消費対象の分散などもゲーム産業の落ち込みの原因ではあると思いますが、そもそもゲームという一つのブームが終わりを告げた事も大きな理由ではないでしょうか。 

かつては世界市場を席巻するヒット作を発売していた大小メーカーも、今ではその多くが倒産・合併している状況ですが、必死に生き残りをかけているそれらのメーカーも、利益の多くを携帯やパチスロに依存しているのが現実です。 一昔前のように、何でも出せば売れるという時代は既に過去の物となっていて、ゲームソフトの売り上げが落ち込んだ分を携帯やパチスロなどへの参入でまかなっているのは間違いないでしょう。 

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・問題点はどこか? (2004/07/25)
最近、同僚や同業界の知人から良く聞く台詞に「このようなゲームが売れなくなったら、業界はもう終わりだよ」というものがあります。

この場合の「このようなゲーム」が指す内容ですが、例えば凄く斬新なアイデアに基づくシステムを持っていたり、ストーリー展開や演出の見せ方が凄く秀逸だったりするゲームの事です。 現在のゲーム業界は一部の人気シリーズを除いて本当にゲームが売れなくなっています。 そういった状況下で、これらの優れた素質を持ったゲームすら売れなくなったら、市場として本当に終わってしまっている、というのが彼らの言い分なのでしょう。

しかし、私はその意見には完全に賛同することができません。
確かに一部賛同できる部分もあります。 例え完成度が高いゲームであっても、予算の都合で広報活動が積極的に展開できない場合もありますし、ハードそのものが不人気故にソフトも売れないと言う場合もあるでしょう。

しかし、ここで注意したいのは「そのタイトルは本当にユーザーが求めている物なのか」という事です。
「優れた技術・アイデアを持っているゲームは必ず売れる、もしくは売れるべきである」という方程式など存在しません。例え技術やアイデアが優れていても、ユーザーが欲しいと思える内容でなければ売れるはずがありません。
そういった意味では「ユーザーが興味を持つ技術やアイデア」こそが、「本当の意味での優れた技術やアイデア」なのかもしれません。

「優れたゲームすら売れない市場になってしまった」と嘆く前に、そのゲームが「ユーザーが求めるという意味で優れていたのか」を考える必要があるでしょう。 ゲームは人に売ってなんぼの商品である事に違いないので、くれぐれも作り手の自己満足にならないように注意する必要があると思います。

・大苦戦のソフトウェア2____2004/10/31 追加

ゲーム業界において、日本勢はハードウェアでは強いがソフトウェアでは苦戦しているという事を下の方で書きましたが、それに関して興味深い記事をとある雑誌で発見しました。

それは「Newsweek日本語版」という週刊誌なのですが、その記事の名前はズバリ「ゲーム王国ニッポンの落日」。
このタイトルから「かつて日本は強かった」「今は弱くなりつつある」という2つの事が分かります。
では、実際はどうなのでしょうか?   ・・・・私が知る限りでは、この記事に書かれている事は極めて正確にゲーム業界の現状を捉えています。 例えば、「売り上げのトップ20の大半をEAなどの海外メーカーが独占」「零細企業の様な日本メーカーの体質」「プラットフォーム選択の誤り」「ゲームクリエイターのわがままが許される日本企業の体質」等について記事が書かれていますが、そのいずれもが「あるあるあるあるーーーー!!!」と、昔懐かしいクイズ番組の様に連呼したくなる内容ばかり。 なぜここまで的確に捉えた記事を書けるのか怖くなってくるくらいです。

ゲーム業界に勤めている人も、これから目指そうとしている人も、はたまた単に興味本位の人も、バックナンバーを取り寄せてでもこの記事を読んでいただきたいです。(2004/11/2・火曜までは店頭販売しているはず)
このまま「日出ずる国」が「日沈んだ国」になってしまうのか・・・? そうはさせない、といきたいところです。


・GDCにおいて 2005/03/15 追加
 
 
 

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