106日間北海道一周!自転車&キャンプ旅行(6)


カトリック富岡教会(小樽市)

カトリック富岡教会(小樽市)
カトリック富岡教会(10/19)
 この日は自転車は一休みさせて、宿泊している小樽市西部の忍路(おしょろ)にある「たなか」という宿からバスで小樽まで行き市内観光を楽しんだ。
 私は洋館が大好きで、小樽には何回も飽きずに足を運んで、ぶらぶらと洋館のある街並みを見てまわった。
 夕刻、北一ガラス周辺の観光客の雑踏から逃れ、坂のある方へ向かった。地獄坂と言うすごい名前の坂を登る。昔この坂を登っていると、天狗山から風雪がまともに吹き付けたので、このような名前が付いているそうな。
 坂の途中に富岡教会という昭和4年に建てられた石造りの教会があった。地味だけど窓のデザインがおもしろい教会だった。観光施設としてではなく、街の教会として、普通に信者の方々が出入りしているから、中を覗くのは控える。
 小樽運河、北一ガラス周辺などは小樽でも1、2を争う観光名所で、都会の繁華街のような賑わいだ。だが、それらを離れた所にも興味深く面白いものがまだまだたくさんあるものだ。小樽の奥の深さを感じた。


瀬棚青少年旅行村のバンガロー

瀬棚青少年旅行村のバンガロー。
瀬棚青少年旅行村(10/23)
 夏はキャンプをしてても楽しかったのだが、10月も中旬に入ると、最低気温は1桁の前半と寒く、水はとても冷たく、朝に顔を洗うのさえ億劫だ。この時期になると、キャンプはまさに寒さとの闘いだった。そんな時期に北海道でキャンプをする物好きには滅多にお目に掛かれず、キャンプ場には私だけしか居ないという光景があたりまえになっていた。
もちろん冷たい外気が遮断できる宿の建物の中で、布団にくるまってぬくぬくと眠りたかった。だが、宿だと何千円の出費になってしまい、毎回は使えない。1日タダか数百円で泊まれるキャンプ場は、そういう意味ではこの時期もまだ魅力的だ。
 瀬棚青少年旅行村はテント1張り¥309で、受付で支払いを済ませたら鍵を出された。どういうことかと思ったら、1545円もするバンガローに泊めてくれるのだった。きっと、ほとんど訪れる人のない閑散期の寒空だから、特別にサービスしてくれたのだろう。決して最上の設備という物でもないのだろうけど、テント暮らしの私にはゆったりとしたスペースで、心温まる夜を過ごす事ができた。何よりも管理人さんの親切がとても嬉しかった。

函館山

津軽海峡側に出て、函館山を眺め
ながら函館市を目指す。
遠い函館(10/25)
 厚沢部(あっさぶ)から道道5号線を走り、木古内に抜け、国道228号線で函館に向かった。海側に出たら函館山が見えてきた。今日の宿はあの山の麓にある函館市街地にある。
 もう近くだと感じるのだが、走れど走れどもなかなか着かない。木古内かから函館まで40km近くもあるから当然なのだ。だが、はっきり見えてしまうので、近いと錯覚し、苛立ちや焦りのような感情を覚えてしまう。
 何回か休み、結局3時間程掛かり、日が沈もうかという時に、函館の宿に着いた。

砂原町の牧場と青い海

内浦湾(噴火湾)沿いの牧場。(砂原町)
砂原回り(10/28)
 南茅部町のキャンプ場を出て内浦湾沿いに北に進路を取る。この辺りで、鉄道旅行好きの私が思い浮かべるのは、函館本線の鹿部町などを経由する「砂原廻り」の路線だ。特急が飛ばすメインルートとも言える大沼公園経由と対照的に、ローカル列車主体の運行でローカル線然としている。
 こちら側からも駒ヶ岳が望めるが、大沼公園側から正反対から見ている事になり、随分と違った雰囲気で面白い。麓には牧場が広がっている。
 海側にも牧場が見え、天気が良く、向こう側には青い海が広がり、更に対岸の街も見える。対岸の街は数日後に通る事になるだろう。だけど、それは最終目的地の苫小牧港が近付いている事を意味する。旅の終りを間近に感じると、少し寂しくなってきた。


太平洋フェリー「いしかり」

苫小牧港に停泊する太平洋フェリー「いしかり」。
北海道から離れる時が刻一刻と迫る。
帰路、苫小牧港にて(10/31)
 遂に長かった旅が終わろうとしている。虎杖浜温泉のライダーハウス「ぶんぶんハッチ」から苫小牧港までラストランだ。交通量が多く慌しい国道で、格別にいい風景でもなかったのだが、最後の走行を愛おしむ気持ちでいっぱいで、港に着いた時は走り遂げた達成感と、106日も旅し暮らしたこの地を離れる寂しさが入り混じっていた。
 冬が間近の冷たい風に震えながら、屋外で船に自転車を入れる時間を待った。そこには十何人のライダー達も同じように待っていた。こんな時期にそんな事をする人が意外といるものなのだなと、他人事みたいに感心してしまった。
 夜の港を去り行く船の中で、私はこれからも北海道を何度も旅するのだろうと思った。いつか今回のような旅をしたい。でもその時は、自転車はきついかな(笑)。仮に今回と同じような旅が出来なくても、この旅で訪れた場所にまた立ってみたいものだ。
 帰りの航海の途上、退屈しのぎに、一体どれだけ走ったのか、船内で手にした広告の裏に、1日毎に走行キロ数を記入していった。そして、合計すると、出てきた数字は何と約3780キロ!のんびり走った自転車旅だったが、我ながら頑張ったものだ。1日1日、地図を辿りながらキロ数を紙に記入していく毎に、その日の風景や出来事が昨日の事のように鮮明に蘇った。過ぎ去りし輝かしき日々に、時には懐かしい気持ちでいっぱいになり、時には胸が熱くなるような思いを感じた。
 そんな私の想いをのせ、船は海をゆく。

太平洋フェリー「きそ」

帰路の航海中、北海道へ向かう時に乗った「きそ」との邂逅。
片や私が住む街へ、片や虹の彼方、北海道へ…(11/1)




航海中の夕景

旅の空の下で見る最後の落日。海の上でただ眺める…(11/1)


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