106日間北海道一周!自転車&キャンプ旅行(4)


根釧原野の子牛達

根釧原野の別海町を通る国道243号線
「ミルクロード」の牧場で見た子牛達。
子牛達(9/15)
 道東の別海町を横切る国道243号線を西に走っていた。この道は「ミルクロード」と呼ばれる程、道沿いには牧場が多く、のどかで雄大な風景が続いていた。牧場では牛がのんびりと草を食んでいて、私が通ると気になるのか、のっそりと顔を上げ、ぼーっと私を見る牛もいる。私も牛達に引かれ、自転車を止め声を掛ける。
 ミルクロードのある場所で、犬小屋のようなプラスチックの小屋が並ぶ牧場に子牛達がいるのを見つけた。どっしりとした大人の牛と違って、なよなよとして頼り無く、細くへたり込んでしまいそうな足で立っている。大きさは大型犬とたいして変わらない位だ。そして大人の牛と同様に、立ち止まって見る私に興味を示す仕草をする。その愛らしさに魅了され、思わずカメラを取り出した。


霧に閉ざされた摩周湖

霧に閉ざされた摩周湖。
雨の1日(9/17)
 9/16日に摩周湖ユースホステルに泊まり、翌日の天気が悪そうだったので、翌日分も予約しておいた。
 案の定、翌日9/17の天気は悪く、その日は自転車を摩周湖YHに置いたままにして、公共交通機関を利用して周辺の観光をした。まず、釧網本線の列車で川湯温泉駅まで行った。思えば、鉄道旅行好きの私が、今回の長旅で列車を使ったのはこの区間のみで、ちょっとした寂しさのようなものを感じた。
 周った中で印象的だったのが川湯温泉の公衆浴場だった。今は小奇麗な温泉が増えたが、ここは年代を遡ったような古さだ。係員は常駐ではないようで、それらしい人は居なく、150円を指定の場所に入れ料金を支払う。利用は利用者の善意に任されているのだ。更に強烈だったのが温泉で、きつい硫黄臭が鼻を突く。だが、良く効きそうな温泉だ。浴場も古く、シャンプーなども無く設備は最小限だ。
 体を温めると、次に摩周湖第一展望台を訪れた、だが悪天候のため、湖面は全く見えなかった。何回か摩周湖には訪れているが、ここまで見事に湖面が見えなかったのは初めてで、かえって印象的だった。


釧路湿原

雄大な緑の楽園、釧路湿原(上)
と、遊歩道にひょっこり姿を現した
シマリス(右)

釧路湿原北斗展望台(9/20)
 釧路湿原の西側の北斗展望台には遊歩道があり、1時間ぐらいあれば、有料の展望台に上らなくても、雄大な湿原の風景を眺める事ができる。向こう側が見え、一瞬近いように感じてしまうけど、改めて全体を見渡したらこんな広い緑の湿原があるものだと見とれてしまう。
 帰りに遊歩道を歩いていたら、シマリスが可愛いしぐさで木の実を頬ばんでいた。

シマリス

足寄峠通過、十勝地方へ…

足寄峠にて。
足寄峠を越え十勝地方へ(9/24)
 2日間阿寒湖のキャンプ場で過し、次の目的地の足寄(あしょろ)に向けて出発した。
 途中に標高645mの足寄峠があったが、阿寒湖が元々少し高めの所にあるので、到達するのにそれ程苦労はしなかった。上り坂は面倒だが、さすがに知床峠や、その他いくつも峠を越えてきてると、さすがに少しは峠慣れしてきた。苫小牧港に降り立った時点では、運動不足で、体力もいまいちだったが、さすがに自転車で旅する日々で体が鍛えられたようだ。無駄な肉が多かった足は、筋肉に化け、すっかり逞しくなった。
 途中でオンネトーを見に行く時にアップダウンがあったが、足寄に至るほとんどの道が緩やかな下り坂で、風を切り気持ちいい程軽快な走行を満喫した。峠を越えた後のささやかなご褒美だ。この時の楽しみを励みにして峠を越えているようなもだ!


ナイタイ高原牧場

東京ドーム160個分の広さを持つ
上士幌町のナイタイ高原牧場。
ナイタイ高原牧場(9/25)
 足寄(あしょろ)から国道241号線で上士幌に向かっていると、山肌に芝生が刈り取られたのような緑色になっている広大な部分があった。ナイタイ高原牧場だ。それもそうだ。なにせ1700万平方m、東京ドーム160個分というとんでもない広さだから。
 テントを張る前に見てこようと思い行ったのはいいが、その展望台は約800mという高さにある。軽く見ていた私はひたすら続く牧場内の坂道に途中で疲れてしまい、自転車を押して歩く破目になった。こんな事ならテントを張ってくれば良かったと後悔した。
 やっとの思いで展望台に着き、山の斜面に広がる広大な牧場を今度は見下ろすように眺めた。北海道らしさを越え、日本を超越したような広さで、遠くの方にいる牛は黒い点にしか見えない。更にその先には十勝平野が見えるという大パノラマがあった。苦しんで来た甲斐のある眺めだった。


豊頃町のキャンプ場の夜明け

キャンプ場から見た早朝の風景。
霧に霞む夜明け(10/2)
 帯広を出て池田に寄った後、豊頃町に着いた。有名なハルニレの木を見て、今日の宿泊地である「豊頃森林公園キャンプ場」に向った。
 ピークのお盆からどんどん旅人が減っていき、比例するように、キャンプ場からキャンパーが減っていく。そして、この日テントを張ったのは、とうとう私1人だった。キャンプ場でたった1人だったのは、7月24日の秩父別(ちっぷべつ)以来だ。久しぶりに夜に1人取り残された寂しさと、少しの恐さを感じながら一晩を過ごした。
 早朝に目覚めてお手洗いに行くため外に出ると、ひんやりとした空気に少し肌寒さを感じる。暑い夏ではなく、もう10月なのだ。ふと周りの景色に目をやると、霧が夜明けの大地を包み込み幻想的な風景を作り上げていた。


☆コラム(4)〜私の北海道ソロキャンプ
 北海道滞在中、キャンプ場に寝泊りした数が最も多く、その日数は全日程の約半分の54日にもなる。その次にライダーハウス、ユースホステルと続く。

 なぜそんなにキャンプ場泊が多かったかと言うと、相部屋形式になるユースホステルやライダーハウスより、他人の目を気にせず独りできままに過せるという事がある。宿での旅人との出会いも楽しいが、元々独りできままに飄々としているのが好きなので、そんな時間が持てるソロキャンプは私にうってつけだった。もちろん、時には他のキャンパーと過す時も楽しい。自転車やバイクなど似た雰囲気のキャンパーが、挨拶から自然と言葉を交わし始め、野外で一緒に夕食を食べたりしたのは楽しかった。何のかんの言っても、人恋しくなる時もある。

 また、宿泊代がそれ程掛からないのもキャンプ場を選んだ大きな理由だ。北海道には、無料から500円以下の格安キャンプ場が数多く、ライダー、チャリダーなど旅人の味方だ。テント、寝袋、調理用具など初期費用は掛かったが、十分回収できたと思う。また、北海道内には1日自転車で走ってちょうどいい所にキャンプ場があると言った感じに、あちらこちらにキャンプ場があった。街から離れ自然に囲まれた不便な所から、町村の中心部近くにあり、町で暮らす感覚でキャンプ出来るキャンプ場など、個性豊かな様々なキャンプ場で、キャンプを楽しんだ。

 格安、無料キャンプ場だからと言って設備が酷いという事はほどんど無く、テントを張るサイトは整えられ、水道もあり、トイレはそこそこ奇麗で、無料や格安で泊まるのに頭の下がる思いがする程、充実しているキャンプ場も数多い。私はむしろオートキャンプ場みたいにサービス過剰気味のキャンプ場より、シンプルな設備の格安、無料キャンプ場の方が好きだ。

 キャンプ場に泊まる楽しみの1つに温泉があった。自転車の走行で出た汗を流したくて、お風呂、出来れば温泉あるキャンプ場をよく選んで泊まっていた。北海道は温泉天国で、市町村が関わる立派な設備の温泉から、一般にも開放されているホテルの温泉まで様々な湯を楽しんだ。休憩室が併設されている温泉も多くく、湯上りにジュースを飲みながら、畳で寛ぎTVを見たり、明日のプランを練るなど、閉館ぎりぎりまで居る事もしばしばだった。テント内で使うヘッドランプの電池代の節約という目的もあったが、広々とした空間で寛ぐのは、やはり開放感があり快適だった。

 キャンプ場での朝は早く、連日こんなに早く起きないという朝6〜6:30分時頃にはたいてい起きていた。周りのキャンパーも朝早くから動き出し、気配につられて目覚めたり、夜にする事が特に無いと、ヘッドランプの電池代が惜しい事もあり、普段より早く眠る分、早く起きるというのもあった。そして、テントを畳むなど撤収をのんびり済ますと、次の目的地に向けペダルを漕いでいた。出発はいつも朝の8〜10時頃だった。

 だが、キャンプ場の居心地が良かったら、撤収する気も起らず、なんとなく連泊してしまい、そんな日は、目的も無く町を歩いたりなど、気の向くままにタラタラと過していた。また、天気予報で雲行きが怪しいと聞くと、即連泊決定だ。私は雨の日に走るのを徹底的に嫌う根性の無いチャリダーだった(笑)。9月終りには上士幌航空公園キャンプ場で雨のため3日間も足止めされてしまった…、というか移動する気をすっかり失くしていた。町の規模も大きくないので、買出しと温泉で時間を潰す以外は、狭いテントの中で本を読んだり、ラジオを聞いたりなどまるで篭城状態の如く過していた。今思えば、気軽にキャンプ場で連泊をしたのも、無料、格安という料金の安さと、見合った以上の居心地の良さゆえだったのだろう。


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