北海道フリーきっぷ,グリーン車鉄道旅行(2)〜北海道鉄道旅行記〜


■2日目(7/2)

寝台特急北斗星まりも)5:50札幌8:30分(特急スーパー宗谷1号)13:25稚内
〜市内散歩〜22:00(特急利尻

特急スーパー宗谷(261系気動車)

札幌駅で出発を待つ特急スーパー宗谷1号。
261系気動車を使用し、軌道整備もあり、
所要時間を大幅に短縮した。外観は283系や
281系に似ているが、コスト削減が図られた車両。
特急スーパー宗谷で最北の街へ
 北斗星まりもから早朝6時前に札幌駅に放り出されてしまった。次の乗車列車のスーパー宗谷まで2時間以上も時間がある。少々眠く、退屈な時間だ。北口にあるコンビニで朝食を購入しがてら雑誌の立ち読みをした後、駅北口の花壇の縁に腰掛けて朝食のパンを食べ始める。空気は少し冷たいが、天気は良く、頭上には清々しい青空が広がっている。

 8番線で待っていると、出発10分位前にスーパー宗谷1号が入線してきた。スーパー宗谷のグリーン車は私が特に楽しみにしていた列車の1つだ。ウェブ上で指定席の空席照会が出来るサイバーステーションや、札幌駅の空席表示板でスーパー宗谷グリーン車の空席状況を見ると、とても売れ行きが良い。特に1号は連日満席と言っていい程で、1ヶ月前早々に席が無くなってしまう列車も多いようだ。グリーン席が9席と少なく、観光シーズンという事もあり、売り切れ行きが良いのだろうが、あらかじめ取っておいて良かった。この日も始発の札幌からグループ客などで満員だった。

 先頭1号車稚内寄りの約3分の1に9席があるだけのやや狭苦しさを感じるグリーン室だ。だが、大型の革張りシートが横1-2の3列でゆったり並び豪華さもあるが、、随所に木材が使われ、豪華さの中にも温もりのある空間だ。スーパー宗谷で使われる261系気動車のデザインは姉妹提携の関係にあるデンマーク国鉄と共同作業で、グリーン車のシートはデンマーク国鉄のデザインだ。私の席は9Aで右側の1人がけの席だった。

 定刻の8時30分に出発し約5時間の旅が始まった。283系などに負けず快調に飛ばし、車体傾斜装置を効かせカーブを曲がるのだが、エンジンの振動がシートを通り体にまで伝わってくる。気動車で少し位のエンジンの音や振動は仕方ないのだが、不快な程ではないにしろ気になる。振動がマッサージシート代わりになり気持ちよくなったという訳ではないが、眠気に襲われ、サービスのドリンクを飲み干し、一眠りした。

 うつらうつらと眠り、旭川到着前に目が覚めた。定刻に旭川を出て宗谷本線の単線非電化区間に入る。以前は特にそんなに速く走らなかった区間を速度は落とさず速いスピードで走る。スーパー宗谷投入に合わせ旭川-名寄間は線路が改良、高速化され、名寄-札幌間は以前より35分も短縮された。スーパー宗谷という快適な車両を導入した効果もあって、宗谷本線の特急の利用客が増え好調だという。

 席を立って運転士横の通路を進むと列車の一番先頭の連結部に出る。扉には小さなガラス窓があり、絶好の前面展望スペースとなっている。そのせいか、グリーン室を通り抜け、ここに来る鉄道ファンがいて快適性が損なわれ辟易したが…。ようやく“展望スペース”が空いたので気分転換に席を立った。100km以上の高速で走る列車の正面に迫り来る景色が次々と後方に飛んで行く迫力のある車窓で、運転手しか体験できない景色を目の当たりにできるのも嬉しく心躍る。年甲斐も無くつい夢中になってしまう。展望を楽しんでいると黄色いヘルメットを被った保線員が近寄ってきた。この正面からレールが見られる場所はチェックにも最適な場所なのかもしれない。お仕事なら仕方ないので場所を譲った。

 名寄を過ぎ高速化区間が終り、走りはやや遅くなったような気がする。稲作北限の地を過ぎ、牧場とただの原野が増え、益々人が少なげな風景が続く。そして日本で4番目に長い天塩川が姿を現し、線路も天塩川に合わせるように蛇行している。

 少し早いが昼食用に弁当を確保しておいた。名寄駅の「蝦夷っ子ちらし寿司」で数の子といくらが錦糸玉子の上にちりばめてあるちらし寿司だ。昨日のとかちとスーパーおおぞらで2人乗務だったツインクルレディも、4両と編成が短いスーパー宗谷では1人乗務でワゴンサービス、グリーン車でのドリンクサービスなど1人でこなさなければいけないから忙しい。

 7/1のダイヤ改正の前日の6/30日を最後に、利用が極端に少ない6駅が廃止された。その中の1つに宗谷本線の上雄信内(かみおのっぷない)駅がある。間もなく上雄信内駅跡を通過しようとしているので、例の展望スペースで前方を注視した。しばらくして前方に木の板のホームが草に埋もれるように姿を現した。先日までは生きていた駅だが、早くも駅名標が剥がされ死んでしまった駅だという事を実感する。チラッと見ただけだが、奇妙な事に駅に至る道を発見することが出来なく、周りは畑などで人気が無く利用が少なく廃止されるのもしょうがない光景だ。

 スーパー宗谷1号は13時28分の定刻に稚内に着いた。下車した多くの観光客が先頭車で記念撮影をしている。登山風の服装をしている中高年が目立ち、これから利尻島に渡り、百名山のひとつに数えられる利尻富士に登るのだろう。レールが尽きる部分には「最北端の線路」という看板があり、記念撮影にはうってつけで、線路に下りてスーパー宗谷をバックに記念撮影をしている人が大勢いた。
 
スーパー宗谷のグリーン車

革張りの大型シートという贅沢な
グリーン車のシート。シートと室内
には所々に木材が使われ、豪華な
雰囲気な中にも温もりを感じる。

 スーパー宗谷の前面展望。快調に飛ばす。

 旭川-名寄の高速対応区間を快調に飛ばす。
運転室横の連結部の扉に窓があり絶好の
前面展望スペースとなっている。ガラス窓には
写真上部中央右寄りの黒い汚れのように、激突
した虫の死骸がいくつもこびり付いている。
6/30を最後に廃止された上雄信内駅

前日に廃止されたばかりの上雄信内
(かみおのっぷない)駅を特急スーパー
宗谷が通過。もう駅名標が無くなっている。
稚内港の北防波堤ドーム。

稚内港にある 古代のローマ神殿や
ヨーロッパの寺院の回廊を思わせる
北防波堤ドーム。この下で時々イベント
が行われたり、夏にはテントを張る
旅人まで現れる。
思い出の街、稚内を歩く
 稚内は4年前に北海道を自転車とキャンプで旅した時に、アルバイトしながら約3週間も滞在した街だ。いつか再訪し、昔を懐かしみたいと思っていたが、ようやく実現させる事が出来た。

 まず北に向って歩き、北側にある北防波堤ドームにたどり着いた。70本もの柱が427mに渡り均一にずらりと並び、柱に支えられた扇状の屋根がトンネルのように続いている。まるでヨーロッパの宮殿か寺院の回廊のような美しさで、この防波堤の下を歩いていると、日本でない所にいる気分がしてくる。

 かつては稚内駅から鉄路がここまで延び稚内桟橋駅があった。そして樺太に渡る稚泊連絡船が出ていた。北防波堤ドームは乗客を強風と高波から守るため昭和11年に完成した物だ。終戦で稚泊航路は無くなったが、駅があった防波堤先端には稚泊航路記念碑とSLのC55 49の動輪とプレートが設置され昔を偲ばせる。かつてはC55の車体が展示されていたが、塩害で腐食が激しく撤去された。このドームの向って左側の防波堤が遊歩道になっていて海を見ながら歩ける。かつて連絡船が目指したサハリンが見えそうだが、蒼い海と厚い雲が見えるだけだった。

 稚内駅側の中心街には、市役所、市民病院、商店街などがある。商店街は一通りのものが揃い立地も良く、私も4年前はお世話になっている。だが残念な事に歩行者が少なく活気があるようには見えない。商店街のアーケードに書かれている店名がロシア語で書かれているのには以前にも驚いた。サハリンやロシア極東部に非常に近く商用のロシアの船が多く入ってきて船員が立ち寄るのだろう。市内ではロシア人らしき人を良く見かけ、ロシア人の専用のお土産屋みたいなものもさえ国道沿いにあったりする。商店街に観光ガイドにも載る熊笹のソフトクリームを売っている有名なお店がある。久しぶりに味わいたかったが、この日は売ってなく残念だ。

 道道106号線を昔を懐かしみながら歩いて、南稚内駅を通り過ぎ、国道40号線沿いにある西條デパートまで歩いた。バスで稚内駅に戻ろうとした時に、ふと天北線の事を思い出した。廃線跡が残っているなら、この近くにあるはずだ。探し回っていると宗谷本線沿いのかつての分岐点に天北線跡あり、しかも浜頓別方向に向って更に続いている。住宅地にも関わらす、思ったよりしっかりと盛土など廃線跡が残っていて、錆びた標識、148kmのキロポストまでがそのままだ。しばらく廃線跡を歩いたが、約1,5km程の所で途切れ、その先は天北線なんか無かったかの如く舗装道路が延びていた。

 夕方に宗谷バスで稚内駅に戻り荷物をロッカーから出した。稚内温泉「童夢」は運悪く月曜日は定休日だ。念のためバスの窓口で確認したがやはり休みだ。だが4年前良く通っていた「湯らん銭」という懐かしい銭湯でのんびりと湯に浸かり、付属の休憩所て旅の疲れを癒した。

 一風呂浴び、夕食を食べまた稚内駅に戻る。今日の“宿”は札幌行きの特急利尻で、もちろん北海道フリーきっぷ、グリーン車用の特権を生かしてB寝台だ。利尻の7/1〜8/19までは指定席車両としてお座敷車両が連結されている。特急用の183系気動車を改造した車両で、JR九州の特急かと思わせるような赤い色だ。少し中を覗いてみると、大広間座敷の隅に畳まれた寝具が一列に並んでいた。なんとなく林間学校で泊まった大部屋を思い出させる雰囲気だ。特急指定席料金で横になって眠れ、私も指定席利用なら利用してみたい。
稚内市内に残る天北線廃線跡

稚内市街地にまだ残る天北線廃線跡
南稚内駅近くの宗谷本線との分岐点。
特急利尻に連結されているお座敷車両

夏期間に特急利尻に連結されている、
183系気動車を改造したお座敷車両を覗く。
指定席料金で乗れるので結構乗り得。
昼間は特急サロベツの指定席に
なり、掘りごたつ式座席に変えられる。

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