北海道フリーきっぷ,グリーン車鉄道旅行-3〜北海道鉄道旅行記〜


■三日目(7/3)

特急利尻)6:00札幌7:24(特急オホーツク1)12:43網走13:56(原生花園
スタンディングトレイン
)14:20原生花園15:42(4734D)15:48北浜16:36(4739D)
20:00釧路23:00(特急まりも) 〜夜行列車泊

183系気動車の牙城、特急オホーツ
 昨晩、稚内から特急利尻に乗り、朝6時に札幌に着いた。だが1時間とちょっとで、183系気動車の特急オホーツクで網走に向うという、正に東奔西走の北海道鉄道旅行だ。

 JR北海道は、特急列車に758系、283系、261系など続々と新車が投入されているのに、何故か札幌-網走間の特急オホーツクには、今や古参の183系気動車ばかりで、新車投入、路線の高速化工事などの話は聞かない。せめて183系の時速130km対応車でも投入すればと思う。だが、航空機やバスとの競争が激しく、なおかつ投資効果が高い区間が優先されているようだ。昼行オホーツクの札幌から、道東の北見市までが約4時間30、網走市までが約5時間10分と、札幌からなら航空機が有利で、特急オホーツクより少し時間は掛かるが、割安なバスも強力なライバルだ。それに石北本線は線形が悪い所が多く、改良が困難でコストが掛かる。また新車投入、工事など改善をしても割にあわないのかもしれない。私にはなんとなく放置のような状態で183系気動車が使われているとも思える。

 今日をオホーツク1号は自由席が1両増結された、5両編成だ。グリーン車は3号車で指定席と合造で約2/3をグリーン室が占めている。4号車中ほどの扉から車内に入り、車掌室、喫煙スペースを通りグリーン室に入る。やはり昨日のスーパー宗谷に比べたら広々と感じる。座席は横1-2の3列で、シートは2日前に乗った「とかち」と同じだ。元は横4列だが、さすがにシートは取り替えられていた。

 グリーン室はは半分ほどの乗客を乗せ、定刻に出発した。見たところビジネスマンなどではなく、観光客風の乗客が多い。早速ツインクルレディが検札に来て、その後サービスのドリンクのオーダーを取りに来た。
 
特急オホーツク。グリーン席、普通席の合造車

特急オホーツクのグリーン席、普通席合造
の4号車。4号車の普通車指定席部分は
車端部の車内販売準備室のスペースを
改造して出来たもので、いかにも狭そう。

 9:41分に層雲峡への下車駅の上川に到着し、グリーン車からも観光客風のグループが下車し、更に空席が目立つ。周辺には山が迫り、ここから先は北見峠越えにかかる。上川の東隣の駅は北見峠を越えた上白滝駅で、何と34kmも先にある。白滝までの区間にある、天幕、中越、奥白滝が7/1に廃止されたばかりだった。

 オホーツク1号は緑深い山の中に入り、線路のすぐ側まで木々が迫っている。カーブが多く、また勾配きつそうでうで速度が落ち、国道を走る車にさえ次々と抜かれていく。天幕、中越と廃止された駅を通過したが、辺りに人家はほとんど無かった。過疎化はかなり進んでいるようで、駅が廃止されるのもしょうがない風景だ。

 峠をトンネルで越えるとさすがに速度を上げ、車を抜き返した。でも山深い景色は相変わらす続く。そんな山深い景色に、突然工事中の旭川紋別自動車道のコンクリートの高架が現れる。開通時には、特急オホーツクの大きな脅威になると思われ、石北本線の今後にさえ影響し兼ねないので心配だ。そんな事を象徴しているかのように、コンクリートの高架は石北本線を見下ろすかのような位置にそびえる。

 空に突き出た崖のような「瞰望岩」が見えると、10時53分に遠軽駅に到着し、オホーツクはここで進行方向が変わる。遠軽駅で楽しみにしていたのは、遠軽から積み込まれる駅弁「かにめし」だ。美味しい駅弁で、ちょうど昼時だから、楽しみにしていた。ワゴンを押し車内販売中のツインクルレディに早速声を掛けたが、残念ながら売り切れの答えが返ってきた。仕方ないので餅を買い、とりあえず腹ごしらえをした。

 かつての難所、常紋峠を越え、30分位で石北本線最大の市町村の北見に到着し大勢の乗客を下ろし、40分後の12時43分に終点の網走に到着した。グリーン車の乗客で網走まで行ったのは観光客風のわずか数人と、この旅行で見てきた中で最低の数字だ。沿線の過疎化、自動車道の建設など石北本線と特急オホーツクを取り巻く状況は厳しいけど、何らかの対策が講じられ活性化される事と、大好きな183系気動車がまだしばらくは元気で働いてくれる事を願い、特急オホーツク1号を後にした。
 
特急オホーツクのグリーン室内

特急オホーツクグリーン室。座席は2-1
の横3列に付け替えられている。窓の位置
がやや高く感じた。

原生花園スタンディングトレインの車内

原生花園スタンディングトレイン車内。
沿線の空気を感じ、身を乗り出すように
風景を眺められる。




原生花園スタンディングトレイン

原生花園駅を出て秘境知床の入り口、
知床斜里駅に向う原生花園スタンディング
トレイン。
あまりついていないかも…
 網走駅を出て、右に曲がり歩いた。網走駅前に麗門亭という旅人に人気のあるレストランがある。美味しい料理はもちろん、壁にきっぷなどが貼ってあるのも名物になっている。「原生花園スタンディングトレイン」に乗るまで1時間あり昼食を取ろうと思ったのだが、残念ながらシャッターは閉まっていた。どうも今回は行きたかった所の休業日に当たってしまいついていない。昨日の稚内温泉童夢、そして今日の麗門亭、駅舎内に飲食店があることで有名な北浜駅の「停車場」、川湯温泉駅の「オチャードグラス」。主目的ではないから諦めはつくが…。仕方無く駅に戻り、待合所でテレビを見ながら、駅弁を食べた。

今が花盛りの小清水原生花園
 原生花園スタンディングトレインが待っている3番ホームに渡った。キハ54気動車の後ろに、貨車に屋根が付いたようなオープンデッキの展望車が付いている。スタンディングトレインは動力を持ってないので、気動車が牽引しなければいけないのだ。初め「スタンディング」と聞いて何で立たせるんだと思ったが、これなら身を乗り出すように、オホーツク海や花咲く沿線を眺められると思えば楽しそうな列車だ。6/23からの運転で、ちょうどこの時期が花の見頃だというのに、列車の混み具合はピークでなく、がら空き状態だ。でも多くの観光バスが小清水原生花園に押し寄せいている事だろうから、その中の少し位はJRに乗ってくれればいいと思うのだが…。

 定刻の13時56分にキハ54に引っ張られスタンディングトレインは動き出した。身をすくめてしまいたくなる冷たい空気が吹きさらしの展望車を通り抜ける。特にトンネルに入った時は冷蔵庫の中に入ったような冷たさで、初老のグループは寒さに負けて早くもキハ54に逃れていた。やがて左手にオホーツク海が見えきて、北浜駅を過ぎると、色とりどりの花が沿線に現れる。濃いピンク色のハマナス、オレンジ色の大輪エゾスカシユリ、明るい黄色のエゾカンゾウが緑の絨毯の上に散りばめられているように咲き、そんな美しい風景の中にレールが伸び列車は走る。空気の冷たさも我慢し、つい見とれてしまう。25分の乗車でもう原生花園駅に着いてしまった。ほとんどの乗客が下車し、入れ替わりに原生花園を楽しんだ客が乗り込んできた。

 原生花園駅のログハウス風駅舎の前を通ると「見るのはただだよ!」と駅員に声を掛けられた。テーブルには様々なオレンジカードや記念切符が並んでいる。駅員というよりかJR北海道のオレンジカード、記念切符の販売員と言った方がいいかもしれない。通り過ぎる他の観光客にも盛んに声を掛け、寄ってきた客にユーモアを交えながら熱心に売り込みを始める。それにつられてという訳ではないが、小清水原生花園に咲く可憐な花々写真が入った原生花園駅記念入場券セットを購入した。

 原生花園は一周約20分の探勝路が整備されている。見て歩くと、ハマナス、エゾキスゲ、エゾスカシユリなどが咲いていて、中でもちょうど開花時期のエゾスカシユリのオレンジ色が1番目立っている。遠くに目を転じればオホーツク海や、緑の草原に浮かぶような涛沸湖(とうふつこ)などの眺めも素晴らしい。原生花園の最盛期なのに観光客は意外と少なく、落ち着いて散策することが出来た。原生花園駅のホーム横には濃厚で鮮やかな紫色のヒオウギアヤメがひっそりと咲き、駅にささやかな彩りを添えていた。

 列車がやってくると遮断機が降り、踏切を渡ろうとした観光客の流れが止められ、暫く待たなければいけない。列車の中からそんな人々を見ていると、手を振ってくるガイドさんらしき人がいたので、私も笑みがこぼれ手を振り返す。顔つきが日本人らしくなかったので、台湾の人かもしれない。近年、台湾では北海道観光の人気が高く、多くの人が訪れている。新千歳への直行便が就航し、チャーター便も飛来して来る。

オホーツクにいちばん近い駅、北浜駅
 列車に乗り、1つ網走寄りに戻り、北浜駅で釧路行きの列車を待つ事にした。下車したのは私だけだった。「停車場」が運良く臨時営業していないか外から様子を窺ったが、やはり休みだった。

 北浜駅は「オホーツクにいちばん近い駅」で線路の向こうが海岸で、オホーツク海が間近だ。海岸には誰も居なく海の眺めをを独占している気持ち良さに、少し取り残された寂しげな気持ちが混じる。天気が悪く少し暗いからだろうか…?海岸にはゴミや多くの貝殻が打ち上げららている。海に来ると、何故か奇麗な貝が無いか落ちていないか探してしまう。そして、運良くウニや蟹など美味しい海産物がでも打ち上げられてないかのチェックも忘れなかった。だけどそんなうまい話は落ちていなかった。

 北浜駅の待合室に戻った。待合室の壁一面には使用済みの定期券、乗車券、果ては交通違反の反則切符まで様々な紙片が隙間無くびっしりと貼り付けられている。来訪者が記念に貼っていくのだ。私もこの駅に何度か訪れた事があり、過去の来訪の証をじっくりと探す。その時に駅前の駐車場に観光バス1台が停車して、20人近くの位のバスツアーの観光客がガヤガヤと狭い待合室に入ってきた。オホーツク海にいちばん近い駅として結構有名なのだ。バスツアーの観光客達は室内の壁いっぱいに貼られた紙片に驚いて、つられたように何か紙を取り出し、バンドエイドで貼っている人もいる。騒がしいので、一時駅舎の外に避難する。だけどそれも束の間で、その人たちはもうバスに乗って去った。待合室には嵐が去ったような静けさが戻った。
小清水原生花園と原生花園駅駅舎

花盛りの小清水原生花園。原生花園は
道内各地にあるが、中でも小清水原生花園
は特に有名。釧網本線がすぐ側を通り、
ログハウス風の原生花園駅駅舎が
立っている。
今が盛りのエゾスカシユリ(小清水原生花園)

今が開花時期のエゾスカシユリが咲き誇る。
オホーツクにいちばん近い駅、北浜駅の駅舎

原生花園で時間が余ったので一駅
隣りの「オホーツク海にいちばん近い駅」
の北浜駅に寄る。駅舎内の喫茶店
「停車場」は残念ながらこの日は休み。


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