No。111

ポリシーとフェアトレード
2002.5.27
by Y.Tomizawa


1.生活提案に乗らない

いや、ね、ホントはネタにしたくなかったんですよ。
今時、ADSLを導入したくらい、何て事ないし。
単なる、「シロウトのADSL導入奮戦記」というのは、イヤだなって感じで。

でも、相変わらずダメなんですよ。
情けないんですが…。

でもね、どうしてこうパソコン関係の説明書って、不親切なんでしょうね。
この「バイオの説明書」の「ワイヤレスLAN」の項目を見ていくと、「詳しくはワイヤレスLANの説明書をご覧ください」。
で、「ワイヤレスLANの説明書」を見ていくと、今度は、「ヘルプファイルをご覧ください」とある。

今回の最大の失敗は、「ソニーのワイヤレスポイント」を買ってしまったこと。
これですなぁ。
私としては、「すべてソニー製品だったら、設定もラクだろう」と思っていたんです。
でも失敗でした。
ここは「ソニー製品」で固めることよりも、「売れている製品」で固めるべきでした。

少し前にも書きましたが、私が「ベータマックス」で体験した苦い経験が、ここでは全く生きませんでした。
「IT製品は売れているのを選べ」という鉄則を。
だからケータイも、Jフォンから乗り換えたのに。
それも、王道中の王道の、N502iを、すぱっと買ったのに。
だからパソコンも、バイオにしたのに。
富士通ビブロのままでもよかったんだけど。

「少し待って、最も売れているのを選べ」
これが、最近のIT製品を選ぶ基本ですね。
おそらく、皆さんも結果的に、こういう風に判断していると思うんですよ。
だから、「一人勝ち現象」になる。

メーカーがしてくる「生活提案」みたいなの、いっぱいありますよね。
「ワイヤレス生活で、どこでもインターネット」みたいなね。
「キッチンでも、バルコニーでも、ベッドルームでも、インターネット」とか。
たしかに、いい感じなんですよね。

だから、私も、つい盲目的に「ソニー製品」で固めてやろうと、いつの間にか思いこんでしまってました。
もっと冷静になるべきだったなぁ…。
(思わず、遠くを見つめてしまう…狭い部屋の中を(^-^.))

混乱に拍車をかけているのが、私のバイオが「ワイヤレスLANカードが内蔵されている」こと。
カミさんの方は、普通の大型ノートバイオなんで、そんな余計なものはついてません。
だから、一緒に買ったLANカードも1枚だけ。
カミさんの方は、うまく設定できたんですけど、私の方は、うまくいかない。

いや、正確に言うと、それぞれネットには、すでにつなげているんです。
2つのバイオの共有設定が、ワイヤレスでできないんですね。
これができないから、2台のどちらかしかネットにつなげることができない。

もうちょっと冷静にやれば、できると思うんですけど、何かもう疲れたんで、ちょっとほったらかそうと思います。
まあ、「放置プレイ」というか。(^▽^;
いちおうあれこれ雑誌とか書籍は買ったんですけどね。

これからボーナスシーズンですので、何かIT製品を買おうとお考えの方は、よろしければご留意ください。
「売れているものを選べ」ということを。
これ、当分私のポリシーとしておきます。



2.アド生

ビール業界が、また賑やかになってきて。
ビールだけじゃなくって、低アルコール飲料も賑やか。

キリンの「氷結果汁」が、「果汁という言葉はジュースと誤認するから、まかりならぬ」とのお達しにより、「キリン氷結」になっちゃった。
何かヘン。
アサヒが、サントリーの「スーパーチューハイ」と真っ向勝負という感じの「スーパーサワー」で巻き返しを図れば、昨日の日経MJには、サントリーが、「ビール→チューハイ ドライファンが大移動を始めているらしい」との広告。
まあ気持ちは分かるんですけど、皆さん泥仕合は醜いので、やめましょうね。

消費者って、「価格低下を伴う戦争」は、それなりにメリットが伴うので、興味津々になると思うんですけど、あんまりドギツイことばかりやられると、ちょっと引いちゃうと思うんですよね。
やっぱ、日本人ですから。
正面切った対決よりも、「まあまあ」と仲裁して、調整してしまうというか。
外務省や政治家連中じゃないんですけど、「日本的決着」というのは、我々の血に、脈々と流れていると思うんですよね。

で、そんな中、サントリーが、これまた挑戦的な「アド生」という発泡酒を出してきました。
缶のパッケージ部分に広告を入れて、その分、価格を安くする。
通常だったら、145円のところを、協賛企業の広告費によって、10円以上安く、128円で売る。

まあ、実際には、発泡酒は「ケース」で買う人が多いでしょう。
350ml×24本のケースが、だいたい2980円が、一つのポイント。
実質的に、1本あたり124円くらいなんですよね、ケースで買っている人は。

これが、この「アド生」だとどうなるんでしょう。
2780円だと、115円。
でも、これ商品自体が売れなかったら、すぐ安売りにされるから、ヘタしたら、1本100円を切る店も出てくるかも知れません。
いくらで店頭に並ぶか、注目ですよ。

実売価格も気になるんですけど、もっと気になったのが、最初の協賛企業が、「ユニクロ」だったこと。
正直言って、今、ユニクロは、流れとしては、「下がり目」ですよね。
既存店の売り上げが、対前年比40%以上ダウンとか、社長交代に向けての、内部のゴタゴタとか、いいイメージ、いい情報が少ない。

サントリーも、この企画を持ち込んだのが、いつだったのか分かりませんけど、かなり「裏目」だと思うんですよね。
「去年だったらよかったのに…」
こんな感じじゃないですか?

ユニクロに続く企業は、「松竹」「エイベックス」「KDDI」と、これまた微妙なところ。
「松竹」は、映画の宣伝なんでしょうけど、何があるんだろう。
と思って調べてみたら、「ロード・オブ・ザ・リング」は、もうすぐ終わり。
「アリ」なんですかね?
それとも、夏公開の「釣りバカ日誌」?
これじゃ何か、マーケット狭そう〜。(^-^.)

エイベックスも、販売ターゲットが「20歳以上確実なミュージシャン」でないと、「氷結果汁」みたいな、「お子ちゃまに誤認させかねない!」と、PTAや主婦連に怒られそう。

KDDIはねぇ、こんなところに広告を出している場合なんすかね。
大丈夫なのかな、経営的に。
ドコモでさえ、あれこれ苦しみ始めているんだし。

でも、このサントリーの「アド生」。
協賛企業として、競合のメーカーが申し込んできたら、どうするんだろ。(^-^.)
まあ、ありえないんでしょうけど、ここは「大人の対応」で、「いいですよ」ってやって欲しいですよね。
サントリーの「アド生」の、パッケージに、「これが辛口 アサヒスーパードライ」とか。
ああ、ユニクロの「ドライシャツ」つながりで、いいじゃないすか。



3.フェアトレード

「フェアトレード」って、ご存知でした?
この前、NHKの「クローズアップ現代」で取り上げていたのを見ました。
http://www.fairtrade.org.uk/

要するに…
・生産者を苦しめるだけの、デフレ価格はよろしくない。
・生産者も「Fair」な取引に参加してこそ健全な取引である。
・ついては、通常価格にいくらか上乗せした価格で売る。
・その上乗せ分は、生産者にきちんとフィードバックする。

という感じ。

テレビで取り上げられていたのは、「南米のコーヒー農家」。
彼らは、自分たちの作ったコーヒー豆が、「どういう袋に入れられて」、「いくらで打っているのか」も、全然知らないみたいなんですね。
ちょっとステレオタイプな表現なのかも知れませんけど、「悪質な中間業者のピンハネがきつい」ということみたいです。
で、そういう、無知な生産者も、きちんと取引に参加できるようにする。

もう1つは、サイトにも書いてありますが、「No child or forced labour」。
まあ、南米とか、アフリカですと、やっぱりそういうことはあるのでしょう。

テレビでやっていたのは、コーヒー豆を英国内で販売する会社の社長(女性)が、生産農家を見に行ったときに、取引に対する無知さや、生産環境の劣悪さに驚いて、「自分たちは不当な低価格を生産者に押しつけていたのでは」と考えたそうです。

で、今まで、そういう生産の現状に「無知」だった自分たちも、そういうことを改善し、「正しい分け前」を生産者にも享受してもらおうとしたわけです。
その結果、「このコーヒー豆は、隣に置いてある豆よりも、ちょっと高いですが、その分きちんと生産者に還元します」と貼り紙がつけられることになる。

長々と書きましたけど、これって画期的ですよね。
おりしも、日産のゴーン氏の、「コストダウン」について、あちこちで語られていた時でもあったので、私も、思わずうなってしまいました。

いや、実は私も、この「マーケティング的コラム」の第2回に、「適正価格」なんて題で、生意気に書いているんですよ。
(^▽^;ドウダマイッタカ
http://www.horae.dti.ne.jp/~tmt/column/002.htm
(えらく短い文章で、これじゃホントのコラムみたいで、しかも「気の向いた時に、つづく」と書いておきながら、その気配は全くなし)

100円で売っていたものを、競争激化もあり、90円、80円と値段を下げて売ろうと「努力」する。
その生産工程などに、10円、20円の「ムダ」があるのなら、値下げする意味はあるでしょう。
でも、そのために、納入業者に「ムリ」を強いるのであれば、それは「適正価格」と言ってよいのでしょうか。

納入業者は、「販売者が売りたい価格」に、どこまで従うべきなのでしょうか。
全員がハッピーになる取引なんて、ありえるのでしょうか。
難しい問題です。

カルロス・ゴーンは、この「フェアトレード」を、どのように考えているのか、知りたいですね。
で、それを、日産に納入業者の前で、宣言して欲しいくらい。

でもね。
さっきの南米のコーヒー農家が、いきなり「ベンツ」にでも乗り出したら、何かヤダなって感じもしませんか?
うん、こんなこと書いている私も、心のどこかで、「あんたたちは、せいぜいダットサンだろ?」みたいなこと考えている。
皆さんは、どうですか?
私が、ワイヤレスLANなんて導入できるのも、誰かに苦労を強いているのかな…。

上流から下流まで、みんなが「ベンツ」に乗れるような取引なんて、ありえるのでしょうか…?
みんながというよりも、「ちゃんと努力した人には、適正な利益を享受する権利がある」という感じなのでしょうか。
ビジネス社会の達人の方々は、「努力だけで果実は得られない」とか言われそうですけどね。
でも、一連の生産工程の中で、「勝者」と「敗者」がいてはいけないと思いますね。
うん、それだけは正しいのではないかと思います。

どうです?
いつになく超マジネタでしょ。
たまには、こういうことも取り上げなきゃね。(^▽^ハハハ