No。064
日本プロ野球終焉の日
2001.7.23
皆さん見ましたか、「日本のプロ野球のオールスター」。
「日本の」「プロ野球の」「オールスター」と、いちいち言わなくては、皆さんの理解を得られないところが、日本のプロ野球の現状を象徴していますね。
22日付朝日新聞スポーツ欄のコラムにも書かれていましたが、土曜日のフジテレビの中継はひどかったみたいですね〜。
幸いにも私は見ませんでした、どうせそんなもんだろうと思って。
でも、球場での演出は、今年は「よかった」と思いますよ。
始球式も、昨日は福岡、今日は神奈川の地元の小学生だったし…。
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それにしても、相変わらずなのが「テレビ局」。
朝日新聞のコラムのこともあったので、今日は最初のあたりを少し見ていたんですけど、なんで「選ばれている選手」が、のこのこ放送席に座っているんでしょうか?
しかも、試合後半に出るだろう選手が、放送の頭から…。
まあ、所詮そんなもの?
まあいいでしょ、日本のオールスターは、こんなもんだから。
やっぱり、スポーツである前に、興行なんでしょうな〜、発想の原点が。
だいたい、いつからオールスターでは、投手はストレートしか投げてはいけないことになったんだ?
ストレートしか投げないのが分かってるんなら、打たれるに決まってるじゃん。
150キロが投げられる訳でもないのに。
だから、昨日、今日の打撃戦も当たり前の結果でしょう。
まあ、ここは「マーケティング的コラム」で、「スポーツコラム」ではありませんので、「日本のプロ野球かくあるべし」は置いておきます。
でも、「かくあるべし」は書かなくても、「いよいよやばいよ」は書いておきたいと思います。
そう、少し前「第56回」のコラムに書いたことを、もう少し筆を進めてみます。
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ゴルフの丸山茂樹が、ついにアメリカツアーで優勝しました。
あのトーナメント自体は、一線級が出ていないので、マスコミが騒ぐほど、「価値ある優勝」だった訳ではないです。
でも、ヤツは、一度調子に乗ると、そのまま行っちゃうタイプでしょうから、早晩2度目のツアー制覇が訪れることでしょう。
で、「日本のプロ野球」にとって、この「丸山優勝」の意味って、とてつもなく大きいと思うんです。
え? 間違っている訳ではありません。「日本のプロ野球にとって」です。
イチロー、新庄のおかげで、それでなくても日本のプロ野球のニュース価値が下がっているというのに、これ以上、ニュースソースを「日本のプロ野球以外」に持って行かれるのはマズイということです。
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Jリーグの人気がまだまだと言いながらも、「小野オランダ移籍」とか、「稲本アーセナルへ」とか、「ピクシー引退」とか、少し前だったら、何のニュース価値もなかったようなことでも、今ではトップニュースで扱われたり、新聞の一面を飾ってますよね。
ゴルフについても、少し前、青木功が元気(失礼!)だった頃は、アメリカのシニアツアーもよく取り上げられていましたが、ここ数年は、日本人的には沈滞気味。
そういうところに、この丸山の優勝。
私自身、ゴルフが好きで、よく見ていますが(今も全英オープンを見ながら書いてます)、別に丸山以外でも、日本の選手(特に男!)は結構海外に出るようになっています。
だから、この丸山の優勝が引き金となって、「ならオレにも…」という気持ちになると思うし、そうなってしかるべきでしょう。
だいたい、青木さんも調子がいいみたいだから、「オレを忘れるなよ!」みたいに燃えて、優勝しちゃったりして…。
最近のスポーツ新聞のトップ記事の優先順位は、「メジャーリーグ」→「ワールドレベルのサッカー」→「日本プロ野球」ではないかと思うんです。
そう、「Jリーグネタ」では、確かに盛り上がりませんが、W杯も控え、「世界に通じているネタ」だったら、サッカーでもマスコミは取り上げるんです。
「メジャーリーグ」→「ワールドレベルのサッカー」→『世界のゴルフ』→「日本プロ野球」。
この構図になったらマズイよ、ということです。
いや、こんな細かい構図はなくても、『日本人が活躍する世界のスポーツ』→「日本のプロ野球」には、確実になるでしょう。
仮にこうなったら、当然、日本プロ野球の露出は、「相対的」に減る。
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マーケティングは、すべて「相対的」なものということは、前にも(第56回)書きました。
いくら「よい商品」を作っても、それ以上に、競合が「もっとよい商品」を出していれば、ほとんど意味はなさない。
商品開発の当事者になってしまうと、この辺が確実に見えなくなりますよね。
「自分の商品はこんなに優れているのに、どうして売れないのか…」と。
仮に、松井がホームランを50本打っても、松坂が25勝しても、そんなこと「たいして意味がないよ」ということは、本人達がおそらく一番分かっているはず。
だいたい、最近は、松井のホームランなんかより、新庄のポテンヒットの方が、ニュース価値は高いんじゃないですか?
とりあえず、今のところは、絶対に「そう」でしょう。
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日本のプロ野球は世界につながっていないのか?
いや、いちおうつながってはいますね。
でも、サッカーとゴルフ、この2つのスポーツと野球の違いは、サッカーとゴルフの選手が「円満」に海外に行っていること。
イチローも新庄も、一悶着ありましたよね。
だいたい、野茂がそうだった。ついでに言えば、伊良部も。
佐々木も、円満とは言いにくい経過もありました。
野球選手の海外進出は、みんな「喧嘩別れ」の結果という感じ。
自ら、世界と壁を作ってしまっているのが、日本のプロ野球。
それに引き換え、この前の、浦和レッズの小野伸二移籍のセレモニーは、「オレ達の伸二を世界へ温かく送り出す」という雰囲気が一杯。
この構図ができてしまえば、Jリーグは「世界の2部リーグ」であろうと、絶対に廃れないと思います。
だって、小野も稲本も、イチローや佐々木みたいに、二度と帰ってこないんじゃなくて、それどころか、来年以降もっと強くなって、「日本代表としてプレイを見せてくれる」のですから。
かなり強引なたとえかも知れませんが、サッカーやゴルフの日本選手は、「SONY」や「HONDA」みたいに「世界と戦う日本製品」という感じ。
一方、日本のプロ野球選手は、「日本独自の基準で反映してきた国内でのみ通用する銀行業界」って感じ。
どうでしょうか?
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今回のタイトルは、「日本プロ野球終焉の日」。
そう、今日のオールスターを見ていて、「もうおしまいだな…」、何となくそう思いました。
なんでも、来期は、かのシアトル・マリナーズが、日本で開幕戦をやるとか。
そうなったら本当に、日本プロ野球のメジャーの2軍化は避けられないでしょう。
だいたい、野球に「全英オープン」はないんですから、メジャーリーグに従属する以外に道はない。
ゴルフやサッカーよりも、置かれている状況は、意外と厳しいです。
でも、それでもいいと思うんですよね。
そんなことより、松坂や松井を温かく送り出してあげた方が、長期的に見たら、絶対に繁栄すると思うんですが…。
そういや、日本の金融機関も、すでにあちこちで外資の力を借りたりしているじゃないすか。
やっぱ、プロ野球も外資の力を借りる以外、生き残る道はないと思うんですけど。(^-^;)