特急白鳥12時間55分の旅路(4)


新潟駅に到着した特急白鳥

全行程の約半分を走り、新潟駅で一休み。
ダイヤ通りだと、上りは17分も停車する。
長時間乗車の気分転換にはちょうどいい時間。
新潟で小休止
 青森駅から6時間15分走り、12時22分に5分遅れてようやく新潟駅に到着した。思った程、眠くなく退屈しなかった。2号車の十数人と少ない乗客の半分が降り、7人が新潟を跨いで先を目指す。
 列車が遅れたとはいえ、12分の停車時間があるので、白鳥の写真撮影と昼食の駅弁調達のために、ホームに出た。13時間の長旅ではちょうどいい気分転換だ。
 ホームでは、白鳥から下車した多くの人が階段に向かっている。まず2番ホームに回り写真を撮る。私の他に白鳥の乗客や新潟駅で待ち構えていた鉄道ファン達が終焉を迎えようとする白鳥の姿をカメラに収めている。1番ホームに戻り駅弁屋で昼食を買い外から車内を一通り見た。新潟で多くの乗客が降り、自由席も人が少なく寂しい。全区間乗り通す乗客の物だろうか、窓際に小さいペットボトルが2個並んでいるのは、白鳥が長距離の列車だと感じさせる光景だ。
 自分の席に戻ると座席の向きが変わっていた。新潟からは進行方向が変わるので座席の向きを変えようとしたのだが、私の前後の人が向きを変える様子が無かったので、そのまま車外に出てしまった。向きが変わり私の後ろの席となった金沢までの女性が変えておいてくれたみたいだ。その人は「すみません勝手に変えて」と謝っているが、私もその方が良かったので「いえいえ、ありがとうございます」とお礼を言った。

あと6時間半
 新潟を12時34分の定刻に出た。元々17分の長時間停車を削り、5分程度の遅れを戻した。改めて車内放送があり停車駅の案内などをしている。車掌は新潟運輸区に変わっていた。昼時で車内をまわっている車内販売の人も、違う人に入れ替わっている。
 新潟市を離れるにつれ、また雪を被った水田が多くなる。景色を眺めながら新潟で買った「鮭はらこ弁当を」食べた。「はらこ」とは鮭の卵のイクラの事で、鮭の親子どんぶりと言ったところだ。ご飯にはもちろん新潟のコシヒカリを使っている。
 弁当を食べていると、後ろの方からガチャンガチャンという音が聞こえてくる。車掌が向きが変わってない座席の向きを変えながら進んでいる。他の乗客に一旦立ってもらってまで向きを変えている。忘れないうちにと車掌を呼び止めて山科ー大阪間の乗り越し精算をしてもらう。
 長岡に停車する前に青森から乗リ続けていた初老の夫婦が私の近くに座っていた鉄道ファンに「長いことお疲れさん。お先に失礼します。」などとにこやかに挨拶をしている。次に私の所に来て同様に挨拶をしていってくれた。私も「お気をつけて」などと返答する。2号車で始発の青森から乗っているのはその夫婦と鉄道ファン2人だ。その夫婦は人が良く気さくなところがあるのかもしれないし、7時間も同じ車両で旅した鉄道ファン2人に「旅は道連れ」というような連帯感のようなものを感じたのかも知れない。この出来事に汽車旅の人情のようなものを感じた。
 柏崎を過ぎ再び日本海が姿を現す。私の席は山側だったけど、まだ座席は空いていて海側の席に移動した。海の間近にある青海川駅を一瞬で通過しトンネルに入る。トンネルを出ると信越本線旧線のトンネル跡などを利用した遊歩道が見える。現在の信越本線はこの海岸沿いをいくつものトンネルを遠回りせず掘り短絡している。
 直江津を過ぎ、再び日本海側に出てトンネルを出たり入ったりしている。ダイヤ通りなら、このあたりで下りの白鳥とすれ違う。トンネル内で不意に赤線にクリーム色の車両と一瞬すれ違った。はっきり確認できなかったがたぶん下りの白鳥だろう。下りの白鳥が終点の青森に着くのは22時59分と、一日が終わろうとしている約1時間前だ。
 糸魚川を定刻の14時40分に出た。8時間半走っても、各停車駅でホームを見ても並んでいる人はあまりいない。白鳥は未だローカ特急の雰囲気だ。北越急行が開業してから、そこそこ賑わっていた関東−北陸間の需要を奪われたのだろう。この状況は富山まで行かなければ変わらないかもしれない。車窓の右手には相変わらず日本海、左手には雪を被った山々が続く。何時間とこの光景を見てるのでさすがに少々飽きてきた。長時間乗車の疲れもあり、カタンコトンという心地良い列車の振動が眠気を誘う。
新潟駅の駅弁「鮭はらこ弁当」

昼食に今日2食目の駅弁
新潟駅の「鮭はらこ弁当」を食べる。
糸魚川駅に停車

糸魚川にて。もうJR西日本のエリアだ。

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