特急白鳥12時間55分の旅路(3)


特急白鳥の指定席特急券



今回使った乗車券

白鳥の特急券(上)と今回使った乗車券(下)。
名古屋発名古屋行きというすごい乗車券を作
った訳は、「途切れないで連続した経路なら
運賃が安くつく」事と、「下北交通など他の訪問
地をいかに効率よく回るが」などを考慮した
結果。しかし我ながらすごい乗車券…。
日本海沿いに南下
 車内放送が終わりしばらくしたら車掌さんが検札に来た。私は大阪まで乗り通すつもりだが、乗車券は湖西線、山科経由名古屋行きなので山科−大阪間を精算してもらわなければならない。申し出ようと思ったが、近くに座っている鉄道ファンが同じ事を聞いている。その人は横浜まで帰るみたいだ。その車掌が言うには新潟で車掌が変わるから、そのときに言ってくれとその鉄道ファンに言っている。車掌さんが私のところに来た時、私も後で精算しますといって検札してもらう。
 検札が終わるまでは頑張って起きていたが、昨晩よく寝れてない上に、ちょうど弁当が胃にもたれてきて、眠さが全身に回って来た。白鳥からの日の出を見たかったが、もういいやと思いしばらく眠ってしまった。外は明るくなり始めていた。
 8時前に目を覚ます。東能代を過ぎた後みたいだった。もう外は明るくなっている。相変わらず雪深いが、天気は曇りで時々日が差し今のところ悪くは無い。車窓の左側には雪を被った山がよく見える。
 もうすぐ秋田のはずだが減速する気配が無いと思っていたら、4分遅れていているというアナウンスがあった。続いて間もなく秋田到着と乗り換えの丁寧過ぎるほどのアナウンスがあり、秋田に到着した。2号車からはサラリーマン風の男性が下車した。
 秋田が県庁所在地の駅だとはいえ、白鳥の指定席に乗ってくる人は、全体で見たところ10人程だ。2号車にも数人が乗り、私の前に20代の女性が座る。後で改札の時この人の乗車券をチラリと覗いたが、何と金沢までの切符だった。鉄道ファンを除くと、
、長距離・長時間乗車の部類に入るだろう。
 結局、4分遅れで秋田を出発した。単線をそれほど早くないスピードで悠々と走っている。
 秋田市の市街地を走り抜けると、右手に楽しみにしていた日本海が見えてきた。曇りで光が差さないせいか、暗くて青く色をしている。沖合いの風は強くいくつもの白波を立たせ海岸に近づいている。何度かこの辺りは通ったが夜ばっかりだった。日本海の景色を存分に眺められる上りの白鳥を選んだのはこの事が大きい。
 羽後亀田で行き違いという事で一旦停車したがすぐに発車してしまう。たぶん9時8分に羽後亀田を出る535M列車と行き違う予定だったのだろう。単線だから少しダイヤが乱れると全列車に遅れが波及する事が多々ある。白鳥もあまり遅れなければいいのだが・・・。
 羽後本荘の手前で車内販売が始まるというアナウンスが流れる。始発の時点で何の音沙汰も無かったから、秋田から乗り込んだのだろう。コーヒー、お弁当、おつまみ、ビールの他、なぜか横浜崎陽軒のシュウマイまで売るそうな。車販が近くまで来たら早速コーヒーを買う。他の乗客も待ちかねたように何かを買っている。朝のせいかモーニングコーヒーを買う人が多いようだ。車内にかすかにコーヒーの香りが漂う。
 車窓には相変わらずは左手に雪を被った山々、右手には日本海が見え隠れする所を走り続けている。車内で景色を見ながら飲むコーヒーもまた格別だ。
 場所車内は暖房の効きすぎで少し暑い。乗車してからまだトイレに行ってないので気分転換を兼ねて行ってみた。途中で車内の温度計が目に入り19℃になっている。暑いはずだ。だが、デッキに出たら、外気が隙間から入り込んでいるおかげで、客室と打って変わってひんやりしてかえって気持ちがいい。デッキには1つ余分にゴミ箱が置かれ、洗面所の横にはレジ袋が吊るしてあり、長距離列車のゴミ対策も万全のようだ。
 途中でのろのろ運転になり停止してしまった。すぐ停止信号だというアナウンスが流れる。だけどすぐ動き出した。やはりダイヤの乱れがあるみたいだ。
 女鹿駅辺りからの日本海の眺めや入り組んだ海岸線がとても素晴らしい。天気も少し良くなったようで明るくなってきた。遠くの方に酒田市に属する飛島が見える。そういえば、白鳥は青森県、秋田県を過ぎ、山形県に入っている。
 山形県の日本海側の主要都市の酒田、鶴岡でも指定席にはそれ程の乗車は無い。新潟までは割と混むとも聞いたのだが、指定席はそうでもないのかもしれない。青森から4時間走って、この辺り間で来て積雪が少し減ったような気がする。晴れてきて強い光が差し、雪に反射して車窓に見入っていると雪目になってしまいそうだ。この辺りは庄内米の産地で「庄内米」と書かれた看板も目にし、水田と思われる雪を被った広い土地が目立つ。
 霞んだ出羽三山を見て過ぎると、日本海の沿岸に出る。海岸に奇岩やどっしりとした岩が目だつ複雑な地形で、何度も日本海を眺めては短いトンネルに入ってこの地形を越えている。トンネルを抜けては海岸沿いに集落があり、黒い瓦屋根の住宅郡に光が反射し、屋根が黒光りしている。ここだという決定的な地点は無いが、ついボーっと見入ってしまういい眺めだ。
 村上を目前にし、間島駅で「単線運転切り替え準備」という理由で停車した。数分後動き出し、ゆっくりと走り出し途中の作業用車両数両がが反対側の線路上を占領しているのが見えた。線路の保守作業の最中に通りがかってしまったみたいだ。ようやく村上に到着し6分遅れで出発したがのろのろと走っている。遅れが広まりそうだ。
車窓から見える日本海

車窓の外に広がる日本海。
特急白鳥沿線風景、雪の山

雪を被った山と畑が車窓に広がる。
特急白鳥から眺める日本海

日本海に沿った複雑な地形を行く。
村上駅に到着

新潟県最初の停車駅、村上に到着。

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