特急白鳥12時間55分の旅路(1)


特急白鳥(青森-大阪)

特急白鳥。運転距離1040km、所要時間
約13時間という昼行の日本最長距離、
最長時間を誇る特急列車。
芦原温泉駅で撮影。(2001,2)

特急白鳥廃止
 大阪−青森という、国内で昼行列車で最長距離と最長時間を誇った特急白鳥が2001年3月2日を最後に遂に廃止されてしまう。かつては大阪−上野間もあり、途中まで併結していたが、運行開始の1961年から、大阪−青森の区間は変わらない伝統の特急列車だ。かつては北海道連絡という使命があったが、今では、ほとんど航空便に取って代わられてしまい、大阪−青森間の日本海側の諸都市間を細々と連絡していた。
 白鳥が通る主要都市には、大阪から航空便が何便か就航していて、鉄道にも寝台特急日本海が2往復ある。長距離移動の便が確保されている中、昼間に十時間程も掛けて行き来するのは甚だ不便のように思える。でも長らえたのは多分航空便の恩恵を受けない地域の昼間の移動のためなのだろう。
 私の中では、白鳥はこのまま走り続けるのだろうとのだろう漠然と思っていて、白鳥廃止はまさに寝耳に水だった。廃止の理由は長距離旅客の減少だという。航空便の恩恵を受けない地域のためと述べたが、その需要もさえ少ないのだろう。何せ、2001年1月では、白鳥の運転区間に当る所を飛ぶ航空便でさえ、大阪−新潟5往復、大阪−秋田、青森各2往復だけなのだから。

特急白鳥の思い出
 私は10年前、北海道に行くため京都−青森間で白鳥に乗車したことがある。指定券が取れなくて自由席に並んで座った。車内はほぼ満席だったが、何とか座れた。検札の時、車掌さんが「長いご乗車ご苦労様です!」と私に言ったのには不意を突かれ、何故かちょっと嬉しくもあった。全区間ではないとはいえ、これほど長距離乗る人が珍しいのだなと感じた。
 満席だった車内が、富山を過ぎてから、空席が目立つようになった。
 そして、16時過ぎに新潟に着いた。これでおよそ全行程の半分になるが、「まだ6時間も乗っていなければいけないんだ…」と思い、鉄道旅行好きの私も、さすがにうんざりしたことは鮮明に覚えている。
 新潟で多くの乗客が降り、新しい乗客を拾ったが、駅に停車するたびに車内の人数は減っていき、日が沈んで暗くなった車窓と共にさらに侘しさを募らせた。
 夜になり車内販売が最後になると言う放送があったので、販売員が近くに回ってきた時に夕食に弁当を購入した。確か茶飯だったという記憶がある。だが2時間程経過し、私が弁当を食べ終える頃に何故かまた車内販売が来た。先ほどと別の人だった。悪意があったかどうか知らないが、不可解な事だ。
 やがて私の号車の乗客は数えられるほどになり、秋田を過ぎても乗客が増えると言う事は無かった。 定刻に青森に到着し、約10分で接続する急行はまなすに乗り、札幌に向かった。

 その時が下りで、新潟以遠の日本海の景色が夜で見られなかったので、お別れ乗車では上りに乗ることにした。朝が6時11分と少し早いのが難点だけど…。
特急白鳥のヘッドマーク

このヘッドマークももう見られなくなる…。
上沼垂色の特急白鳥

ある日の“上沼垂車”特急白鳥。青森駅にて。
1989年7月から1997年の3月はJR東日本上沼垂
運転区のグレードアップ車が白鳥に投入され
ていた。(1990年代前半)
485系の日本国有鉄道の銘版

そして1997年3月から485系国鉄色
で運用され、終幕を迎えようとしている。
「日本国有鉄道の銘盤が未だ取り付け
られている。

TOP鉄道旅行(鉄道旅行記)

特急白鳥12時間55分の旅路[1][2]-[3]-[4]-[5]

my旅BOX-鉄道旅行と旅 Copyright(C) 2003 solano, All rights reserved.