No。106

フレックス廃止とユニクロ減益
2002.4.22
by Y.Tomizawa

昨日(4/21)の日経朝刊、見ていただけました?
いや〜、まさか3面のあんないいとこに広告が入るとは(^-^;)。
日曜の午前10時くらいから、Amazonの順位が、一気に上がりましたし、うーん生まれて初めて、身をもって広告効果を感じました。

これまでは、お客様の広告について、あーだこーだと言うばかりだったんですけどね。
それも、「新聞なんて、全然効果ないっすよ」みたいなことまで言ったりして。
「だいたい新聞の広告料は高すぎ」とかね。
それはそれで事実なんですけど、でも実際に効果があるということも、ホント理解できました。
ハイ、新聞の威力を、少し見直しました。
少しだけですけど。

---

シャープが、「フレックスタイム制」を廃止するそうです。
理由は、

1)顧客からの連絡が滞る
2)人事管理が面倒
3)残業時間の延長につながる

ということだそうです。
皆さんは、どう思われますか?

この「フレックス廃止」は、一見、時代に逆行しているようにも思えます。
今の時代は、むしろ「すべて自由」に向かっているはず。
「自由な発想のために、会社に縛られないで動け」とか、評論家諸氏もおっしゃってますな。
ちなみに、私の勤めている会社はフレックスではなく、「完全自由裁量制」。
でもね、私、何でもかんでも「自由」にするのは、間違っていると思うんですよ。

そもそも「フレックスタイム」を導入するなら、「残業時間」という発想も捨てなくてはいけないはず。
シャープのようなメーカーであれば、ホワイトカラーもいれば、ブルーカラーもいるはず。
こういう会社では、「残業時間」という発想は捨てられない。
工場では、交代勤務制だろうから、稼働率が上がってくると、やっぱり「残業」という発想があって当然だと思います。
事務所で一日考え事をするような人と、ラインの管理をする人は、やっぱり同じ管理制度ではいけないでしょう。

ところで、シャープの競合は、どこなのでしょうね?
ソニー? 松下?
違いますよね。
「中国」ですよね。

この前、三洋電機と提携した中国の家電メーカー「ハイアール」を特集したテレビを見ましたが、これがまさしく「日本の高度成長期」のような管理。
工場のラインを発明した社員は、その名前をラインにつけられるという報奨制度もあれば、反対に管理者の業績は食堂に貼り出されていて、業績の悪い管理者は、どんどんクビになるという厳しい制度もある。
高度成長の日本では、なかなかクビにはならなかったでしょうから、ある意味、かつての日本より厳しい管理かも。
ハイアールの経営者も、日本の家電メーカーに伍するどころか、本気で逆転しようとしている。
凄いパワーを感じました。

こんな奴らと闘っていかなければいけないのに、「フレックスタイム」なんて、ともすれば「ちょっとエーかげんな制度」をやっている場合ではないでしょう。
私は、会社の従業員とは、「人間」である前に、「歯車」であるべきだと思うんですよ。
かなり強烈な表現ですが、ご理解いただけますでしょうか。
歯車といっても、もちろん「意志を持った歯車」なんですけど。

だいーぶ前に、「カジュアルデーの是非」みたいなのも書いたこともあるんですけど、私は「自由」から「素晴らしいアイディア」は生まれないと思っています。
「抑圧」からこそ、画期的なアイディアは生まれるはずなんですよ。
ちょっと極端ですけど、金持ちになってしまって、ブヨブヨに太ったミュージシャンで、素晴らしい曲を書いた人なんて、そうそういないでしょう?
だから、企業は本当に従業員にクリエイティブな才能を発揮して欲しいなら、「ホワイトカラー」を、もっとガチガチに管理すべきだと思います。

シャープのフレックスタイム制廃止は、他企業にも、結構広がるような気もするんですけど。
というより、早いところ廃止して、キッチリ管理していかないと、ホント中国に負けちゃいまっせ〜。
彼らの人件費は、ホントめちゃめちゃに安いみたいだから。

---

その一方で、その中国のパワーを、うまく企業経営に取り入れたはずの「ユニクロ」は減益だとか。
そりゃあんだけ儲かっていれば、下がる時は来るだろうに。
マスコミも騒ぎすぎだと思いますよ。
いや、いい服あるじゃないですか、ユニクロ。
なんて、かくいう私が、最近やたらとユニクロ買っていたりして(^-^;)。

ファッションの分野では、私は完璧に「後期採用者」がいいとこです…。
ま、後期採用者とはいえ、「自覚した後期採用者」なんですけどね。
周囲が、やたらとユニクロばかり着ているのに、自分も着てしまうのは「野暮」というもの。
私のポリシーとしては、自分が「先駆者」でなければ、一気に「後期採用者」まで成り下がるという感じ。
で、みんなが「飽きてきた」頃に着るのが、せめてもの私なりの抵抗(-。-;)。
本心では、ブームの時に、結構着たかったりもするんですけどね。

私がユニクロ製品を、よく買うようになったのは、最寄り駅の構内に店が出来たためです。
これだと、確かに「ふらっと寄る」ことができるんです。
それこそ、「本屋」「コンビニ」に寄る感覚で、「ユニクロ」に寄る。
ユニクロの思惑に、キッチリ乗ってあげてるんですな〜。

でもね、「購入率」は、せいぜい2割くらいなんですよ。
買おうと思って店に入っても、買って出てくるのは、5回に1回くらい。
どうしてでしょうか?

「デザイン」なんですよね。
色がありきたりというか、うーん、私としては、もっとシンプルな無地が欲しいんですけど、「余計なライン」が入っているのが、結構あって…。
変なラインが入っていたりすると、「飽き」も早いと思うんですよね。
無地の方が、飽きが来るのは遅いはず。
というか、無地だったら、飽きるも何もないような気もします。

まあ、この辺は好みの問題でもあると思いますけど、でも、この辺の「デザイン」は、おそらくユニクロの「ホワイトカラー」(みたいな人)が考えているはず。
無地だったら、それこそ、色の指定だけすれば、中国の現地の人でも、生地を染めるだけでOKですよね。
(そんな大雑把なものではないと思うけど)
でも、「ラインを入れる」となると、そこに「センス」という問題が介入してくる。

「センス」。
ホワイトカラーにしてみると、いい言葉ですよね。
「オレのデザインを理解できないのは、お前にセンスがないからだっ!」
なんて、つい見たくなったりして。(^▽^

でも、企業経営の観点から見れば、これだけ曖昧な言葉もない。
ある人はOKというけど、ある人はダメだという。
こんなことをやっていては、いつまで経っても意見がまとまらない。
だから、効率の良い経営も標榜するなら、従業員個人の「センス」が介在することを、なるべく避けるべきでしょう。

ユニクロも、さらなる効率経営を目指すなら、デザインをどんどん「無地化」していくべきでしょうね。
でも、それだとダサいものばかりになるリスクも大きくなってくる。
少なくとも「ファッション産業」とは、認めてくれなくなるでしょうね。
特に、業界内から白い目で見られそう。
どうなるのでしょうか、ユニクロは。
私個人としては、とりあえずは、「無地バンザイ」ということにしておきますが。

---

個人のセンスが完全に排除されてしまうと、サラリーマン生活というのは、一気につまらなくなると思うんですよね。
そんなつまらない会社は、誰も入社してくれないでしょう。
「ソニー」「ホンダ」が人気企業なのは、この辺の「センス」を活かしてくれる会社と思われているからではないでしょうか。
実際には、どうか分かりませんけど、イメージとしては、そうではないでしょうか。

で、その「個人のセンス」を経営に活かす象徴の一つが、勤務時間について、個人の自由裁量の余地を増やした「フレックスタイム」だったはず。
しかし、シャープでは、それを廃止した。
ユニクロは、どうなんでしょう?
デザインを担当しているのは、誰なんでしょう?
フレックスタイム制が導入された職場で、デザインしているのでしょうか?

シャープのフレックスタイム制廃止と、ユニクロの減益。
全然違うことのようですが、実は「表裏」の関係とも言えると思います。