No。096
豚肉地位向上委員会
2002.2.11
by Y.Tomizawa

どうだって感じの「豚」先週つらつらと、東京は神田の街を歩いていて、ふと目に留まったのがこれ。

「松屋」なんですけど、松屋はかつて、「牛めしの松屋」と言っていたような。
正確な記憶ではありませんけど、「吉野家」との2強時代(?)には、そう謳っていたように覚えています。
それが、この思いっきり根性の入った大きさの「豚」の1文字。
いやいや、牛肉に頼っていては、経営もままならないのかな〜と思った次第です。
もはや、牛ではイカン、これからは「豚」だと。

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「松屋」のことをご存じない方に、少しご説明いたしますと、正式名称は「松屋フーズ」。
東京は江古田を発祥の地とする、牛めしチェーンです。
http://www.matsuyafoods.co.jp/top.html

サイトで調べてみたら、関東圏、東海圏、関西圏にしか店はないんですね。
一番西にある店でも、姫路あたりまでみたいです。
全国展開はしていなかったんだ(知らなかった・・・)。

でも店舗数が、90年3月末時点の67店から、01年3月には332店ですから、急拡大。
特に、この5年で2.5倍にもなっているみたいです。
「吉野家」の店舗数が784店(01年5月末現在)なので、レベルがまた全然違いますが、(当然の事ながら)「牛丼」の枠組みから抜けきらないのを後目に、グイグイ拡大しているんですな。

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で、この「豚」の文字は、豚肉を使った新メニューが出たよとのこと。
ひとつは、「マーボ茄子丼」で、さらに、「茄子・豚・辛味噌炒め定食」。
ま、この辺は、牛丼を食べている人なら分かると思うんですけど、要は、「牛丼」と「牛皿」の関係ですね。
一見、全然違うメニューに見えますが、ご飯にのっけて食すか、お皿に別に分けて食べるかの違いだけ。
あとひとつは、「豚汁定食」。

元々、松屋には、「豚生姜焼定食」とか、「豚キムチ定食」なんてメニューもありましたから、元々「豚」に対する親和性もあったように思います。
(しかし、「豚に対する親和性」という表現もなんつーかねぇ・・・(^-^;))
でも、やっぱり「牛めし」が元祖ですから、「豚系メニュー」は、やっぱり一枚落ちると思われていたはずです。
それが証拠に、松屋のサイトのメニュー紹介にも、「牛焼肉定食が一番人気の定食メニュー」と書いてあります。

それが、この「豚宣言」ともいってもよいポスターですから、松屋としては、結構大胆な転換と言ってよいのではないでしょうか。

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私も、「牛丼」は大好きなんですけど、普段の食生活としての優先順位は、

「鶏肉」→「豚肉」→「牛肉」

という感じです。
ガキの頃は、もちろん「牛肉→鶏肉→豚肉」でしたが、大人になって、酒を飲むようになって、やっぱりヤキトリを食べるようになって、それで「鶏肉」が1位。
そして、いつの頃からか、牛肉の相対的地位が下がってます。

というよりも、「豚肉」の地位が上がったというべきか。
やれ、「ビタミンB1が良い」だの、「長寿県沖縄では豚肉消費量が多い」だのと言われてきたのに影響されて豚肉が、私的食肉ランキングで順位を上げてます。
もちろん、「松阪牛」などに比べれば、さすがに豚肉もまだまだ格下ですが、でも私としては、「輸入牛肉」だったら、「黒豚」の方が上という感じです。
(もっとも、今、輸入牛肉が比較の対象として適当であるかというのは置いておいて)

まあ、私はこんな感じなんですけど、一般の人はどうなのかな〜と思って、「Google」を使って、あれこれ検索してみました。
「牛肉」「豚肉」「鶏肉(鳥肉)」の3品をそれぞれ、「メニュー」だの「おつまみ」だのという言葉と合わせて検索して、何件出てくるかを調べてみました。
牛肉・豚肉・鶏肉対抗 検索ランキング
  メニュー おつまみ 料理 価値観 おいしい 新製品 新商品
牛肉 68,100 3,330 103,000 3,370 46,200 2,770 2,290
豚肉 45,000 3,380 64,800 1,970 35,500 1,430 1,400
(鳥)肉 39,860 3,274 62,940 1,698 33,880 1,357 1,389
 
牛肉 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00
豚肉 0.66 1.02 0.63 0.58 0.77 0.52 0.61
鶏(鳥)肉 0.59 0.98 0.61 0.50 0.73 0.49 0.61
Googleを使用
「牛肉 メニュー」のように検索
上段は件数
下段は牛肉を1とした場合の比率



表の下の部分が、「牛肉」の件数を1とした場合の、豚、鶏の比率ですが、まあやっぱりこんな感じなんですね。
牛肉の、だいたい6掛けから7掛けという感じ。
うーん、もっと豚肉がのさばってきているのかと思ったら、やっぱりインターネット上では、まだまだ牛肉の天下が続いていたと。
特に、「新製品」や「新商品」なんて、「豚肉」が牛肉を逆転していてもいいと思ったら、あにはからんや、牛肉の圧勝。

唯一、「おつまみ」と合わせた検索で、わずかの差で豚肉がトップに立つ以外は、すべて牛肉の圧勝ですからね。
「世の中、もはや豚肉なのかな〜」と思った私は、早計でした。
とはいえ、調べるのがちょっと早過ぎたか?(^-^;)
夏頃に、もう1回調べてみるか。

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豚肉も、いつの頃からか、「黒豚」というブランド肉が出てきたと思えば、「SPF豚肉」という改良肉も出てきている。
「SPFって何だろう」と思っても、スーパーの売り場ではたいして考えもせず、買っていたりして。
(SPFとは、「特定病原菌不在」ということらしいっす。要は「無菌ブタ」)
牛肉が、あんな状況ですから、ここは当分豚肉の地位が上がってくるんでしょうけど、私は、そんな単純ではないと思います。

というのも、やっぱり「豚丼」じゃイヤでしょ。
そう、松屋の新メニューが「マーボ茄子丼」であったように、豚肉を使った丼物って、意外となかった。
「カツ丼」があるにはあるけど、やっぱりちょっと「高い」という印象もあるし。
そう、オヤジが、日常的にガツガツ食らってくれるような「定番メニューがない」んですね。
吉野家とか、立ち食いそばのような感じで、食べられるメニューとしての「豚肉丼」。

家庭内で登場する豚肉メニューは、それこそいくらでもありますけど、オヤジが街で、ちょっと食べるメニューに、意外なほど「豚肉」は登場してこなかった。
ま、「ポークカレー」なんてのもありますけど、オヤジが食べるポークカレーに、肉片は、あっても3切れですから、これはちょっと無理。
もっとこう、「肉がどっさり」と乗っていて、バクバク食べて、おいしいメニュー。
そんなものが欲しいです。
それがヒットして始めて、世間的にも「豚肉の地位は向上した」と言えるのではないでしょうか。

私なりのアイデアとしては、「豚しゃぶ丼」とまでいかなくても、「豚肉野菜炒め丼」程度で十分なんですけどね。
そう、野菜炒めを乗っけただけ。(^-^;)
作ってくれないかな〜。
1杯350円くらいで作れません?
ピーマン、たまねぎ、ニンジンあたりの野菜も一緒に取れる感じで。
いや、家でだと、面倒くさいんで、よくやっちゃうんですよ私。
おかずをごはんに乗せて食べてしまうという、子供のような戦略。
トーストも、すべてサンドイッチにしてしまうくらいですから。(^-^;)(^-^;)
お手軽に食べられるメニューで、豚肉を象徴するメニュー。

でも、そっか、「カツ丼」をもっと安く提供してくれてもいいんですね。
カツ丼チェーンって、どうしてないんだろう?
(東京には「たつ屋」という、「なんでも丼チェーン」もありますが・・・ややイマイチ)
天丼チェーンもあって、魚系の丼チェーンも出てきて、あとはカツ丼のはずなのに。
やっぱり、揚げ方とか難しい部分があるのでしょうか?
いやむしろ、どこでも簡単に、そこそこの味を出せてしまうからなのか?
ソバ屋でも、カツ丼なんて、よくありますからね。
うん、ここはやっぱりひとつ「肉野菜炒め丼」をお願いします。<(_ _)>

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あと・・・。
松屋は「豚肉」に力を入れるよりも、「みそ汁」をちゃんとした方が、よっぽど売上が上がると思うんですけど。
いくら「無料」でついてくるとはいえ、あんな水っぽいみそ汁は、そうそう飲めませんゼ。
松屋フーズの経営者層は、どういう味覚で、あのみそ汁にOKを出しているんでしょうか?