No。087
ハワイ19,800円
2001.12.10
by Y.Tomizawa

いかんいかん、ネタも考えぬまま、「日付変更線」を越えてしまいました。
私にとっての「日付変更線」。
それは毎週日曜深夜、月曜日に日付が変わる時。
そう、このコラムの「自主的締切ライン」です。
守れていることは、ほとんどないんですけど、この変更線を過ぎると、やっぱりアセってくるんですよ。(^-^;)
明日はもちろん仕事だし。この恐怖感、切迫観念。
なら、やめりゃいいのにと、毎週思ってるんですけどね。
でもたまに、自分でも「いい文章書けたっ!」って思うと、やっぱりやめられないんです。

---

PM8時頃から、子供とともに一眠りしてしまい、PM10時半ごろ起きてきて、ボケーッとテレビを見てしまった。
別に面白い番組があったわけでもなく、見たい番組があったわけでもなく、本当にダラダラと。

で、日付変更線を越え、「これではイカ〜ン」と思い、改めて日経を読んだりして、ネタ探しをしていたら、NHKで「1978年の日本ダービー」をやっていることに気付いて、今度は真剣に見入ってます。(^-^;)
昔の番組、「ルポルタージュにっぽん」からのネタです。
前半は、「王貞治の756号」をやっていたんすね〜。

でも、「NHKアーカイブス」と格好良く名付けてますけど、要は「古いネタの使い回し」だろ。
まあ、今風にいえば、「知的資産のリサイクル」とでもいいましょうか、
でも、寺山修司が進行役だったりして、さすがNHKだなぁ…。
民放には絶対に作れない内容。
同じようなネタを、今民放が作ったら、寺山修司みたいなのはセッティングできても、どうせ横に「優香」みたいなのが、くっついてんだろうな〜。

---

ということで、日付変更線つながりってことで、「ハワイのCM」からネタを。

ハワイへの観光客の激減ぶりは、すごいものらしいです。
なんでも、「19,800円」のツアーもあるとか。
こうなると、我々が今まで払ってきた「旅費」って、何だったんだろうと考え直してしまいます。

グアムにしても、サイパンにしても、例のテロ以来、観光客が急激に減ってしまった。
慌てて、「うちは安全だから来てくれ」とやっているわけです。
たしかに、私も、テロ直後は、「当分、飛行機には乗らない」と思ってました。
でも、アメリカの逆襲がはじまって、空爆やらが日常的に行われて。
ふと考えてみると、「あれ、アメリカは誰が憎いんだっけ? アフガン? タリバン?」と、当初の目的が訳分からない状況になってきて。

アメリカも、テロリストを煽るようなことはしないだろうから、事態は静かに静かに進行しているように見えます(日本では)。
で、結局のところ、身近なところでは、何も起こっていない日本人にとって、「テロに対する恐怖感」は薄れてきている(はず)。
なら、もう少し、「ワイハー」に行ってもいいと思うんですけど。
なんつっても「19,800円」ですから。
熱海に行くより、安いんじゃないの、この金額。

でも、この金額は、牛角が290円セールをやった以上に、ひどい価格設定だと思います。
牛角でいえば、1皿98円セールという感じ?
いや、もしかしたら、48円くらいの感じか…。
いずれにしても、「ハワイ旅行者のターゲット層」なら、誰でも行っておかしくない金額です。
でも、需要は喚起されない。そりゃ、そうだ。ことは「金額」じゃないんだから。

---

「ハワイなんて行く気にならない」
私もそう思っていますが、その理由は、テロに対する恐怖感ではありません。
「景気が悪いから?」。それは少しあります。
19,800円なら、おそらく誰でも行ってもいいと思う金額。
でも、行きたくない。

私が、そう思っている理由は、「あれだけ罪もない人が苦しんでいるのに、ハワイなんて行っていていいの?」という気持ち。
別に、善人ぶるわけではないんですけどねぇ。(-_-;)

あれだけ、ハデに人を殺し合っていて、しかも難民キャンプでは、小さい子供もひどい生活環境で暮らしている。
そんな時期に、ハワイとはいえ、戦争当事国の一方に、行く気になります?

---

まあ、ここでは、戦争批判をしてもしょうがない。
どうせ、アメリカ君は、変わらないだろうし。

で、とんだとばっちりのハワイ(やグアム、サイパン)の方々は、どうしたら日本人の需要を喚起できるかというとですね。
比較的簡単だと思います。「大義名分」を作ってあげればいいんですよ。

ツアー価格が、「19,800円」に設定できるのなら、これを同じ内容で、例えば、「29,800円」にしてしまう。
その「1万円の上乗せ分」はですね、「アフガン難民に寄付」とやってやればいい。
まあ、いくらを寄付分にするかは、要検討ですが。

「ハワイに行く理由」というのは、日本人だったら99%が「遊び」に決まってる。
で、問題は、いくら海外に気軽に行けるようになったとは日本だとはいえ、「ハワイ」に行くには、会社の同僚や友人にも、少しは「行くこと」を話しますな。
熱海や草津だったら、いちいち断りませんが、ハワイだったら、少なくとも3泊5日はかかるから、会社員だと有給休暇を使わざるを得ない。
だから、「すみませんが、ちょっと休みます…」とくる。

そんなとき、「おいおい、このご時世に景気いいね」と言われたらイヤですよ。
そんなこと言われてまで、行きたくないですよフツー。
だから、その大義名分として、「アフガン難民寄付金付きツアー」としてあげる。
しかも、この手のネタだったら、マスコミが絶対に取り上げてくれるだろうから、周囲の認知は問題ない。
「おいおい…」から、「お、アレで行くんだね」となる。

---

マーケティングの有名な話で、某インスタントコーヒーがアメリカで新発売された当時、主婦層に向けて、「簡便性」ばかり訴求したところ、全然売れなかったということがあったらしいです。
で、「お忙しいあなたを少しラクにする」とやったら売れたらしい。
そう、面と向かって、簡便性ばかり訴求されても、体面的に「手抜きをしている」とは思われたくないということ。
言い換えれば、「正当な言い訳」をしたいんですね。
「私は働いていて時間がない」
「そこにこんなに手軽でおいしく入れられるコーヒーが出た」
「だから私は『子供と主人のためにも』これを使う」
こんな感じか?

今の、ハワイも似たような感じなのでは?
このご時世に、「何も考えていない人」と思われないためにも、「行くための言い訳」を作ってあげる。
「安いから行った方が、絶対おトク」
こんなこと言ったら、絶対に「アホ」と思われるだけですからねぇ。

---

「ハワイに遊びに行くことが、難民を救うことになる」
かな〜り強引なリンケージですが、要は「価格を下げればいいってもんじゃない」ということ。
牛角ネタとは、また違うポイントがあると思いますが、いかがでしょうか。