No。086
伝説
2001.12.3
by Y.Tomizawa

新宮様のご誕生を心よりお祈り申し上げます。<(_ _)>
って、ご誕生から1時間後くらいには、近所の商店街に「のぼり」が掲げられていてビックリ。
この辺(我が家近辺)は、皇室とはな〜んも関係ないのに。
みんな虎視眈々と狙っていたんですね〜。
この〜、商売上手!
でも、のぼりを作るヒマがあるんなら、サビれた店をリストラしろよな。

とはいえ、「経済効果何兆円!」っていうけど、とりあえず何すればいいんすか…?
ということで、よく分からなかったので、缶ビールを普段より1本多く飲んでみました。(^-^;)
なので、我が家のビール消費量は、瞬間風速的に50%アップしました。
経済効果ってこういうことか…。

いやいや冗談ではなく、ロイヤルベビーによる経済効果、どのくらいなんでしょう。
訳も分からず、バーゲンに殺到するんじゃ、消費というより単なる「浪費」。
流通業ばっかり儲けてもしょうがない。
今の日本に必要なのは、「経済効果を期待すること」ではなくって、「ここは一丁頑張っちゃおうかな」という「やる気浮揚効果」でしょう。
いつまでも、景気のせいにばかりしていないで、ガンバらなあかんすねホント。

---

その一方で、正に同日、サッカーW杯の組み合わせの発表もありました。
これで、来年6月の開幕に向けて、サッカー熱も一気にヒートアップしてくるのかな〜と思ったら、Jリーグのチャンピオンシップ「磐田−鹿島戦」はスタジアムがガラガラ。

静岡スタジアムは、収容人員が5万1千人。
3万2千人(公式発表)も観客が入っているのに、どこか寂寥感が漂っていたように思ったのは私だけ?
6割程度の埋まり方じゃ、ダメなんだな…。

ところが、同じ日、国立競技場で行われていた早明ラグビーは、久々に満員(に近い)。
こちらは5万5千人(私の目見当)。
たかが、学生ラグビーの試合に5万人超の観客。
かたや、日本のプロサッカーの優勝チームを決める試合だというのに…。
どうしてだと思います、この違い。

---

早明ラグビーにあって、Jリーグにないもの。
いきなり結論づけますが、それは「伝説」だと思うんです。

ラグビー早明戦は、今年が77回目。
「歴史に残る名勝負」と言われる試合も数々ある。
それが、もはや「伝説」と化しているものも。
だから、観客は、「今年も新しい伝説が生まれるのかも…」と思って見に行く。
哀しいかな、歴史の浅いJリーグには、名勝負と言われるものが、まだありません。
だから、「伝説」もまだ生まれていない。

もう少しかみ砕いて言うと、観客をワクワクさせるような、「何か」が足りないということでしょうか。
ジョージ・ハリソン的に言えば、「Something」が。
それが証拠に、サッカーの試合でも、ここ数年、数々の「伝説」を作ってきた「日本代表の試合」は、だいたい満員になる。

試合の「レベル」というのは、ここでは関係ないと思うんです。
それは、高校野球を考えればわかると思います。
プロ野球とのレベル差は、所詮いうまでもないけれど、「ファン」は多い。
それは戦前から、桑田・清原や松坂に至るまで、数々の「伝説」が連綿と続いてきているからなのではないでしょうか。
その「伝説」が継続しきれていない「大学野球」や「社会人野球」は、今かなり厳しい状況。
スポーツを盛り上げるには、「伝説」は絶対に欠かせないものだと思います。

「オマエのスポーツ評論はいいから、マーケティングとして早くオチをつけろよ」。
こう考えませんでした?
ご安心ください、ちゃんとこれからオチをつけます。
ふふふ。

---

最近流行のお店は、よく「ワクワク感を演出している」と言われますね。
でも、「ワクワク感」って、どうやれば演出できるのか、わかりにくい。
どうしたらいいのか?
その一つが「伝説の創造」だと思うんです。

例えば、ワクワク感演出の日本最高峰、「東京ディズニーランド」。
TDLのワクワク感は、もはや「保証された品質」ともいってよいでしょう。
では、TDLの「伝説」とは何か。
人それぞれ、色々あると思いますが、私は「ゴミをポイッと道端にに捨てても、瞬く間に回収すること」だと思ってます。

TDLができる前の日本の遊園地なんて、たしかに楽しい場所だったでしょうけど、「汚い場所」でもあったと思います。
それが、「キレイ」であるだけではなく、ゴミが本当に「ひとつも落ちていない」。
落ちていないどころか、仮に捨てられても、あっという間に回収する。
私が、生まれて初めてTDLの話を聞いたときに、びっくりしたのがこの話でした。

「そんなことできるの?」「どうしてそんなことできるわけ?」
そう、このくらいの「驚かせ方」ができないと「伝説」という言葉に昇華しない。
もし、TDLのゴミ回収システムが、「係員が30分起きに道路に捨てられたゴミを回収する」なんて程度だったら、どう思います?
「ふーん、しっかりやってるんだ」、それくらいでしょう。

これ、何もサービス業だけではなくて、「商品」でも同じことがいえます。
例えば、今、目の前にあるんですけど、「Zippoのライター」。
これなんかは、「アメリカのGIが戦場で使って、絶対に火が消えない」というのが、私がジッポに感じる伝説ですね。
いや、実際には結構風が強いと、火が消えちゃったりするんですけどね。
でも、「戦場で消えないんだから…」みたいなところに、心のよりどころを持っていったりしている。

---

「伝説」。
かなり大げさな言葉ですけど、でも「伝説」って表現したくなるくらい、人に驚きをもって受け入れさせるような「Something」がそこにないとダメなんですな。
「売れる要因」を表現する言葉の一つとして、考えてみてはいかがでしょうか?

だから、のぼり作って、紅白まんじゅう配っていれば景気が回復する、な〜んて思っているんじゃなくって。