No。081
日本の行儀作法を変えるコンビニ弁当
2001.10.29
by Y.Tomizawa

コンビニ弁当、最近よく食べるようになりました。
別に、カミさんに実家に帰られた訳ではなく、単に会社が引っ越して、近所にローソンがあったためです。
コンビニ弁当に関しては、防腐剤がどーとか、保存料がどーとか、色々問題もありますが、この前ふと気づいたことがありました。

会社のデスクにて、だよ〜ん午後1時のアポがあり、早めにメシを食べなくてはと、ローソンで弁当を買ってきたんです。
それが、これ。
何か気づきませんか?
そう、「おかず」が手前で、「白飯」が奥にあるじゃないすか。
前から、そうでした?
私が気づくのが遅すぎですか?
「なんだよ、逆じゃんかよ…」と思ったのですが、「もしや…」と思って、日曜に近所のセブンイレブンで確認したら、まああるわあるわ「逆白飯弁当」が。
(すみません、違法を承知でセブンの店内でパチリ)

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普通はこうだろ〜日本の食卓では、「ごはんは左、おみそ汁は右」であるはず。
当然のことながら、「おかずは奥」ですね。
だのに、コンビニ弁当は、反対にしている。
まあ、理由はカンタン。
それは、セブン店内で撮った写真を、よ〜く見ていただいてもよく分かります。

「豚生姜焼弁当」や「トンカツ弁当」は、「ごはん奥型」。
でも、「きのこご飯弁当」は「ごはん手前型」。
要するに、弁当の「ウリ」となるものが「手前」に来るように、ということです。
通路から見て、「シズルを感じてもらいたいもの」が手前に来ているんですね。
そう、マーケティング上は、非常に正しいと思います。
でも、抵抗あるな〜。

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すみません〜でも決死の撮影だった・・・(^-^;)所詮、弁当なんで、食べるときに、「クルッ」と反対にして食べればいいんでしょうけど、普通食べる前は、弁当に貼ってあるラベルなどを自分向きにして、開けようとしますよね。
その時点で、「ごはんが奥にある」と違和感があるんです、私は。
何か、自分が長年培ってきた行儀作法を無視されているような。
おおげさかも知れませんが、無愛想な食堂で、適当に配膳された感じでしょうか?

最近は、その当事者たるコンビニでも、「お札のお釣り」の時に、お客さん向きにそろえて渡してくれますね。
そういうところを気遣ってくれるわりに、おそらく日本で何百年と食事の時に行われてきた行儀作法が、マーケティングのためにとはいえ、無視される…。
「無視」というのは言い過ぎか?
たぶん、コンビニでも苦渋の決断があったのでしょう(と善意に解釈したい)。
いや、「苦渋」じゃなかったら怒るで。
「ま、いいんじゃない、クルッと回して、食べてもらえばいいんだからさ」とか若い担当が言ってたりしたらね。

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自分の気持ちを細かく分析してみると、「おかずが手前にあること」に抵抗があるのではなく、「ごはんが奥にあること」に抵抗があるということなんですね。
まさか、日本の食卓で、「ごはん」を奥に置いて、食べている家庭はないでしょう。

ここで、行儀作法の講義をしてもしょうがないですが、普段のごはんにしても、弁当にしても、「ごはん」を「おかず」のワンクッションにしますよね。
「おかずがこぼれてもいいように」、私はそう親に教わってきました。
だからこそ、日本の食卓では、「ごはん」が奥にあることなどありえなかったはず。
うーん、それが、より効率的なマーケティングのために、(解決策があるとはいえ)行儀作法より優先される…。

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いつか、私の元の上司が、「ハンバーガーを立って食べるということに、凄い抵抗があった」と言っていたのを、ふと思い出しました。
私は、「立って食べること」は、全く抵抗ありません。
でも、祖父母世代くらいまで遡れば、「なんて行儀の悪い」ということになるのでしょう。

若者クンたちは、「逆白飯弁当」に、何の抵抗ないんですかね?
もしかして、「クルリ」もせずに、そのまま食べているとか?
たかがコンビニ弁当、されどコンビニ弁当。
日本の食卓での行儀作法が、変わっていくと言ったら、おおげさか。
のり弁です・・・でも、食べるとき「クルリ」じゃなくって、棚から手に取れば分かるんだから、やっぱり「ごはんは手前」にして欲しいですね。

ちなみに、写真のセブンの「トンカツ弁当」(下段右)ですが、「ごはんが手前」になるように置かれています。
だから、ラベル類がすべて逆さま。(^-^;)
まあ、ここの店員は、常識的な判断を無意識にしてくれたってことですね。
(なぜか、少し安心)

と、ここまで書いていながら、自分が買ってきたのは、これでした。