No。073
消費者参加型キャンペーンの是非
2001.9.3
by Y.Tomizawa

見づらいっすか?これはマクドナルドでゲットしたものです。
いわゆる「トレイ広告」というヤツですね。
そう、かの「WiLL」の花王の広告。
何が気になったかというと、この「一般に選んでもらって商品化するという行為」についてです。

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これは「One Week アロマ」とう商品で、
「ココヤシゆらす風の香り」
「緑の中のティータイムの香り」
「朝もやのトマト畑の香り」
の3種類から、最も人気のあった香りを発売しますということだそうです。
ま、いいんですけどね、この手のやり方。
ラクですよね、開発担当としては。
皆さんは、どう思いますか?

やっぱ見づらいっすか?個人的にはキライです、このやり方。(^-^;)
だって、開発担当としてのプライドを「どぶ」に捨てているようなもんじゃないですか。
こういうのをやりたくなる気持ちはわかります。
でも、一つの商品・サービスを世に出すからには、開発担当者の「熱い想い」を忘れないで欲しいんですよ。

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我が家のクルマは、ホンダ車なんです。
私がホンダ車に乗る理由は、性能がいいからとか、デザインがいいからなんて理由ではなく、「本田宗一郎が好きだから」なんです。
過去、現在を問わず、日本のクルマ関係者の中で、彼ほどクルマに熱い魂を持っていた人はいないのでは…、と私が思っているからです。
ま、よく考えたら、こんな理由、調査の選択肢には入れられないっすよね。

Q.あなたがホンダ車を買った理由は何ですか。
1. 性能がよかったから
2. デザインがよかったから
3. 創業者が好きだったから…

普通は入れないですね、こんな選択肢。
でも、私としては、その商品に対する「思い入れ」を感じたい…。

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開発担当者も、自分の思い入れ十分の商品だけではなく、たまにはユーザーの声にしたがって商品を作りたくなることもあるでしょう。
以前なら、何百万円かかけるなりして、アンケートを取ってということだってのでしょうが、インターネットの登場によって、ユーザーなどの声は、ぐっと集めやすくなった。

この手法のいいところは、何といっても、一般消費者に商品開発への「参加意識」を植え付けることができること。
「自分も商品開発の一部に携わっている」という感覚を共有させることによって、その後のユーザー囲い込みにつながっていく。
おそらく、このやり方を提案している企画書には、このようなことが書かれているでしょう。

でも、本当にそうなのでしょうか?
いや、私も正直わからないんです。
だいたい、消費者が「自分がこれを好き」といったものを、「本当に買ってくれる」のでしょうか?

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私は、あまり信用していません、調査結果は。(^-^;)
仕事は調査関係なんですけどね。
鵜呑みにしてはいけないという感じでしょうか。
だいたい、このWiLLの案件も、ネットや携帯で答えられるから、回答者はあくまでも不特定。
この回答者群と、この商品のユーザー群は、一致するのでしょうか?
これの「ズレ具合」が、実際に発売されるだろう新アイテムの売れ行きに大きく影響するわけですな。

ということで、このWiLL「One Week アロマ」のアンケート結果と、その後実際に発売する商品の売上を、是非注視していきたいと思います。
投票の結果は、まさに今日(2001年9月3日)、WiLLのホームページ上で、発表になるそうですし…。

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ところで、商品選択の時に、結構「流れに身を任せたい」という気持ちを持つことはありませんか?
わかりやすくいうと、スーパーとかが勝手につめてくれた「お好みパック」を買ってしまうという感じか。
私、食品関連だと、結構あるんですよ。
まあ、缶チューハイを、棚から適当にザカザカと取ってしまう感じ?

あれこれ、すべて自分で決めなきゃいけないというのは、かなり面倒くさく感じることもある。
だから、メーカーや流通に「ほら、これ使いなよ」と言って欲しいこともある。
「消費者参加型」がいいのか、「メーカー押しつけ型」がいいのか、商品の成長過程によってもなすべきことは異なるのでしょうが、今回のWiLLの案件は、このテーマに一つの回答を出してくれることになると思っています。