No。070
どこでもテレビ
2001.8.17
by Y.Tomizawa

なんてことない画面を写してしまった・・・夏休みシリーズ第3弾。
この写真は、長野からの帰り道、練馬の環八沿いの「ガスト」で撮影したものです。
本当は店内撮影禁止なんでしょうけど…、すみません。<(_ _)>

最近は、一部のマクドナルド銀行などにも見られる、この大型液晶テレビ。
ファミレスの液晶テレビを、皆さんはどう思いますか?
まあ、普通に考えたら「見ないよ」という感じでしょうか。

---

お盆の前の週、土曜日の夜7時頃ですから、店も結構混雑している。
家族連れもいれば、カップルもいる。
ガスト自体、一度失敗していますが、よくぞここまで立ち直ったと正直思っていました。

で、このテレビ。
確かに、この画面を、ずーっと見ている人は、誰もいないんです。
でも、よーく見ていると、みんな「チラチラ見ている」んですね。
画面は、テレビ画像ではなく、環境映像みたいなものだったせいもあるのでしょうが、でもみんな「チラチラ見ている」。
これ、まさに「食卓のテレビ感覚」ですよね。
見ているような見ていないような、でもついているテレビ。

この練馬のガストにしてみると、大きな効果があると思います。
だって、普通の生活のヒトこまとして、夕飯を食べに来ているだけだから、「家族の会話」も、まあ普通ですわな。
(子供の運動会のご褒美に「ファミレスでメシ」って季節でもないし…)
銀座の高級レストランで、フレンチでも食べるのなら、「雰囲気を楽しむ」とか、「会話を楽しむ」とかあるのでしょうけど、いかんせんここは「練馬」…。

今さら、「家族の会話」でもないところに、かといって、環八のクルマの流れを見ていたってしょうがない。
そう、そんな「フツーの家族のフツーの外食」には持ってこいです、このテレビは。

おそらく、欧米の方からみると、いかにも「日本的光景」なのでしょう。
「ニッポン人は、もっと食事の時間を楽しむべきデース」みたいな。
したり顔の評論家も言いそうですね、「だから日本はどーのこーの」と。

---

でも、そうなんでしょうか?
確かに、「大型液晶テレビ」だと違和感がまだあるでしょうが、ではもし、ちょっとした店に「有線の音楽」がなかったら、どうなると思います?

あるんですよ、我が家の近くにそういう店が。
最近できた「焼肉屋」なんですけど、チェーン店ではなく、個人経営の店。
肉もおいしい。特に牛タンがおいしい。
店の広さは、4人がけテーブルが6卓あるだけの狭い店。

こんな広さの店で、何の音楽もかからない。当然テレビもない。
聞こえる音は、肉が焼ける音と、客の少々の会話、あとは厨房で調理する音…。
これ、結構ヘンですよ~。
家族で最初に行った時に、「何かヘンだねあの店」って話してました。
最初は気づかなかったんですが、あとから「音関係が何もないこと」に気づきました。

例えば、街の喫茶店や、スーパー、百貨店から、BGMや店内放送が全くなくなったら、絶対に「変な感じ」がすると思います。
おそらく、「ちょっとコワイ感じ」がするのではないでしょうか?
今の、特に都会に住む人は、あらゆる「音の洪水」に慣れきってしまっているから。
それがなくなるだけで、絶対に違和感を覚えるでしょう。
そう、反対に言えば、ちょっと音楽があるだけで、店などの雰囲気はぐっと変わるものです。

「有線放送」だって、ここ20年くらいだから、「所詮つい最近の風潮」なのかと思う方もいるかも知れませんが、よく考えたら、日本では古くから、「風鈴」とか、「獅子おどし」なんてものもある。
「獅子おどし」なんて、静寂な庭の、ちょっとしたアクセントでしょう?
やっぱり、「音」も昔から重要な演出の一要素だったんですね。
それが、有線放送になっただけ。
それがさらに進化して、「液晶テレビ」になっただけ。

---

ま、ファミレスにブラウン管のテレビがあったら、それはそれで「やっぱヘン」と思うでしょうけど、それを払拭するだけのパワーを持った商材なのでしょう、「大型液晶テレビ」は。
違和感よりも、「おーっ!」と思わせるパワーの方が強い。

「街頭テレビ」とは違う意味での、「どこでもテレビ」。
今後もっと増えるのでしょうか?

いやいや、実はすでに、山手線の一部の車両にもあるし、飛行機の各席テレビなんかもそう。
もはや、世の中テレビだらけ。
すでに、皆さん液晶テレビからの情報に、知らず知らずのうちに洗脳されているんですよ。
「超テレビっ子」の私としては、結構嬉しかったりするんですけど、ね。

あ、でも私だって、海が見えるレストランにでも行けば、こんなテレビ見ませんゼ。
彼女と語り合うんだったら、こんなテレビ見ませんゼ。(^-^;)