No。057
どうすりゃいいのか立ち食いそば
2001.6.18
by Y.Tomizawa

すげえでしょこの行列まあ、この写真をご覧ください。
これは、東京港区虎ノ門の、とある場所にある「マクドナルド」と「富士そば」です。
ボケーっと歩いていて、一瞬通り過ぎそうになったんですが、事の重大さに気付いて、戻ってわざわざ撮影しておきました。

噂には聞いていたんです。マックが、立ち食いそばを侵食しているということを。しかし、こうあからさまに見せつけられると、オソロシイモノを感じます。
だって、ここは日本中でも有数の「オヤジの街、虎ノ門」ですよ。街を歩けば、オヤジまたオヤジ。それも、イカしたオヤジじゃなくって、いまだ70年代、いや60年代の高度成長期の流れを引きずるオヤジ。
そのオヤジたちでさえ、つい食べてしまうマクドナルドの低価格戦略。
この写真を是非とも、「田ちゃん」に見せてあげたいものですね。
「がははは、どんなもんだい」なんて笑うんでしょうか?

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私は土日こそ、つい気を許して、身も心も胃袋もまかせて、マックに行ってしまうんですが、でも平日には行きません。
すごいっしょ?(^-^;)だってすげえ混んでいるんだもん。いやほんとに。
私混んでいる店に、わざわざ(この写真みたいに)並んで食べるのってキライなんですよ。時間がもったいないじゃないですか。
私もどっちか言うと、高度成長期のオヤジ達の意志を受け継ぐタイプなんで、昼飯なんて、とっとと食って、あとはタバコでも吸ってた方が、よっぽど有意義に感じる人間です。

さらに言うと、立ち食いそばの方が好きです。とはいえ、そばが好きなのではなく、その証拠に「座り食いそば屋」は、めったなことでは行きません。だって、高いんだもん。しかも量も少ないし。
私は、「小諸そば」の「ざるの2枚盛り」を食べれば、十分満足感を感じることができる人間です。
で、この「富士そば」を始めとする、今全国のマックのご近所にあるばかりに経営がやばくなっている「立ち食いそば」の皆様のために、マック撃退法を考えて差し上げましょう。

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いつも「テキトーに考えてる」と思われるのもシャクなので、今日はマジメにマーケチングの理論に沿って考えてみましょう。
そういわゆる「4P」です。最近は、「4C」と言う方が正しいようですが(下記表参照)。
Product Customer Value
Price Cost to the Customer
Place Convenience
Promotion Communication
<Seller's View> <Buyer's View>
by P. Kotoler 〜KOTLER ON MARKETING
わかりますよね意味は?
既存の立ち食いそばの場合、「Place」→「Covenience」はいかんともしがたいものがあるので、ここでは、それ以外の点を中心に考えてみます。

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【Communication】(思いつき順です・・・)
そもそも、立ち食いそば屋の「CM」ってのも見たことないですね。やった例はあるのでしょうか?
できるとしたら、「小諸そば」か「富士そば」くらいか・・・。やってないだろうな〜。(^-^;)
もうこの点で、マックには負けを認めざるを得ないですよね。
業界で結託して、「立ち食いそばを食べよう!」なんて共同CMはできないだろうし・・・(いや、これは絶対にやっちゃイカン!)。

ここは、徹底的にテレビ局を使うしかないっすね。テレビ東京系なら、やりそうじゃないですか、「B級グルメスペシャル〜立ち食いそばでもここまでウマイっ!」とかいう番組。
もちろん、その後は、「TVチャンピオン」で使い回せるから、一石二鳥のはずだし。
そこで、店長は皆さん「こだわりのオヤジ」になりましょう。
マックに「こだわり店長」は絶対にいないのですから、まずこの点は不可欠の要素。
Communicationの話が、いつの間にか「Customer Value」にも拡がっていました。
そう、「こだわりオヤジ」を演出することは、店舗自体のプロモーションだけではなく、ユーザーベネフィットを底上げすることにもなります。どうです、マーケチングっぽいでしょ?

【Cost to the Costomer】
これは難しいですね。前述の「こだわりオヤジ」を演出するとなると、「何にこだわるか?」も問題になってきます。
もちろん「仕入れ」以外の何物でもないです。「利尻産コンブ」とか、「高知沖特産鰹だし」とか・・・。
これをやり始めたら、「価格に転嫁せざるを得ない」。
しかし、マックの価格は、ここでは無視して考えましょう。

「えーっ!」って思います?
そう、よ〜く見てみましょう、マックの利用者を(上の写真参照↑)。若いのばっかりなんですわ(^-^;)。ま、ところどころいますけどね、オヤジも。なんか、ここまで語ってきたのがヒッカケみたいですけど、お許しを。<(_ _)>

がんばれ富士そば! がんばれ立ち食いそば!虎ノ門オヤジがマックに大流入しているのではなくって、虎ノ門でしがないオヤジに紛れていたアンチャン達が、マックという居場所をようやく見つけたんですね。
だから、立ち食いそばから、マックに流れた人を「奪い返す」のではなく、ここは「他の店から奪い取る戦略」にしましょう。
ということで、立ち食いそば屋周辺で、60年代高度成長期オヤジが昼飯時に通う店の価格体系を調査して、その50%から70%くらいの価格で行きましょう。

ただ重要なことは、「値上げする」のではないことです。
むしろ、「値下げ」しながら、「グロスの支払い価格を上げる」ということを考えましょう。そう、「セット類」を充実させるとか。回数券を導入するとか(かなりありきたりですが・・・)。
え? こんだけじゃ甘い?
うーん、もうちょっと企画を考えるならっすね・・・、えーっと、「マイおはしキープ」「マイどんぶりキープ」「たまに天ぷら1品サービス」・・・。

そう、グロスの価格が亜画るんですから、その分、マックが絶対にマネできないサービスをしてあげればいいんですね。それは「人間味あふれるサービス」。
マックでおねえちゃんが突然、「いつもありがとうございますぅ〜、本日はマックシェイクをサービスさせていただきますぅ〜」なんて言われたらスゲェんだけど・・・やらないでしょ?

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いかがでしょうか、立ち食いそば屋の生き残り策。
まあ、全店つぶれるわけではないでしょうが、これまでのような楽な経営は絶対にできないということ。
マックがマネできなくて、しかも価格はそこそこ安い。マニュアルでもなんでもない、人が普通に感じる気持ちからできるサービス。「経費的にどうするんだ」とか考えないで、それは一定の経費の中でまかなう。

例えば、チェーン店なら、月に3万円分は、お客様に好きなようにサービスしてよいとするとか?
昔からこういう考え方はあったはずなんですよ。それが、フランチャイズが主流になってから少なくなってしまった。
もちろん、混んでいる昼間ではなく、ちょっと空いている午後2〜3時あたりにやるとベストでしょう。
口コミでも拡がるようなマーケティングが必要ですね。

そうそう、ついでに言うと、皆さんマック君の「平日半額」に気を取られてはいけません。
マックで、「1回あたりいくら払っているのか」も考えてみましょう。結局、最低でも400円くらい払っているのではないでしょうか?
まさか、大の大人が、ハンバーガー1個とコーヒーだけで、満足できるとは思えないもん。
え? 満足してます・・・? そりゃ弱った(^-^;)。