No。048
今時の政治指導者のマーケティング
2001.4.16
by Y.Tomizawa

自民党の総裁選挙らしいですね。今日のニュースも、そればっかり。
いちおう確認しておきますと、出馬しているのが、小泉純一郎、橋本龍太郎、亀井静香、麻生太郎(以上、私の思いついた順)。
もっぱら、「永田町の論理」と「国民の声」のギャップが叫ばれています。
わかりやすくいってしまうと、永田町の論理では「橋本龍太郎」が総裁になるらしいんですけど、国民の声では「小泉純一郎」とのこと。
これこそ正に「マーケティングの陥穽」ですよね〜。
メーカー側とユーザー側の意識のギャップなんて、ほら、よくあるじゃないですか。
「本当は、私たちこういう風に使いたいんですけど・・・」とかね。

ということで、今日は、自民党総裁選挙を通じて、日本の政治指導者についてマーケティングしてみます。
あえて、「総理大臣」とは言いません。とりあえず、政治指導者ってことで。
断っておきますが、政治的にではなく、あくまでもマーケティング的に書いてみようと思いますが、そこはそれ、私情は隠し切れませんので、少しはお許しを!
(文章はすべて敬称略でいきます)

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そもそも間違っているんですよね、人選が。
60歳のおじさんたちに、しかも、どいつもこいつも何にもしてこれなかったヤツらばかりに、これからの日本を託そうという気になりますか?

まあ、それを今さら言ってもしょうがないのですが、でもどうして「オレがやるっ!」って手を挙げる人が、30代くらいの議員から出ないんでしょうね。そこがそもそも疑問です。みんな何のために国会議員になったんだろう・・・。
だいたい、「若手」といって、40代とかヘタすりゃ50代のじいさんが出てくることも、間違い。
これは、記者クラブの御用記者の皆様の用語法の間違いですね。
弊社では、38歳から「選択定年制」があるんですぜ。世の中、40歳はすでに「若手」ではないって、新聞記者さんに教えてあげましょう。

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突然ですが、ブッシュよりも、今思えばクリントンって格好よかったな〜、と思いませんか。
あれこれあったにせよ、クリントンとかブレア(英国首相)の方が、国を任せられる感じがしませんか、不思議と。
要するに、「見た目」なんですよね、一国の宰相って。
これ、すごく重要だと思うんですけど、日本は、まあ人選自体がそうなっていなから・・・。

これからの日本の総理は「見た目」も重視して欲しいです。
ネット上の人気で、意外と「麻生太郎」が高いのも、あの強面っぽい面構えだと思いますが、違います?

同じ強面でも、亀井じゃ所詮、料亭政治の延長線だろうけど、麻生の方が、「何かしてくれるかも・・・」という淡い期待が寄せられる気がしてます。まあ、これまで何をしてたのか、よくわかっていないからだけの「未知の魅力」でもあるんですけど。
(ちなみに、日刊スポーツに載っていたニッポン放送のネットでの人気アンケートでは、小泉1013票、麻生80票、橋本63票、亀井41票だそうです)

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で、その「見た目」とは、何で決まってくるのかというと、結論をあっさり言ってしまえば、「カリスマ性」だと思うんです。
今の日本の政治家に欠けているのは、これですよ、「カリスマ性」。
そして、こんな混乱の時代だからこそ、ますます重要になってくることだと思います。

なぜなら、今の日本は確かに景気も悪いのでしょうが、結果的にお利口さんに教育された国民ですから、「暴動が起きる」わけでもない。ましてや、他国と「戦争をしている」わけでも、もちろんない。
要するに、「景気回復だけがキーワード」なんですよね。

で、国民の大半は、とっくに処方箋を分かっていると思うんです。
自力で頑張るしかない」ってことを。だって、これしかないじゃないですか。
みんな、「自力で頑張り出すきっかけを、政治に求めているだけ」なのではないですか? 違いますか?
なのに、政治家さんたちは、「自力で頑張ろうとしない人ばかり助けている」。これじゃアカンですよね。

この「自力で頑張り出すきっかけ」を作れる人に何が必要かというと、そこはもう「政策」なんて問題ではなく、やっぱり「統率力」であり、「リーダーシップ」であり、それがひいては「カリスマ性」だと思うんです。
ジャック・ウエルチが言っていることって、これだけでしょう? 「自分で考えろ」って。
でも、これが言える人って、そうそういないと思います。
やっぱり、発言した責任を問われますし、「じゃあオマエはなんなんだよっ」って言われるようでは、ままなりません。
それなりの人格を持った人でないと、絶対ダメ。それがわかりやすく言うと、「カリスマ」。

そんな「カリスマ性」なんて、そうそう身につけられるものじゃないと思うでしょう。
でも政治家の場合は、カンタンです。今やっていることの裏返しをすればいいんだから。
それで、「悪いことをしてきたヤツは、きちんとケジメをつけるから、あんたたちも政治に頼らないで自分でがんばれ」って言えばいいんです。これがきっぱり言えれば、その人が絶対に当選できるはずです。

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で、そのカリスマ性を持っている唯一に近い人が、田中真紀子。違いますか?
小泉が人気になっているのも、田中真紀子の「カリスマ性」がバックについているからだと思っています。
もし、自民党総裁を「国民投票」で選ぶことになったら、当選するのは、田中真紀子がついた人でしょう。麻生でも、当選できてしまう気がします。

今、「次期総理は?」というアンケートになると、必ず上位に来るのが、「田中真紀子」(あと「石原慎太郎」)ですね。
賛否両論あるにせよ、カリスマ性だけを取り上げれば、おそらく今の日本の政治家でナンバー1ではないでしょうか。
情けない男性政治家の皆さんは、田中真紀子が、どうしてあんなに人気があるのか、ちゃんと分析した方がいいですね。
「田中角栄の七光り」は、もうないですよ。あるのは、永田町にだけです。

ちなみに、鳩山でも菅でもないんですよ。彼らにカリスマ性は見出せないです。だから民主党はダメなんです。
もし彼らが、本気で政権を取りたいのなら、まずオボッチャマを降ろさないとダメですね。
菅も、辛気くさい顔にしか見えないし。

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本気で日本を復活させようとしてくれる政治家は誰なのか?
それは、「悪いことは悪いとする、だからおまえら頑張れ」と言ってくれる人だと私は思ってます。
そういう人でない限り、例えば、いくら総理大臣が代わっても、支持率も就任祝い以外では、50%を上回ることも少ないのではないでしょうか。

さあ、その期待に応えてくれるのは・・・?
でも、石原慎太郎のせがれでも、ミッチーのせがれでも、河野洋平のせがれでもないと思うんだよな〜。
やっぱり、アルバート・ゴアに総理大臣をアウトソーシングしましょうよ、ダメですかねぇ。