下北交通大畑線と大間鉄道未成線跡(1)


下北交通大畑線の列車(下北駅)

下北駅で出発を待つ下北交通大畑線
の大畑行き5D列車。
下北交通大畑線(下北→大畑)
〜本州最北のローカル私鉄〜

 下北交通大畑線は2001年の3月31日を最後に廃止されてしまう青森県のローカル私鉄路線だ。元は国鉄の大畑線で、1981年に第一次特定地方交通線として廃止対象になってしまったが、協議の末、地元の下北バスが引き受けることになり、下北交通と会社名を改称して、1985年7月に下北交通大畑線として再スタートした。

 転換後しばらくは収支は改善されたが、徐々に売上は落ち、大畑線の維持は負担にさえなり本業のバス事業にまで影響を及ぼすようになってしまった。このようにして大畑線の命運は尽きてしまった。

 寝台特急はくつるに乗り、雪降りしきる野辺地で大湊線に乗り換え、大畑線の始発駅である下北駅を目指した。

 下北駅に着いた時、既に9時10分発の大畑行きの単行列車は隣の下北交通のホームに入線していた。行き止まりの辺りに大畑線のニックネームの「みらい海峡ライン」という看板が立っている。ホームの周りは厚い雪で覆われている。同じホームにあるのだが、柵で仕切られていて大回りをするか、ホーム中央にある待合室を通り抜けなければ両者の乗り換えはできない。14分の待ち時間があるのでとりあえず駅舎にいってみる。駅舎に降りる階段がシャーベット状になっているので慎重に下った。

 駅舎はJRの物だが、隅っこに1畳ほどの下北交通の切符売場の小屋があったが「不在の時は車内で切符をを買い求め下さい」の札がありだれもいない。外に出るとコンビニが目に入った。不覚にも最近の寝台特急の多くは車内販売はないという原則を忘れ、昨晩朝食を買い忘れていたので滑らぬよう急いで買いに走った。

 発車数分前に大畑行き5D列車に乗り込んだ。十数人の乗客がいて鉄道ファンと思しき人が何人かいた。車内は元国鉄のキハ22を改造したキハ85で、運転室の壁が3分の1近くと、デッキの壁と、トイレが取り払われ随分すっきりしている。運転室横には料金箱がある。かなり内装は変わったが、客室中央の排気管、窓際席の頭を当てるための小さなクッションなど、北海道でお世話になったキハ22の面影が至る所に残されていた。

 車内には運転手のほかに車掌らしき人物がいた。まだ切符を買ってなかったので、その人から切符を買う。どんな車内券が出てくるのか楽しみにしていたら、整理券に済、下北交通というハンコが押してあるだけだった。出発時間になり車掌みたいな人が出て行った。たぶんこの人が下北駅の切符販売係なのだろう。

 列車は左にカーブしてゆっくりと民家の間を走る。大湊線が割と飛ばしていたのとは対照的だ。海老川に停車し、そしてむつ市の中心の田名部駅に着いて半分の乗客を降ろし5人の乗客を拾った。むつ市の中心にありながら駅舎に1面1線のみのこじんまりとした駅だ。

 田名部を出て少すると先ほどとは打って変わって山林のような所を走る。数キロ先に樺山という駅があり、時刻表には4月1日-11月30日の間停車と記してある。駅とその辺りが雪で埋もれてしまうため駅に到達するのが不可能なためそのような措置を取っているという。どんな駅なんだろうと左右に注意していると左側の高い木の元ににそれらしきものが見え、樺山と言う駅名標と小屋のような駅舎の前を列車は通過した。確かに駅は雪だらけの林の中にあり容易に近づけないようだ。だが国道と人家は意外に近い。たぶん少ない乗降客のために除雪する手間を省いたのだろう。すぐ近くにはバスが走っている事だし。

 3月31日を最後に大畑線は廃止されてしまうのでもうこの駅に列車が停車する事は無い。つまり線路に先駆けて廃止になってしまったようなものだ。

 再び人家がちらほら見えはじめ、陸奥関根で数人の乗客を降ろした。クリーム色の待合所に赤い帯が巻いてあるような線が描かれている。掲げてある駅名票は下北半島がモチーフになている。これらが大畑線の駅のスタンダードのデザインでJRと共用の下北駅を除き大畑線の駅の共通点だ。

 やがて右側の車窓がら津軽海峡の海が見えた。天気が良ければはるか北海道が見えたのだろうが、厚い雲に覆われてその先は見ることができない。

 列車は津軽海峡沿いに走り、川代、正津川と停車し、左にカーブすればもう終点の本州最北端の駅、大畑だ。大畑で降りた客は10人未満で、そのうち私を含め4人は試乗組という寂しい結果だった。

 大畑駅はローカル線の主要駅というのを感じさせる有人駅で、ストーブのある待合所にキオスクのような売店まである。大間鉄道未成線を巡るべく駅のロッカーに余分な荷物を預け外へ出た。
キハ85

国鉄から譲り受けたキハ22を改造した
キハ85、3両が在籍している。
下北交通大畑線、キハ85の車内

キハ85の車内。かなり改造されたが
種車のキハ22の面影が随所に残る。
車内券?

大畑線の車内補充券?整理券に
ハンコが押されただけのもの。
車窓から津軽海峡を眺める

樺山を過ぎて少し走ると津軽海峡に出る。
下北交通大畑線の終点、大畑駅

終点大畑駅。入口の”おおはた”という駅名
の前に本州最北端の駅≠ニ書かれていた。

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