寝台特急はくつる、レディースカー&立席特急券の旅(2)


目覚めたら雪国
 寝ようとしたが、なかなか眠れずウトウトしていた。宇都宮に停車した事はなんとなく覚えている。でも、なんとか眠れ、3時過ぎに目覚めるまでの記憶は無い。

 真夜中の3時半過ぎに目が覚めてしまう。予定通りなら仙台駅を過ぎた頃だろうか。外を見ると住宅街を走っている。まだこのあたりは雪がそんなに積もっていない。

 列車はやけにゆっくり走っている。そしてレールの音を軋ませながら停車してしまった。夜間で緊急性はないのか車内放送は無い。 しばらくそのまま動かず10分程してようやく動き出す。でもいっこうにスピードは上がらない。外を見ていると踏切に警備員風の人が立っているのが見えた。踏切が短い間隔で続き、同じような男性が立っている。カーテンから顔を覗かせて様子を見ていると警備員と一瞬目が合ってしまった。しばらく走りそのような人はいなくなり、徐々にスピードを上げていった。「陸前山王」という駅名票が目に入った。仙台から北に3つ目の駅だ。後で時刻表を見たら、1月28日は仙台発の松島行き最終の1579Mが工事のため運休としてある。たぶん深夜の保線工事のため遅れてしまったのだろう。
寝台特急はくつる車内で夜迎える明け

日が昇り、白銀の大地に光をもたらす。
夜明けは夜行列車のドラマチックな
瞬間の1つ。


 一眠りし、6時過ぎに目を覚ました。はくつるは青森県内を走っている。良く眠られなかったせいか,
あまり頭が冴えなく気だるい。カーテンを開けて外を見ると、まだ外は薄暗い。さすがにここまで来れば、外は雪で真っ白になっていた。

 列車は役15分遅れ、7時15分に八戸駅に滑り込んだ。夜を越えた寝台特急はくつるは、八戸から青森までは4、5号車のB寝台車を座席として使用し、青森への最初の特急列車としての役目も果たす。その4、5号車の乗車口には、寒そうな中、多くの人が列を成している。尚、はくつるの座席車≠ヨの乗車は通常の特急券ではなく、立席特急券が必要となっている。

 三沢駅で少し乗客を降ろし、八戸駅のように4、5号車の乗車口付近で列をなして待っている。三沢駅付近の建物にある「ミニ新幹線を」という悲痛な看板が目に入ってくる。東北新幹線はフル規格で青森まで建設されるのが決まっていて、その場合、三沢はフル規格新幹線のルートから外れてしまう。

 昨晩、車内販売を当てにして朝食を買ってなかった。でも待てども車内販売は来なかった。最近は夜行列車の多くは車内販売はないと言う事を不覚にも忘れていたのだ。前乗った急行「八甲田」であったという記憶がこびりついていたゆえの不注意だ。たぶん上野駅でもそういう車内放送は繰り返されていたのだろうが、外で写真を取っていて気付かなかった。結局、下北交通大畑線の乗換駅の下北駅まで、朝食はお預けとなってしまった。

 7時54分に野辺地に着いた。左の跨線橋の向こうには窓を板で塞がれた廃屋のような休止中の南部縦貫鉄道の駅舎が見える。降り立った駅は白銀の世界で、今も深々と雪が降り続く。乗り継ぐ大湊線の列車は8時発なので、はくつるの写真を撮り、滑らないように急いで大湊行きの列車が出る1番線に向かった。

野辺地から立席特急券で青森へ
 はくつる号を野辺地で降りた翌日に、今度は立席特急券で青森まで行く事にした。弘前に行くのにそのほうが早く着けるからだ。

 早朝、始発列車の下北交通大畑線に乗り下北駅で降り、野辺地行きの待ち時間に、あらかじめはくつる号の立席特急券をみどりの窓口で買っておいた。私の前に並んでいた人もはくつるの立席特急券を買っていた。

 野辺地駅での乗換え時間は2分しかなく、その上少し遅れたので、またしても急いで跨線橋を渡りはくつるが入ってくる4番線に走り、既に入線していたはくつるの5号車に飛び乗った。

 デッキにはすでに数人の人が立っていた。乗降口の扉の隙間から冷たい空気が入り寒いので、ドアを開け客室に避難しようとした。しかし、扉を開けた瞬間、満員の客室を見てげんなりしてしまう。3人掛けの座席として使われているベットだけでなく、壁に収納されている折りたたみイスさえも埋まり、通路には十数人もの立客がいる。昨日、八戸であれだけ並んでいて、三沢、野辺地と乗客を拾ったのだろうから混んでるのも頷ける。4、5号車の2両分で単純に計算しても60、70人は乗客が居る事になる。寝台だと、終点の青森に近付くにつれ乗客は減る一方なので、空いたベットを座席として開放し、収益が得られるので、寝台特急はくつるのおいしいバイトのようなものなのだ。

 かろうじて空間のある通路の窓際に立ち、曇ったガラス越しに雪景色を見ながら、青森までの38分を過ごした。

[2001,1月乗車]
野辺地駅を去る寝台特急はくつる

野辺地駅を出て、終点の青森駅を
目指す寝台特急はくつる。雪国の
冬の厳しさを身に受けながら走り
続け、すっかりと雪のお面を被って
しまった最後尾。
寝台特急はくつるの立席特急券

はくつるの立席特急券。「立席特急券
では着席できません」となっているが、
指定された号車に座っていい
自由席特急券のようなもの。但し
発売枚数の制限がある。
寝台特急はくるつ、青森駅到着。デッキに雪が入り込む

デッキに入り込んだ雪。乗降口の 
扉が折戸の場合、気密性がそれ程 
高くなく、隙間風や雪が入りやすい
寝台特急はくつる、機関車と客車が切り離される

青森でまず客車が回送されるため、切り離される。

 寝台特急はくつるは、2002年11月30日発を最後に廃止されました。


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