下北交通大畑線と大間鉄道未成線跡(3)


下北交通大畑線の終点、大畑駅のホーム

大畑駅ホームで出発を待つ8D列車。
右側は大畑線の列車の車庫兼検車場。
沿線の中心地、田名部へ
 二枚橋から大畑駅はそれ程遠くないので歩くことにした。国道279号線に沿って大畑駅を目指し、途中で大畑バイパスと市街への道が別れていて、市街への道を選んだ。バイパスは大畑駅から市街地を迂回して建設されていた大間鉄道の跡の一部分を利用している。

 大畑漁港の横を通り静かな商店街を抜け大畑駅に辿り着いた。既に13:30分発8D列車は入線していた。車内には数人の先客がいる。まだ学生で混みあう時間ではなく、昼間のローカル線の車内は静かでのんびりとしている。

 列車は定刻に下北駅に向け出発した。私は樺山駅をカメラで捉えようと右側の席に陣取る。津軽海峡に別れを告げ、静寂な森林の中に入り、前方右手にに樺山駅が見えてきた。タイミングを合わせ逃さずシャッターを切った。

 今日の宿は下北半島で一番大きな市町村であるむつ市の中心地、田名部(たなぶ)に宿が取ってあったので、田名部駅で下車した。駅前にはJRバスとタクシーが控えている。駅から繁華街に3分歩いたら下北交通の拠点のむつバスターミナルがあり、下北半島各地、青森方面など多数の便が発着している。大畑にも大畑線に沿うような国道279号線を通るバス便が平日だと1日21,.5往復も出ている。対する大畑線は10往復で、80円大畑線の方が安いとはいえフリークエンシーでは圧倒的にバスに分がある。下北駅にも系統は異なるが10往復ほどのバス便がある。 田名部駅は繁華街に近いという立地に恵まれながら廃止の憂き目に遭うのはたぶんバスターミナルと大畑を結ぶバス路線に利便性で負けているのも理由の一つなのかも知れない。

 夜になると雪が絶え間なく降り続き、私は特にする事もなく、ホテルで旅の疲れを癒していた。カーテンを開け外を見ていると、夜の闇の中を、大畑線の列車が車窓から光をこぼしながら黙々と働いている姿があった。

田名部駅の始発列車
 翌朝6:16発0D列車の下北行きに乗るため、6時前と早々にチェックアウトし田名部駅に向かう。何もそんなに早くとも思うが、弘前に行くのにこの時間でなければ昼前にしか着かない。概して大畑線と大湊線の接続はよく、この場合も少ない待ち時間で大湊線に乗り換えることができる。

 まだしんしんと雪が降リ続き、街は眠りについてるのように暗く静かだ。田名部駅もまた夜の闇に包まれ、待合室と自動販売機の光だけが煌々としている。待合室には誰もいなく静まり返っている。切符売場もカーテンが下ろされたままだ。

 静寂が支配する田名部駅で過ごしていると、外で車が雪を踏み鳴らす音がした。その音がとまると、高校生くらいの女の子が駅の中に入ってきた。下北行きの列車に乗るため送られてきた。私が乗ろうとしている始発列車に、彼女はいつも乗ってるのだろう。この時間はたいてい1人なのだろうけど、見知らぬ旅人がいたので少々驚いていたようだ。

 0D列車は2両で田名部駅に入ってきった。5:52分に大畑駅を出た始発列車で、この時間に2両は過剰な気がするが、かき入れ時の通学時間帯のため、早めに準備ているのだろう。田名部から乗ったのは私と例の女子高生だけだけで、2両編成の車内は他に3人しかいなく回送列車同然だ。こんな少ない乗客のために朝早く律儀に運行されているのだ。だけどそんな朝もあと数ヶ月もすれば終わってしまう。

 6分で下北駅に着き、0D列車は折り返し1D列車となり、休む間もなく去っていった。大畑線の1日は始まったばかりだ。

[2001,1月訪問]
冬季休業中の樺山駅

冬季休業中の樺山駅を通過。
下北交通大畑線の硬券乗車券

市も北交通大畑線の硬券乗車券
田名部駅待合室

始発前の誰も居ない田名部駅待合室。
下北駅に着いた始発列車

下北駅に着いた0D列車。この写真
では分かりづらいが2両編成だった。

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