下北交通大畑線と大間鉄道未成線跡(2)


大間鉄道未成線跡の橋台

桑畑集落に残る大間鉄道の橋台跡。
この辺りで建設は中断されたという。
極寒の中の大間鉄道未成線跡巡り
 元々大畑線は下北駅から田名部、大畑を経て下北半島の北端の大間までの路線として計画され、当時「大間鉄道」と呼ばれていた。第一期の工事区間として大畑までが着工され、1939年の12月に開業した。その後第二期の工事区間として大畑−大間間が着工されたが太平洋戦争勃発のため工事が中断され、その後も放置されたままになった。

 建設が中断されたという桑畑までバスで行き、そこから徒歩やバスで大畑線の未成線跡を見ることにした。バスは大畑駅前から出ていて、列車から降りて短い待ち時間で大間行きのバスが来た。数人の地元の人以外に1人旅の男性3人が同じバスに乗り込んだ。まさかこの人たちもレールファンで大間鉄道の跡を見てまわるのだろうか?

 バスはむつはまなすラインというニックネームの国道279号線を走り木野部峠を何度も急カーブしながら越え、海沿いを走る。途中で何ヶ所かでコンクリートの未成線跡があり、また盛土らしきものが雪で覆われていた。

 およそ30分で桑畑に着いた。例の3人の男性はまだ乗っている。きっと本州最北端大間を目指すのだろう。少し探してすぐに帽子のように雪を被った橋脚跡を見つけた。桑畑から下風呂に歩き始めたのだが、道の脇までは除雪されてなく、とても歩きづらく、車も時々通るから危険だ。しかしこんな寒い中、海岸沿いに未成線跡を見るために歩くなんてつくづく物好きだ。

 途中で天候が変わり吹雪いてしまい、強く冷たい風に乗せられた雪が容赦なく私に当たる。そんな中をてくてく歩く私を見て車を運転していたを風間浦村の福祉課の人が拾ってくれて私はご厚意に甘えてしまった。村内の一人暮らしのお年寄りを巡回してる途中だったそうな。車の中に入った途端、体の隅々まで冷えていた体がじんわりと暖められ、外の寒さを改めて感じた。

 短い間だったが暖まり、福祉課の人の都合もあり、下風呂の手前で下ろしてもらいお礼を言い別れた。降ろしてもらったすぐそばにコンクリート橋と橋脚が残されていた。すぐ横に民家が建っていて、階段でコンクリート橋に上がれるようになっていて、上にはビニールハウスみたいな鉄の棒の枠組がある。家の人がベランダ代わりにでも使っているのだろう。

 さらに歩いた大川尻に塞がれたトンネルの跡があり下風呂温泉に向かって少し道床の跡が残っている。トンネルの前まで上がれそうだが、雪が積もっている。思い切って50センチほど積もっている雪の中にズボズボ足を埋めながらトンネル跡の前まで行った。トンネルの反対側に振り返ると、盛土が大畑寄りに伸びていた。

 昼前に下北半島の温泉街の1つとして有名な下風呂に着いた。市街地の後方には大間鉄道の13連のアーチ橋が城壁のようにそびえ立っている。下風呂の見所なのか「るるぶ」の青森版の下風呂温泉の地図に大間鉄道のアーチ橋と記されている。

 今は住民の通路として使われているので、上り口を探して登ってみた。橋は斜面に建築されているが、道床脇の山側の斜面に住宅が何軒か建ってる。橋から入れる玄関があり、まさに生活道路でこの橋が無くなったらここの住人はさぞかし困る事だろう。橋の上からは下風呂の温泉街と津軽海峡が一望できる。端まで歩いてみるとコンクリート橋は終わり、この先は雪の斜面に溶け込んでいるようで、未成線跡はあるかないか分からなかった。

 端から来た道を戻り行けるとこまで行ってみたら、駅の予定地だった所にホームに上り下りする階段があった。下ってみる列車を降りた後、細い通路を通り、駅舎に向かうということを思い起こさせる雰囲気だ。下のほうは下風呂の市街地で上には公民館があり、近道として利用されてそうだ。

 下風呂からバスで大畑に引き返す途中に二枚橋というところがあり、ここにも見事なコンクリートのアーチ橋が残されている。橋の上にTVのアンテナが立っていて、ここでも住民が廃線跡を活用?している。黒く汚れていて、継ぎはぎのようなものが目立ち痛んでいるのが分かる。この橋は粗悪なコンクリートで造られているらしい。故意かどうかは知らないが、所々穴が開いていて、夏なら水が漏れ出ているのだろうが、寒い冬には水が凍り、氷柱(つらら)となり穴から垂れていた。冬は冬で面白い物が見られるのだなと思った。
コンクリート橋

コンクリート橋。さらに左手に橋台が
1つぽつんと遺されていた。

大川尻のトンネル跡

大川尻付近に残るトンネル跡。
下風呂温泉にある、大間鉄道の13連大アーチ橋

下風呂温泉街にある13連のアーチ橋。
アーチ橋のから下風呂温泉市街地を眺める

アーチ橋の上から市街地を眺める。
下風呂駅ホーム予定地の階段

下風呂駅予定地のホームから下る階段。
二枚橋アーチ橋

二枚橋アーチ橋
二枚橋アーチ橋から氷柱が垂れる

二枚橋アーチ橋に開いた穴から
氷柱(つらら)が垂れている。

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