ステレオサンウド誌の連載の一つ、「ニアフィールドリスニングの快楽」が次号をもって終了するとのことです。
残念ですが、ハイエンド志向の同誌において10数年もニアフィールドリスニングの連載が
続いたことは快挙だったと思います。SS誌の読者層の多くは、広大なリスリングルームに憧れは持ちつつも、現実的な
広さの部屋でオーディオを楽しんでいると想像します。ニアフィールドリスニングへの共感が長期の連載の背景にあった
のでしょう。ニアであることを悲観せず、むしろニアの方が音がいい・・・この切り口には私も背中を押してもらいました。
SS誌の読者層はともかく、私個人に限れば、オーディオ≒ニアフィールドリスニングです。
現在の家を建てたのはもう10年近く前になりますが、その頃は総額30万程度のコンポで十分満足していました。
家の設計段階においてリスニングルームを造るという意識は全くありませんでした。今、家を建てるならば当然
拘るのでしょうが、このこと自体は後悔していません。オーディオ熱の疎密含めてのオーディオライフですし、
ここ2、3年のメインスステムの音の変化を通じて、更なる可能性を感じているからです。
今の部屋でもSPとリスナーとの距離を離すことは可能ですが、そうしない理由があります。まず
ヴィエナアコースティックのSPはバスレフ型で、後壁からの一定の距離が必要です。また
サウンドステージはできるだけ
広い方が好みなので、左右のSP間隔を離せる横長配置を採用しています。部屋の短辺方向に
SPとリスナーを配置し、かつSPを後壁から離せば・・・ニアフィールドリスニングにならざるを得ません。
でもそれはいい音を追求した結果であって、少なくとも私には”ニアの方が音がいい”が当てはまるのです。
セッティングを追い込む過程で、SPではなく部屋を鳴らすことを覚えました。よく使われる表現ですが、
"音場と音像の両立"も意識するようになりました。
数年前までは音像?音場?の状態でしたし、平面的な音で満足していました。
個々の音が空間的に配置される様は、イリュージョンとはいえオーディオ的快感です。
上の写真は連載当初の1997年のSS誌で、随分と若い和田氏が写っています。流れた年月の長さを感じますが、
当時いや数年前まで、漠然と捉えていた
連載タイトルの意味をようやく掴んだのかも知れません。
2011年 11月17日