アナログ派からは音が冷たい、PCオーディオ派からは旧世代のフォーマットと
言われて肩身の狭いCDですが、ここでは少々、CDを弁護したいと思います。私がミニコンポから
オーディオの世界に入って以降、現在に至るまでソースの中心はCDでしたし、今後もソースに
占めるCDの比率は高いままでしょう。大好きなラテン系の音楽がSACD、ハイレゾ音源、アナログ新盤で購入できる
日があるのだろうか、と考えると一層CDを何とかいい音で聴きたくなります。ラテン音楽に限らず
CDの音を十分に引き出せているのか、と自問すれば、当然答えは否です。
CDが出た当時のPC環境は現在とは比べ物にならないほど貧弱でした。当時の記憶媒体は
フロッピーディスクですが、まともな音楽ファイルを保存するには容量が圧倒的に足りません。
仮にWAVEファイルの場合、1曲でフロッピーディスク30枚、アルバムで300枚ですから話になりません。
インターネットも無かった当時、
現在のPCオーディオの姿を
イメージできた人は少なかったはずです。そのような状況下、リアルタイムでデジタルデータを
読み出しアナログ信号に変換していた事は、やはり快挙だったと思うのです。
その後、約30年かけてCDプレイヤーは、読み取り精度やDACの処理能力の向上により
完成度を上げてきました。17年違いのパイオニア製のCDプレイヤー(1991年、2008年)を所有して
いますが、格段の進化を実感できます。CDは言われているほど悪くない
というのが私の感覚です。時代を先取りしていたため、その音を引き出す技術が後追いにならざるを得なかったと言える
でしょう。某オーディオ誌に、最先端のプレイヤーで聴くCDは、まるでスクラッチノイズを除いた
アナログレコードのよう、と評する記事がありました。
とは言え、30年という期間は一つのメディアが主役を独占するには長過ぎます。ここにきてデジタル
ファイルミュージックの台頭が顕著です。しかし、音楽にアナログとデジタルの
二つしかない以上、次の30年もデジタルが主役であることは間違いありません。
CDで培われた資産は、デジタルファイルミュージックの時代にも活かされます。
次の30年は私のオーディオライフの仕上げの期間でもあります。どんな30年になるか
ワクワクしますが、これもCDが築いた土台があってのことだと思います。
2010年 6月12日