No。023
中村修二と会議
2000.3.16
by Y.Tomizawa

一時、ニュースで取り上げられていましたが、皆さんご存知でしょうか。
「最もノーベル賞に近い男」
日亜化学という会社をやめて、アメリカの大学に何億円かのオファーで、引っこ抜かれた人。
青色発光ダイオードを発明した人。
町中で見かける電光掲示板が、きれいに見やすくなったのは、彼の発明のおかげだとか。

今回は、この人の業績を、別に褒め称えようというわけではありません。
だいたい私は、文系出身ですから、ダイオードなんて、なんのことやらわかりません。
ただ、江崎レオナ(どんな漢字だったか忘れた・・・)もダイオードだったはずだし、ダイオードって、おいしい市場なんでしょうか、ノーベル賞が欲しい科学者にとって。



私がいいたいのは、この人が、「会社の会議や行事を、すべてシカトして、研究に打ち込んだ」と言われていることです。
これ、いいことなんでしょうか?
「研究」って、そんなに忙しいものなのでしょうか?
彼がアメリカへ旅立つ前に、「今の日本のメーカーはダメだ」みたいなことを偉そうに語っていましたが・・・。

私は疑問です。
その会社の方針に納得がいかないのなら、もっと早くやめるべきだったでしょうし、それを許容してくれた会社や周囲の同僚に、もう少し感謝の言葉があってもよかったような気もします。
もっとも、私は放送や新聞記事でしか、彼の話を見聞きしてませんから、彼のすべての考えを知っているわけではありません。



困るのは、ああいう人が、ああいう好き勝手なことやって、ノーベル賞をもらえそうだ、ということばかり喧伝されてしまうことです。
会社が会社である以上、どこかで管理をせざるをえない。
この事実と、彼のような夢のような世界を、どう結びつけるのか。

「あいつは会議に出なくてもいいのか?」
「いや、あいつは能力が高くて、優秀だからいいんだ」
彼の業績を賞賛するあまり、「会議に出なくてもいいこと」まで賞賛されても困ってしまいます。
問題なのは、彼のいた会社が、彼のような才能ある人間をもてあましてしまったことのはずです。

おそらく、彼にとって、無駄だと思える会議ばかりだったのでしょう。
それなら、会社側も、彼が「無駄だとは思わない会議」を作ってあげればよかったはずです。
そうすれば、彼のストレスも少しは解消されたのでしょう。
最も、何億円ものオファーがアメリカのメーカーや大学からあったら、普通はそっちに目移りして当然でしょうが。



今から、20年前くらいのテレビの歌番組に、ロック歌手やフォーク歌手は出演拒否をするっていうブーム(?)もありましたよね。
それが、今では、吉田拓郎、矢沢永吉、甲斐よしひろ、み〜んな出ています。
結局、彼らも丸くなったのでしょうし、テレビ局側とミュージシャンの力関係のバランスも変わったのでしょう。

何か、人が集まる機会に、「少し遅れていったり」、場合によっては、「欠席すること」「ボイコットすること」が美徳みたいに思う風潮って、ありませんか?
なんとなく、エラそうな感じがするというか、「オレって忙しくてさ」ということをイメージさせるのに、もってこいというか。

中村修二氏が、仮にノーベル賞を取ると、またぞろ、「会議に出なかった」とか、そういう上辺のことばかり、取り上げられるだろうから、あちこちの会社にも、「ミニ中村修二」が出現するような気がします。

ボクは、好きな研究に没頭したいんで

だから、世の会社のマネジメント層は、先手を打って、「意味のない会議」を廃止し、代わって「有意義な会議」を早いところ作り出さなくてはいけませんね。
これを機会に、日本の企業も、会議のあり方を考え直して欲しいところです。



でも、そもそも、人殺しの道具の根源を発明した人の賞をもらって、みんな嬉しいのかね。