No。015

PBラーメンの撤退
2000.1.30
by Y.Tomizawa

うちの近所のセブンイレブン。そう、あの「見繕って事件」のセブンイレブンである。
私は、ここでインスタントラーメン(袋麺)を買うことがある。カップラーメンではなく、袋麺である。

しかも、私は、こと袋麺に関しては、ブランド指定派である。
出前一丁
あのゴマラー油がいいのである。関西では売上げ上位のブランドらしいが、やっぱり関東圏では売れないのだろうか。
どこかで聞いた話によると、「出前一丁」は、関東と関西で味付けが違うらしい。元々、中国発であるべきのラーメンに、関東風と関西風があるのは気に入らないが、そうなのだからしょうがない。
で、このセブンイレブンには、私の「出前一丁」が置いていないのである。



このセブンイレブンは、私的には袋麺のトップブランドである「出前一丁」を置かずに、「サッポロ一番」は、「しょうゆ味」「みそ味」ばかりか、「しお味」まで置いている。
業界でいうところの「4フェイス」をサッポロ一番でとっている。サンヨー食品の営業努力の成果なのだろうか。それとも、POSの結果なのか?
他社品は、「チャルメラ」と「チキンラーメン」があるばかりである。
そして、問題の「PBラーメン」を置いていた。

北海道の食品会社とセブンイレブンが共同で作った旨が、裏面に書いてあった。「小樽」「徳島」と、「鹿児島」(?)の3ブランドがあったか。
「おいしいのかな?」と素直に思った。置いてあるのだから、私の「出前一丁」をさしおいて。

しかし、この前の金曜日にふと入ったときに、何気なく見たら、「半額コーナー」に「小樽ラーメン」が置いてあった。

「えっ!?」

本当に思った。だって、チュッパチャップスみたいな「」や、訳の分からない「お菓子」や、ガラクタみたいな「文房具」と一緒に、閉鎖中のレジの前に置かれていたから。



このラーメン、決定的に問題だったのは、「作るのが面倒」なのである。
私が、買って作ったときの経験であるが、そもそも「インスタントラーメンごとき」で、「麺をゆでる鍋」と別に、「お湯を沸かせ」というのである。「生麺」でもないくせに。

だいたい、私は、この「麺」と「スープ」を別に作らせるタイプのラーメンが、大嫌いである。
私は、手軽にラーメンを食べたいから、インスタントラーメンを買っているのであって、別に「グルメ」を追求しているのではない。おいしいラーメンを食べたいのなら、「ラーメン屋」に行くし、自分で作りたいのなら、生麺タイプのおいしい奴を買ってくる。

「勘違いしているんじゃないか?」
私は、インスタントラーメンの裏面に、「スープは、お湯は別に沸かして・・・」という記述を見るたびに、「ああ、この商品担当者もユーザーが見えていないんだなぁ・・・」と思ってしまう。
だいたい、インスタントラーメンのヘビーユーザーは、独身男性でしょ?
麺とスープを別々に作りますか、独身男性の皆さん?
ヘタすりゃ、「鍋のまま食べるラーメン」を、そこまで「高尚なもの」にしてしまっているところに、妙なおかしみを感じる。



まあ、通常のラーメンはいい。私が問題視したいのは、「PBラーメン」である。
PBラーメン」の意義とは、なんであろうか?

安い」のだろうか?
でも、私がコンビニでモノを買うときに、値段を気にしたことはない。だから、私にとって、コンビニの商品の価格については、関与が低い。

おいしい」のだろうか?
私が食べた経験からすると、「全然おいしくない」。
妙に、スープにこだわっているあまり、麺とスープのバランスが、全くあっていなかった。生麺タイプのインスタントラーメンが、よく陥りがちなミスである。しかも、こいつは乾燥麺だった。

早く作れる」のだろうか?
前述のように、むしろ時間がかかる。論外である。



PBラーメンを、コンビニが発売するメリットは、「インスタントラーメンという非常に大きなマーケットの利益を確保できる」ことに他ならない。消費者にとっては、あまり意味がない、少なくとも私には。

一般の食品メーカーなどが、コンビニでの「」を確保するには、「どれだけいい商品であるのか」という基本的なことばかりではなく、「どれだけCMを投入するのか」ということも問題視される。
要するに、メーカーがどれだけ本気なのかということを、問うているのである。
だから、1000GRP程度の投入だと、本気じゃないと見られて、棚を確保できないこともあるらしい。

では、自社商品ともいえるPBラーメンのCMは、どれだけやったのだろうか?
私は、少なくとも、新山千春が「おいしいラーメンもありますっ!」としゃべっている記憶は、全くない。実際にやったかどうかではなく、ユーザーの記憶に残っていないのだから、仮にCMをやっていたとしても、失敗CMと判断してよいだろう。

本当に、どこまで真面目にマーケティングしたのだろうか、セブンイレブンは?



撤退してくれてよかった。私の、「セブンイレブン出前一丁棚割確保計画」の第1ステップは、突破した。
次は、サンヨー食品軍団の厚い壁に挑まなくてはならない。厚くて高い壁である。何しろ、敵は、ブランド資産を目一杯使って、3アイテムも確保しているのだから。

日清食品の営業の方は、ここを本土と見なして、関東圏のセブンイレブンにも、是非とも出前一丁(袋麺)を置いてもらえるよう努力して欲しいものである。
変なマーケティングをしてしまったセブンイレブンの弱みにつけこむのは今しかないのである。



と、ここまで書いておきながら、最近は、「麺の達人」に浮気している、今日この頃である。だって、おいしいから・・・。
だからこそ、早くお願いします、日清さん、セブンさん。