あれは昨年の冬だったろうか。
妻と子供が里帰りをしており、私は、夜食として、近所のセブンイレブンで「おでん」を買おうとした。
で、例によって、私は、あの「おでん製造器(?)」の前に立って、「あの、おでんください」と店員に声をかけた。
「何になさいますか」
当然、店員のお兄ちゃんは聞いてくる。
だが、その瞬間、私は猛烈な面倒くささに襲われた。
「自分は何を食べたいんだろう…」
もう考えることすら嫌になってしまった。
面倒くさいもの、考えるの。
と、つい言ってしまった。
「適当に見繕って!」
しばし沈黙。
「えっ、お客さん、それ、困ります」
店員のこの一言で、我に返った私は、ここが「おでん屋」ではなく、「コンビニ」であることを思い出した。そうだった。自分は、ここで「おでん」をつまんで、酒を飲むのではなく、あくまでも買いに来たのだった。
「あ、そっすね。じゃ…」
と、私は「適当」に5〜6品ほどお願いした。
さて、この「適当に見繕う」である。簡単そうで、意外と難しそうだ。
お客は、「適当」と申し出ながらも、結構「気に入らないもの」があったりする。
店員は、そこを「うまくよけて見繕う」必要がある。
また、実は意外と食べたいタネもあったりする。私も、「適当に」といいながらも、「たこ」や「すじ」を入れてくれないと、なんとなく損をした気持ちになる。なら、頼めばいいのにと思いながらも、ここでは「面倒」が優先されるのである。
こんな面倒な、客の気持ちを把握することは、コンビニのマニュアルにあるのだろうか。