(ここから→)暗雲漂う旅(続き) 同室の女性が夜は危険だから11時から朝の6時までは個室の鍵を閉めては外に出ないようにと言った。私はたぶんその時間はトイレに行きたくなると言ったら相手は顔を曇らせて黙り込みもう一度私に同じ事を言った。今度は私も承諾した。仕方が無い。ヨーロッパの夜行列車は置き引きや強盗の犯罪が起こる事が珍しくなく、安全とはいえない。(私はそのような目にあったことは無いが・・・。)だから、乗客の側も自衛しなければならないので彼女の言っていることは当然なのだ。。トイレには行きたいけど我慢するしかない。郷にいれば郷に従えだ。その後側で私たちのやり取りを聞いていたのか、車掌さんが鍵はこうやってロックするんだよと教えてくれた。 11時前にトイレに行こうとそれまで起きている事にした。同室の女性は携帯電話で先ほどの顛末かは分からないが何かを声高にしゃべっている。通話を止めたと思ったら、また始まっている。この人に限らずヨーロッパでは携帯電話を使うときデッキに出るなどのマナーはなく座席でそのまま話している人がほとんどだ。 結局車掌さんと同室の女性が何を話し合ってたかは分からないが、人種差別うんぬんは考えすぎかもしれない。もしかしたら彼女も私と同じように、同室になる人がいない事を期待していて、思いがけず私がいたので部屋を変えてもらうように要求したのかもしれない。いずれにしても私が気にしすぎて萎縮する事はないのだ。でも、格安なT3料金は両刃の剣だとつくづくかみ締めている。運がよければ格安に快適な個室の旅ができ、運が悪ければ今回みたいに何か気が合わなさそうな人と一晩密室で過ごす羽目になってしまう。 まだ9:30でかなり長い。ベッドに潜り込み枕もとの電気をつけてガイドッブック見ていた。1等だけあってベッドは広めで日本のB寝台の70cmよりは広いように思える。ただし3段で使っているので少々高さは狭い。それにしても眠い。寝てしまいそうだ。 時間潰しに室内に備え付けの冊子2冊を手に取ってみていると、その内の1冊に追い求めてきた「エクセルシオール」の写真があった。車端部のロビーや通路は落ち着いた雰囲気で室内の写真はシティナイトラインなどの最新のヨーロッパのホテルトレインのようなさっぱりとしているが、くつろげそうな車内だ。 (右上に続く) |
(左下から続く) 眠気と戦いつづけ、ようやく10:30を過ぎてトイレに行く事にした。同室の女性はもう寝ているので静かに扉を開け閉めしてトイレに行って、私も眠ろうと枕元のライトを消した。これから列車はミラノ・ガリバルディ駅に停車し、アルプスを貫くシンプロントンネルを通りスイスを経て5:11にフランス側最初の停車駅であるドールに到着する。 朝ののんびりとしたひと時 何度も目を覚まし、その度時計を見ながら車中での夜を過ごした。6時30頃に目を覚ましようやくトイレに行けた。もうフランスに入り、ドールとその次の停車駅のディジョンを過ぎてパリに向けて順調に走っていた。 同室の女性はまだ寝ていた。私は朝食代わりの昨夜買っておいたクラッカーを食べようと静かに通路に出て、壁から折りたたみ椅子を前に倒して座り、ボーっと外を見ながらクラッカーを食べた。ヨーロッパの冬の夜が明けるのは遅く、7時前でもまだ暗い。 車掌さんが「Good morning」と笑顔で近づいてきて、何か飲むかと聞かれたのでホットコーヒーを頼んだ。すると彼は車端部にある1等車専用の給湯室に行きコーヒーついで持ってきてくれた。お金を支払おうとすると無料だといった。ENの1等車のサービスなのだろうが、ありがたくそのコーヒーを飲んだ。 8時になるとようやく夜も明け切り、列車はパリ郊外に差し掛かり沿線には住宅が増えていた。ちょうど通勤通学時間帯で、押しあいにならない程度に混んでいるパリに向かう列車を何度も追い抜かした。 余りのんびりしていられず、下車準備をしに部屋へ戻った。個室の扉を開けたとたん、ズボンを履いていないストッキング姿で着替えているのが目に入ってしまった。こちらがノックをし忘れたのでばつが悪く謝りながら朝の挨拶をしjた。 徐々に列車の速度は落ちて、車内放送はたぶんパリ・リヨン駅にまもなく到着する事を告げている。駅を目前にし止まってしまったが、すぐに動き出し列車は定刻にパリ・リヨン駅に滑り込んだ。 同室の女性はもう出て行き、私はなんとか重い荷物を荷棚から降ろした。だけどまたホームが低く降りるのに苦労しそうだと思っていたら、先にホームに車掌さんがいて荷物を降ろしてくれ私は楽々下車する事ができ、お礼を言ってEN222列車を後にした。 [2000,11月乗車] |
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![]() 冊子その1・イタリア発着の国際列車 の案内。左側が表紙で、右側の エクセルシオールの写真が表紙 と一体で裏に折り込まれていた。 |
![]() 冊子その2・イタリア−フランス間の 夜行列車案内.。イラストとモノクロの 写真を添え、洒落た雑誌のようで、 イタリア、フランスのセンスを感じる一冊。 (それぞれ実物より縮小) |
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