ヴェネチア−パリ夜行列車の旅(2)


イタリア国鉄の1等寝台車

落書きだらけのパリ行き夜行列車
の1等寝台車。
暗雲漂う旅
 私の今宵の宿となる先頭車両の1等寝台見てビックリした。なんと特別塗装車のように落書きだらけなのだ。ヨーロッパを鉄道で旅行していると、落書きしてある車両をよく見るが、この車両は特に酷く、これが一等車かという不様さだ。間近で改めて驚いてしまう。そして、一鉄道ファンとして車両をないがしろにするような行為の結果を見せつけられ気分いいものではない。

 列車に乗ろうとしたのだが、ホームが低く、しかも列車のステップも急なので簡単には乗れない。先に荷物を車内に横向きにドンと倒すように乗せ、その次に自分が乗った。個室だがベッド毎にナンバーがついていて、私のベッドは22番で中ほどの部屋の下段ベッドだ。まだ誰もいなかった。最初に壁に折りたたま中段ベッドに描かれた白黒の風景の絵が目に飛び込んできた。ベッドメイクはされてなく座席のままだった。蓋がしまった小さな洗面台が左側の奥の方にあり、その上の棚にはタオルやうがい用コップなどが入っていた。

 とりあえず、荷物を置いて外で写真を取って、部屋に戻ると、欧米人の中年の女性がいた。今夜の同室の相手だ。「Hello」と挨拶をするが、目を合わせたが返答はない。私の声が小さかったのだろうか?

 その同室の女性は、なにやら車掌さんに話しに行った。イタリア語やフランス語は分からないが、何を話しているのだろうと座席に座りながらも聞き耳を立てていた。同室の女性の語調から楽しく世間話をしているとか検札をしているようには見えない。いや、なんとなく不満や要望を言っているような・・・・・。

 そんな間に列車は出発時間の19:45を迎え動き出した。ヴェネチア本島を離れゆっくりとリベルタ橋を渡りイタリア本土側に向かった。橋の両側には海が広がっているのだが夜の闇で併走する車しか見えなかった。

 本土側に入りのヴェネチア・メストレ駅を定刻の19:58に出てミラノ方面に走り出したのだが、例の同室の女性と車掌はまだ何か話している。やはり何かもめているのだろうか?同室の人が日本人だったので部屋を変えてもらうよう抗議しているように見える。まだ違う人種を差別する人もいるというし。

 しばらくして話し合いが収まったのか、車掌さんがやってきて同室の女性の荷物が入れられないので私の床に置いてある荷物を上げてくれという。それはもちろん構わないので上げてもらった。そして女性の荷物の大きなソフトスーツケースとボストンバックが室内に入れられた。

 そしてようやく検札が始まった。パスポートと指定券とユーレイルパスを車掌さんに預けた。それれらは翌朝に返してくれるという。寝台の乗客は国境越えの時車掌がフランスへの入国審査を車掌が代行してくれるのだ。

 改札が終わり狭い客室内には私と同室の女性が残された。なんとなく重苦しい気分だ。部屋の扉を閉めるともっと重苦しくなりそうなので、扉側に座っていてっもあえて閉めていない。フランスのガイドブックに目を通していると、ドリンクのサービスがあり車掌さんがトレーにシャンパンとオレンジジュースをトレーに載せてやってきた。私はシャンパンをチョイスしてこれがユーロナイトの1等としてのサービスの一環なのかなと思った。

 列車はパドヴァ、ヴィチェンツァと停車しては走り、シャンパンを飲みながら列車に揺られたせいか、少々の酔いと眠気が襲ってきた。それに気づいたというわけではないだろうが車掌さんが部屋の前を通りかかり
「Are you sleepy?」
と質問された。少しと答えたら、同室の女性もOKしてくれ、車掌さんがベッドメイクしてくれることになり、私たちは部屋の外に出た。車掌さんが座席の背もたれを手前に倒し下段のベッドを作り、壁に収納してある2段目のベッドを手前に倒し、シーツを敷いたり手早くベッドメイクを済ました。
イタリア国鉄、電気機関車

EN222列車を牽くイタリア国鉄の電気機関車。
1等寝台車の個室内

1等寝台車の室内。定員最大3名。
洗面台などもある。ウェルカムドリンク
にシャンパン一杯が付いた。

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