近鉄北勢線2,八王子線,内部線
〜近鉄のナローゲージ線乗車記(2)


北勢線の終点、阿下喜駅に到着

北勢線の終点、阿下喜駅に到着。
北勢線(北大社駅→阿下喜駅)
 2北大社駅で過ししている内に、阿下喜行き列車が来る時間が近付いてきた。北大社までは2、30分に一本だが、この先の阿下喜までは1時間に1本で、午前は2時間も間隔が空く場合がある。

 阿下喜行きが入線してくる2番線ホームで列車を待った。上りホームと違い、幅は狭くなく植木を植える余裕さえある。2面3線のホームだが、番線の付け方が変わっている。駅舎寄りの、先程の狭い西桑名方面行ホームは2面で、駅舎寄りから1番、その隣りが3番となっている。そして、駅舎から一番離れていて、広めの1面は、阿下喜方面行きホームで、その面の外側が2番線となっていて、何故が1、2、3と順番に番線が付けられていないのだ。阿下喜方面行きホームの内側は3番線のレールに面しているが、番号が付いてないので、使われていないのだろう。

 ようやく西桑名方から阿下喜行き列車が入線してきた。阿下喜からやって来た、西桑名行きとすれ違うのを数分待っての出発になった。車内を見渡すと二十数人の乗客で、夕方なのに車内は人が少なく、閑散としている。

 相変わらずカーブが多く、身をくねらせながらのんびりと走る。すぐに大泉東に着いた。かつてはすれ違いができる駅だったみたいで、反対側に線路が剥がされた廃ホームがある。

 大泉東を出ると益々畑が多くなり、過疎とまではいかないが、沿線の住宅が減っていく。員弁町の中心駅の楚原(そはら)駅で約半数のい乗客が降りると、更に車内は寂しくなり、またしても、私の乗る最後部車両は私1人となった。

 楚原駅を出ると車窓の左右に山が多くなり、上笠田駅辺りから山間路線のような雰囲気になる。山間をひしめき合うように北勢線、その南西を三岐鉄道が員弁川を隔て走る。両者はこの辺りでは2、3kmしか離れていない。少ない乗客を奪い合うような位置を走っていて、遠目には三岐鉄道の沿線辺りが建物が多く見え、いくらか発展しているように見えた。

 六石駅を出てしばらくして風景が開け、街中に入るとすぐに終点の阿下喜駅に着いた。太陽が最後の輝きを放ちながら山の背後に沈もうとしている時だった。私の他には数人の乗客しかいない。駅務室もある立派な駅舎たが、現在は無人駅化されてしまった。改札横にある売店も窓が閉められ営業している気配を感じられなく、ガラス越しに虚しく「たばこ」などの文字が見えるだけだ。駅舎の外に出ると、北勢線利用者を当てにしているのか、2台のタクシーが手持ち無沙汰で客を待っていた。
阿下喜駅の駅舎内

阿下喜駅駅舎内。無人駅になってしまい、
駅務室、売店の窓が閉じられ、どこか寂しげ。
阿下喜駅駅舎

阿下喜駅駅舎。北勢町の中心地にあるが、
駅は人がまばらで閑散としている。
内部線の近鉄四日市駅

近鉄名古屋本線高架下にある内部線乗り場。
八王子線・内部線
(近鉄四日市駅→西日野駅)

 北勢線に乗車した数日後、再び快速みえ号に乗り四日市で下車した。和田岬線に乗りに行く途中に、寄り道をしてナローゲージの内部、八王子両線に乗るためだ。JR、近鉄の両四日市駅は約1km離れているので少し歩かなければいけない。どんどん進むにつれ中心街の趣きになっていき、15分で商店街、デパートなどが立ち並ぶ近鉄四日市駅前に着いた。JR駅よりこちらのほうが賑やかで四日市の中心なんだと感じる。駅の左の横断歩道を渡った近鉄線の高架下に「近鉄四日市駅内部線のりば」の看板がひっそりと掲げられるようにあった。

 駅の中に入ると地下鉄駅のような雰囲気で自動改札も完備している。次の列車が西日野行きなので、西日野行きまでのきっぷを買い自動改札機を通りホームに出た。ホームは高架の真横にあり9、10番線という番号が付けられていた。名古屋線から1、2と続くのだろうが、一旦改札を出ないと乗換えが出来ない。

 西日野からの列車が入線し折り返し西日野に行きになる。3両編成で、北勢線では当たらなかったクロスシート車だ。狭い車内に片側1席づつ横2列の、路線バスのように背もたれが低いシートが運転室に向いてずらりと並んでいる。編成両端がクロスシート車で中間車がロングシート車だった。私は最後尾の運転室後ろのクロスシートをに座った。窓は小さいが後面展望が楽しめる。

 出発時間を待ち運転室越しに外を見ていると、熱心に写真を撮っている鉄道ファンが見えた。やっぱり国内では稀少なナローゲージだから注目度が高いのだなと思っていたら、なんとその人は欧米系の外国人男性だった。国内ファンのみならず、外国人ファンの興味を引く路線でもあるのかもしれない。

 各車両に数人の乗客を乗せ、高架下のホームをゆっくり離れ、四日市の住宅街を縫うように進む。北勢線と同じようにゆっくりとした走りだ。速度制の標識を見ていると大体30kmから40kmになっている。その程度なら一般道を走る車よりも遅いくらいだ。だけど、専用の軌道なので、駅以外では止められることはないので順調に滞りなく走る。

 二つ目の日永駅に着いた。内部線、八王子線との分岐上にある駅で、四日市駅から内部駅までの5.7kmが内部線、内部線の途中駅の日永駅から西日野駅までの1.3kmが八王子線だ。

 内部線と別れ少し走ると、早くも八王子線の終点の1面1線西日野に着いた。かつてはここから1.5km先の伊勢八王子駅まで線路があったが、水害のため昭和49年から休止になり、昭和51年に廃止されている。かつての伊勢八王子方には線路に立ちはだかるような小さな駅舎が建っている。小さな駅舎は切符の自動販売機がと別棟のトイレがあるだけの無人駅だ。駅前には、何十台もの自転車が所狭しと並べられている。朝夕などは通勤通学で賑わうのだろう。
八王子線、内部線のクロスシート車

クロスシート車。狭い車内に横2列で並ぶ。
八王子線の終点、西日野駅

現在の八王子線の終点。西日野駅。かつて
は1.5km先の伊勢八王子まで線路が伸びて
いたが、水害で廃止された。

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