近鉄北勢線-1 近鉄のナローゲージ線乗車記(1)


近鉄北勢線の始発駅、西桑名駅

近鉄北勢線、始発駅の西桑名駅。
JR、近鉄の桑名駅のすぐそばにある。
北勢線(西桑名駅→阿下喜駅)
 18きっぷで名松線に乗り、帰りに快速みえ号に乗った。桑名駅ホームが近付き徐々に減速していくと、何本ものレールの向こうに、小さな駅がぽつんと佇んでいるのが一瞬見える。あれが近鉄北勢線西桑名駅だ。

 かつてはレールの幅が狭いナローゲージの鉄道路線が日本全国にあったが、今やすっかり少なくなってしまった。だが、三重県内に近鉄線の北勢、内部(うつべ)、八王子の3線はナローゲージの路線だ。この3線はレールは幅は762mmとJR在来線などに比べ30cmも狭い。多くの軽便鉄道が廃止された中で、この3線は近代化を進め、現代まで生き残っている。だが、この中で北勢線は特に収支が悪く、廃止が囁かれるまでになっている()。

 改札を出て橋上の桑名駅から伸びる連絡通路を南に約1分歩きロータリーの端の方まで来ると、1面の小さなホームに間隔が狭いレールが寄り添うような北勢線の始発駅、西桑名駅が見えた。 間近にレールを眺めててみるとやはり狭い。JR在来線の狭軌と呼ばれるレール間隔に比べると約30cmも狭い。これに乗っかる車両もさぞ小さいのだろうと想像できる。

 駅舎のある有人駅で、小さな待合室は列車待ちの帰宅の乗客で賑わっている。列車が来るまで少々時間があり、改札口はまだ閉ざされている。

 列車が到着し下車客が全て改札を出ると、再び改札は閉ざされ、しばらくしたら北大社行きの改札が始まった。終点の阿下喜行きではなく、途中で止まってしまうが、北大社で下車して時間を潰そうと思い、改札を通る。

 3両編成で赤を主体にオレンジが入った2扉のかなり小さな車だ。全体的に小ぶりなのはもちろん、車内に入ると更に狭さを実感した。ロングシートは長い向かい合わせのベンチのようで、よく乗る列車のロングシートと比べ、正面の人の距離感が異様に近い。気をつけなければ、足を伸ばすと正面の人の足に当たってしまいそうだ。

 次々と乗客が増えて、各車両10人以上の乗客を乗せ西桑名駅を離れた。しばらくJR線、近鉄線の側を細々と走り、やがて急カーブしそれらの線を乗り越え最初の停車駅、馬道に着いた。ここで早速、西桑名行きの列車と交換する。

 桑名の通勤圏なのか住宅が比較的多い。車体幅が狭いため、向かいの車窓からの景色がより間近にあるような感じがする。時時、建物が車窓に拡大され、窓を開けると手が届きそうだと思ってしまう。

 普段はワンマン運転でバスのような運賃箱がある。だがこの列車には車掌が乗り込んでいる。駅に着く度、前方に進み乗車した客にきっぷを売っている。そうでない時は手を前に組み最後部に立っている。この車掌が背が高く、頭と天井の間隔が狭い。この車掌が巨人だと錯覚してしまうが、車高が低いのであり、車両が小さいのを強調している存在のようだ。だが、いつのまにかこの車掌がいなくなり完全なワンマン列車になった。

 先程からかなりゆっくり走っていて、加減速が激しい。カーブ手前で停車するのかと思うほどノロノロ運転になり、カーブを過ぎるとがくんと車体を揺らし速度を上げる。だけど速度が遅いので乗り心地が悪いと言うわけではない。狭い架線柱も可愛らしい。それらを次々とくぐりながら走る様もなんかユーモラスだ。

 車窓には畑が多くなっている。駅に着くたび乗客は減る一方で、安濃からは10人程度になり、最後部車両は私一人の貸しきり状態のまま終点の北大社に到着した。

 降り立ったホームは異様に幅が狭く細長い。西桑名駅行きのホームなのだが、ラッシュ時でも人が溢れかえると言う事はないのだろう。ここまでの10.3kmを途中の待ち合わせもあったが、約25分とかなりゆっくり走ったことになる。

 まだ時間があるのでとりあえず駅の外に出た。阿下喜方面に車庫が見えたので、時間つぶしに覗きに行く。自転車置き場の横を通ると、小ぶりな車庫が見えた。ほとんどの車両が出払っているようで数編成しかなかった。正門を入った所には安全塔という碑があり、その前には北勢線の車両の幅の狭い車輪が飾られていた。
西桑名駅の駅舎内

西桑名駅に北大社行き列車が入線
北勢線車両の狭い車内

車両が小さく、車内もこの通り狭い。
小さな駅に停車していく

こまめに小さな駅に停車して行く。
北大社駅に到着

終着の北大社駅に到着。ホームの幅が狭い。
北勢線の車庫、北大社車庫の安全塔

北大社車庫正門の碑。手前にはナローゲージ
の北勢線らしい、幅が狭くて小さな車輪が
置かれている。(門の外から撮影)

 現在、北勢線は近鉄の経営ではなく、三岐鉄道の経営となっています。


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