最果ての豪華ブル―トレイン〜北斗星まりも〜(1)


「まりも」の名称復活記念の特別列車
 JR北海道7月1日ダイヤ改正で札幌−釧路間の夜行特急の名称に、同区間の急行時代の名称だった「まりも」が復活したというニュースは私を驚かせ、かつてを懐かしませた。また夏期の一部の日は釧路−根室間は快速列車として延長運転される。そのニュースはすぐさま北海道に旅立つ決意をさせた。(急行まりもの思い出は当サイト内「道内夜行列車と急行まりもの思い出」をどうぞ。※別ウインドウで開きます。)

 しばらくして名称復活を記念して札幌発6/30、7/6、根室発7/1、7/6は何と北斗星の車両を含む「北斗星まりも」として運転される事を知った。おお!ちょうど私の旅行予定日初日の7/1にも運転されるじゃないかと思い、日ごろ記念列車などの騒々しさや雰囲気が好きでない私も、こればかりはぜひ乗りたいと思った。

 JR北海道釧路支社のHPで北斗星まりもの編成が掲載された。それによれば札幌方から、
【8】B(禁煙)、【7】B、【6】ロイヤル、デュエット、【5】ロイヤル、ソロ、【4】ロビー、【3】B(禁煙)、【2】指定席(禁煙)、【1】自由席(禁煙)とさすがに食堂車は含まれないが、それでもなかなか豪華な編成だ。また1、2号車は札幌-釧路間の連結で、釧路-根室間では下りは3号車、上りは8号車が自由席となる。

 乗るからには個室に乗りたい。だがロイヤルは運転区間が短く勿体無く思い、一人用B個室ソロを狙っていた。特別な列車で、しかも個室なので取れるかどうか心配だった。自分で1ヶ月前の10時にみどりの窓口に並ぶ一方、旅行会社に前金を払い予約をお願いしておいた。結果はみどりの窓口で見事7/1のソロをGET!あとは指折り乗車の日を待つだけだった。

(※)ロイヤル=一人用A個室寝台。デュエット=2人用B個室寝台。
ソロ=一人用B個室寝台、 B=個室でない2段B寝台。ロビー=ロビーカー。

最果ての駅に身を横たえる北斗星車両
 名古屋空港を朝に発ち、新千歳空港から南千歳、とかち3号、スーパーおおぞら5号、花咲線5637Dと乗り継ぎ18時43分に根室駅に着いた。13時間で最果ての駅に来れてしまうとは飛行機は有り難いものだ。ホームには花咲線全通80周年を祝う旗が屋根からずらりと吊り下げられている。昨日札幌を出た北斗星まりもの到着時には「寝台特急北斗星まりも到着式」が行われ、根室市長などが出席し、また鉄砲汁の無料サービスなどもあったという。「まりも」の札幌からの季節乗り入れを喜んでいるのと同時に、観光振興に対する意気込みを感じる。
 
北斗星まりも最後尾

19時40分過ぎに根室駅の側線に回送
され早くも姿を現した北斗星まりも。
 まだ出発まで時間があり鉄道ファンも少なくで落ち着いた雰囲気だ。ここに来るまでにも北斗星まりもの車両は見かけなかった。札幌から到着して、一旦釧路に回送され、再び根室に回送されて来るのだろう。駅前の有名なジャズ喫茶サテンドールで夕食を取りつつのんびりと北斗星まりもがやってくるのを待った。   

 19時半過ぎにサテンドールを出て、コンビニで買い物をして駅に向って歩いていると、駅舎の後方にゆっくり入線をして来る長い編成の列車が影のように浮かんでいた。もう北斗星まりもは根室駅にやって来たのだった。実際は駅のホームに入線したのではなく隣りの側線に留置されていたのだが、はっきりと金帯3本が入った北斗星の青い車体を見ることが出来た。

 まだ改札時間ではなかったので駅の柵の外から撮影していると駅員さんが「中で撮ればいいよ」とホームの中に入れてくれた。ロビーカーでは乗客を待ち侘びるように灯りが照っている。方向幕が表示される場所に「北斗星まりも」の方向幕風のシールが貼ってあり、特急の文字の左側にはしっかりと北斗星のエンブレムが入っている。

 最後尾に回ると北斗星まりものテールマークが表示されていて、阿寒富士がそびえ、その麓の阿寒湖にはまりもが生息し、星が瞬き月が浮かんでいるのが図案化された美しいマークだ。数日後に見た特急まりもとほぼ同じデザインだが、阿寒富士をバックに北斗星まりもと大きく書かれている、わずか4日間のためのスペシャルマークだ。駅からはみ出た駐車場からは先頭に立つDE15型ディーゼル機関車が見え、やはりテールマークと同じデザインの北斗星まりもの大きなヘッドマークが掲げられている。普段は1、2両の気動車が入線するだけの最果ての駅に威風堂々君臨する姿を目にし、旅への期待は益々高まる。

 しばらく北斗星まりもを眺め駅舎に入ると、ファンよりも地元の人で賑わっていて、楽しそうな北海道なまりの会話が飛び交う。その人数はどんどん増えていった。そして事務室から係員が出てきてそれらの人を取りまとめ始めた。どうやら根室駅が集めたツアーのようで、参加者はJR北海道の旅行部門の「ツインクル」のバッチを付けている。北斗星まりもに乗車し積丹方面に行くらしい。普通車指定席、B寝台、デュエットを利用するみたいで「あなたは個室です」などと係員が参加者に席の案内をしている。

 根室に20時23分に到着する5639D列車が北斗星まりもの回送のためか、少々遅れ到着すると、下車した20人程度のファンが改札口前に並んだ。自由席を利用するようだ。ファン、団体に混じり個人の乗客も10数人はいるようだ。駅内は北斗星まりもに乗車する多くの人で賑わっているが、ファンや特別列車特有の騒々しさは無く、意外と落ち着いた発車前の光景だ。昨日の札幌発が初日で、札幌発7/6、根室発7/7では7日にSL根室号が運転されるのでファン心理だとSLとセットでと考えそうで、今日が一番落ち着いた日なのかもしれない。

 直ぐに5693Dはホームを離れ、入れ替わるように北斗星まりもが入線してきた。ホームに対し編成が長く3、4号車はホーム後方にはみ出している。改札を出たところで北方領土の地図が描かれた紙袋を受け取り、出発まで数分しかないので急いで先頭に行き写真を撮り車内に飛び乗った。

 ようやく自分の部屋の一人用B個室ソロの5号車8号室に収まる。部屋の中の階段を上るとテーブルに北斗星まりも乗車記念の絵葉書と「本日はBGMが使えません」と書かれた紙とJR北海道の車内誌が置いてあった。翌日からの3夜はB寝台とはまなすのカーペットカーなので、今回の旅でこの時が唯一プライベートの空間を持つことになるので妙にほっとする。入線が出発ぎりぎりで、乗車などに手間取ったのか、6分遅れでゆっくりと根室駅を離れた。

 出発して直ぐに車内放送が始まる。一通りの車内放送に途中停車駅の落石、厚床では8号車が降り口になると案内している。釧路まで停車するたびに同じような放送が繰返されていた。根室-釧路間は快速列車として運転され、「北斗星まりも」「まりも」の運転日以外はほぼ同じ時間帯に快速ノサップが運転されており、その代役も務めている。何も知らない途中駅で待っている乗客がいきなり「北斗星」が入線するのを見にしたらさぞかし驚くだろう。

 しばらくして車掌が個室の鍵を配り始め、各部屋をノックしている音が段々と近づいてくるが、案内が丁寧なためかなかなか来ない。ようやく私の部屋にやって来て検札を済ませ北斗星の革のキーホルダーに付いた鍵を渡された。他の部屋と同様に今日はBGMが使えないのを謝ったり到着前に鍵を回収に来るなど丁寧に案内を済ませ隣りの個室に移った。

 検札後に貰った紙袋の中の物を出してみた。北方領土の小冊子、返還運動ネクタイピンとキーホルダー、など北方領土関連品のほか根室の観光ガイド、少量のとろろ昆布が入っていた。荷物になるが置いていくのも悪い気がする。観光ガイドは次回訪問の参考になりそうで、小冊子類は帰ってからじっくり読もうと紙袋にしまい鞄に入れた。 
ロビーカー

ロビーカーも連結されている。
北斗星まりもの方向幕風表示

方向幕表示位置に貼られた方向幕風表示。
他の道内特急の方向幕に準じている。根室-
釧路は快速なので「快速 釧路-根室間」
と下に小さく表示されている。
根室駅ホームに入線

根室駅に入線した北斗星まりも号。
DE15型ディーゼル機関車が先頭に立つ。
北斗星まりも乗車記念証

北斗星まりも乗車記念証。下部に
運転日、主要停車駅、時間等が
書かれる。はがき大の大きさ。
これは上りバージョンで、下りは
背景が青になる。

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