ある日旅先で…【国内鉄道旅行編】


特別補充券

この事件の時、高崎駅の新幹線
乗換口で発券された切符。
特別補充券と言うらしい。
れ…、列車が行ってしまった〜![1993,冬]
 吾妻線の終点大前駅の駅前温泉に入り、帰路の途中に高崎駅での乗換えがあった。乗車前に駅弁を買い、高崎駅始発の上野行き普通列車のボックスシートに陣取った。

 飲み物を買い忘れた事に気付き、列車から降り、ホーム上のキオスクで買っている時だった。「プシュ〜・・・・・」という音が背後から聞こえ、何と!私が乗るはずだった普通列車が高崎駅のホームを静かに去って行くではないか!置いてきぼりをくらった私はとても動転した。なぜなら、私の旅行バック、コート、買ったばかりの駅弁など、私の荷物一式が列車と共に行ってしまい、悪戯や盗難されてしまうのではと危惧があった。もちろん、時間には気をつけていたつもりだったが…。

 吾妻線の車内の乗換案内で、上越新幹線上野行き「とき」があるのを聞き流していた。動転ばかりもしていられず、新幹線で追い着こうと思い乗換口に走った。乗換え口の改札で事情を話したのだが、対応してくれる気配がなかった。財布だけが手元に残っていたのを幸いに、迷わずに熊谷までの新幹線の切符を買い、階段を駆け上がり、上りのとき号に飛び乗った。

 10数分で熊谷駅に着き、高崎線の上野行きホームに急いだ。私の荷物のある車両の辺りではらはらしながら列車を待ち、数本目でようやく目的の列車が来て私の荷物と再会した。すぐに私の荷物を確認したが、幸い何もされてなく、高崎発の時点と何ら変わりは無かった。この時間は上野駅が帰宅ラッシュで車両の編成も長く、私は後ろの車両だったので、その車両は余計乗客が少なく、幸いに放置状態だったのだろう。

 シートに座り、ようやく気持ちが落ち着てきて、夕食の駅弁を食べ始めた。この時ほど新幹線のありがたみを感じた事は無く、新幹線様様だった。

14系客車時代の急行まりも
14系客車時代の急行まりも

道内夜行列車と急行まりもの思い出
 札幌ー釧路を結ぶ特急おおぞらが7月1日から全車283系のスーパーおおぞらとなるというニュースが入ってきた。だが私を驚かせたニュースはそれではなく、夜行のおおぞら13、14号が使う車両は同じまま「まりも」というかつての名称に変わると言う事だった。183系気動車のままなので「スーパーおおぞら」ブランドを重視した結果か?それもあるが夜間は急ぐ必要が無いため283系を投入せず183系のままなののためか?とにかくおおぞら13、14号以前、夜行で同区間を走っていた急行の名称が特急にではあるが復活する事になった。

 まりもの名称が復活すると聞いて思い出したのが、ワイド周遊券がまだあった頃に夜行急行を宿代わりに車内に連泊して道内を旅した頃だ。私が北海道に通いだした頃、道内夜行は札幌を拠点に稚内に急行利尻、網走に急行大雪、釧路に急行まりも、函館に快速ミッドナイト、急行はまなす(終点は青森)が運転されていた。急行は当時14系客車で、はまなすを除く急行にはB寝台車も連結されていた(はまなすも途中から連結)。
ワイド周遊券(※)で北海道を旅した鉄道ファンなら道内夜行急行に思い出があるものだろう。有効日数をめいっぱい使い、宿代を浮かすため夜行急行の自由席に寝泊りしたということを。私もそんな一人で、座席で横になり丸まって寝たものだ。寝心地はもちろん良くなく、かなり無理な姿勢なため、数時間に1回は体の痛みを感じ目を覚ましていた。そして、朝6時過ぎに眠気を残しながらホームに降り立ったものだった。正確な記録は取ってないが、20回近く渡道し、鉄道で旅した場合、夜行列車に泊まった回数は50回を越え、その半分は夜行の自由席で過していると思われる。

 まりもは私にとっては少々利用しづらい列車でもあった。自由席がたいてい1両しかなく、席の確保に心配があり、シーズン中は増結されるとは言え、ワイド周遊券利用者でとても混み合うからだ。釧路では出発前まで改札口が開かなく、開いた途端、待ちかねた乗客(ワイド周遊券利用者が多い)が自由席車めがけて一斉にダッシュしていた。改札口から自由席まで意外と距離があり、私は前の方に並んでいても鈍足なため、次々と後ろの人に追い抜かれていた。それでも席にあぶれると言う事は無かったが…。

 まりもの気にいっていた点はドリームカーというグリーン車並みの普通車指定席があった事だった。ドリームカーは札幌−釧路間の夜行バス「スターライト」に対抗したもので、不要になったグリーン車のシートを利用し、リクライニング角度が深く、シート間隔も普通車の割には広い寝心地のいいシートで、当時、快速ミッドナイトと急行まりもにだけ設定されていた。急行料金、指定料合わせて1540円と乗り得で、夜に並ばなくていいので、のんびり過したい時によく指定券を買っていた。ゆとりの出来た夜は賑やかな札幌の夜の街をぶらぶらしたり、大通り公園で涼んでいたり、コインランドリーに洗濯に行ったりなどと、のんびり気ままに過していた。

 だが、大雪、利尻は気動車の間に14系B寝台車を挟むという変則的な編成に変わり、オホーツクは特急に格上げとなった。1993年のダイヤ改正では急行まりも廃止、特急おおぞら13、14号と特急になり、183系気動車+14系B寝台車という編成になった。ドリームカーは編成から外され、急行はまなすに転用され今でも活躍している。

 廃止から8年、まりもの名称復活のニュースを聞いた。車両はおおぞら13、14号と同じで特急という、かつての姿とは違うけど、懐かしい思い出が蘇えった。早速、旅行計画を思案し、特別に運転される「北斗星まりも」と183系の通常の特急まりもに乗りに行く事に決めた。

(※)ワイド周遊券
決められたエリア内ではJRの列車、バスに自由に乗れ、特急、急行の自由席にも追加料金無しで乗れる。出発地からエリアまでの往復の乗車券も含まれる(急行利用可)。出発地からの距離、エリアの広さにより最大20日有効(その後14日に短縮)。鉄道旅行に便利な切符だったが、1998年3月に廃止。周遊きっぷへと大幅にリニューアルされた。
急行まりもチケット

 急行まりものチケット。レディースシートの場合は列車名の部分が「まりもレディー号」と表記されていた。

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