最果ての豪華ブルートレイン〜北斗星まりも〜(2)


一人用B個室寝台ソロの室内

1人用B個室寝台ソロの室内。ソロは
2階建て構造で、写真の部屋は2階部分。
やや狭いが、プライバシーを保て快適。
北斗七星の下を走り
 車掌さんの検札が終わって暫くした頃に、ロビーカーでオレンジカードの販売が始まると言うアナウンスがあり、早速4号車のロビーカーへ向った。ロビーカーの扉を開けると既に人でいっぱいだった。ただロビーカーでくつろぐ乗客ではなく、自由席利用者と思しき人ががこちらを選んでいたり、根室駅のツアーの釧路から連結される指定席の利用者が暫定的にこちらにいると言った感じでゆったりした雰囲気とはほど遠く異様な澱み方をしている。

 そんなロビーカーの隅の小さなカウンターに車掌さんがいてオレンジカードを売っている。あまり繁盛してないようで先客が1人いるだけだった。期待していたのは北斗星まりもの運転記念の類のカードだったが、一切無かった。オレンジカードの販売に熱心なJR北海道だからあるだろうと期待していたのに残念だ。2枚のオレンジカードを買い、北斗星乗車記念カードを貰った。

 部屋に戻り飲み物が欲しくなりロビーカーまで買いに行って戻ってきた時、検札時の車掌さんに会った。車掌さんは私がロビーカーに座れる場所が無く戻ってきたと思い「場所を空けますので」といって親切に勧めてくれるが、ソロは狭いが人目を気にせずくつろげるのでこちらもまた快適なので、お礼を言って部屋に入った。

 出発から30分ほど動きまわったりしていたが、やっと個室でジュースを飲みながらのんびりとし始めた。個室の灯りが窓に反射すると夜の車窓は見づらく、スイッチを全てオフにし、階段の足元灯は鞄で塞ぎ室内を真っ暗にする。根室に行く時通ったエゾ鹿が闊歩する原野はすでに夜の闇に覆われ、列車は木々や草が影のように浮かび上がる中を延々と走る。たまに沿う道路はもう車は少なく、時々駅のある集落を通過する時だけいくらか車窓が明るくなる。それでも直ぐにまた闇の原野がを走る。

 窓は車体の天井に合わせカーブし天窓の趣きがある。多少ガラスの反射は残るが、夜空には都会とは比べのもにならない数の星が瞬く。その中で北斗七星は特に目立つ。時には前方に消えそうになったり、後方に現れたりしながら列車と一定の距離を保つ。しばらくベットに寝転がりながら星を見上げていた。

 約2時間20分走り、定刻の23時3分より確か数分遅れて釧路に到着した。この駅では機関車の付け替えと、最後尾に座席車の1、2号車を連結するためダイヤ通りだと25分停車する。その様子を見るため外に出たらいきなり肌寒さを感じる。釧路はこの時期でも最低気温は10℃前半だ。ホーム上には黄色いヘルメットを被った作業員と、その他の7、8人の駅員がホーム上に控えている。滅多に入線しない車両の連結作業だけに面倒なことがいろいろあるのかもしれない。ドラえもんのイラストが目立つ14系客車2両が推進運転で接近してきて連結作業が始まった。北斗星車両とドラえもんの登場人物が書かれた車両が手を取り合い共に走るのはなんとなく珍妙な光景に思える。後ろをよく見たらこの2両を推進してきたのは、開放されたばかりのDE15でヘッドマークもつけられたままだ。自由席車停車位置に立ち乗車を待つ人は意外に少なく満員ではなさそうだ。

 作業中はドアが閉められ車内に戻れないので手持ち無沙汰に先頭車まで行ってみたら、先頭はED15に代わり、北斗星色のDD51ディーゼル機関車に付け替えられていた。

 作業が終りようやく車内に戻れ、予定より数分遅れ釧路駅を離れ札幌に向け出発した。車掌さんの「お急ぎの所ご迷惑をおかけしております」という放送が流れる。この程度の遅れなら直ぐ取り戻せそうだ。このまま星空と風景を眺めていたいが、明日以降の旅に響くので浴衣に着替え寝る準備をした。今日の寝酒は小瓶の梅酒だ。風景を眺めながら梅酒を口にし寝床に入った。なんか寝れないなと思いつつも、カタンコトンと心地よいジョイントが少しずつ眠気を誘い、いつのまにか記憶が途切れていた。

早朝の光景
 目が覚めたら4時前で外はもうすっかり明るくなっている。もう占冠辺りは過ぎた頃だろうか?中途半端な時間なのでこのまま起きてボーっと車窓を眺めていた。人里離れた山の中を行く石勝線らしく鬱蒼とした山林とトンネル、シェルターが交互に続く。途中の信号所で停車し、貨物列車に道を譲る。外を見てると信号所のホームにファンいるのが見えた。続いて「楓」という駅名票と次に駅舎が後方に飛んだ。一瞬だが、数日後に訪れる予定の楓駅を注視した。しかしこんな時間にこんな辺鄙な所にくるファンもいるものだなと関心する。人の事は言えないが。

 気分転換に昨晩くつろぎそびれたロビーカーに足を運んだ。途中駅から乗ってきた20代の男女数人がソファーの上に気持ちよさそうに寝そべっていた。でも回転椅子は空いていたので自動販売機で買った大清水コーヒーを飲みながら、大きな窓からの風景を楽しんだ。鬱蒼とした山林を抜け人里に戻り、牧場や畑が見えてきた。早起きの牛は列車が通過するのを気にもせずのんびりと牧草を食べている。目の前に北斗星まりもの乗車記念証が何枚か放置されていた。非鉄道ファンも意外と乗っていて、その様な人は記念証を貰ったものの興味がないのだろう。ラッキーと思い1枚貰った。

 5時8分に南千歳に到着し、ロビーカーで寝ていた数人を始め十人程度の下車があった。下車準備のため部屋に戻った。折角ソロなど北斗星車両に乗っているのにあと40分もすれば札幌に着いてしまう。

 だが、残りの40分は短かった。札幌のベッドタウンの街を抜け、新札幌に停まり少し走ると、5時50分にもう終点の札幌駅に到着した。道内夜行列車に乗ると、終点で降りる時、朝早いからもう少し乗っていたいと思う事はよくある。だが今回はそれに加え快適な個室寝台ソロでもう少しのんびりしたいと思い、こんなに朝早く降りてしまうのがとても惜しい。最後にホームの先端に行き、他のファンに混じり写真撮影した。

 北海道によく足を運んでも、そういえばもう何年も北斗星に乗ってない。この車両の本業の、上野ー札幌間の寝台特急北斗星に久しぶりに乗りたくなった。
[2001,7月乗車]
釧路で座席車2両を連結

釧路で最後尾に座席車2両を連結。
寝酒

今宵の寝酒は梅酒で…。
早朝のロビーカー

ロビーカーのソファーで夢心地の乗客も・・・
ロビーカーの車窓

ロビーカーの大きな窓の外に早朝の
牧場の風景が広がる。
北斗星まりも、札幌駅に到着

早朝の札幌駅5番ホームに到着した
北斗星まりも。釧路からは
北斗星カラーのDD51が先頭に立つ。

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