第4章 雪国
 この「群馬総社以降はドアが自動で開かない事件」以降本格的な田舎に突入していった。(まあ、群馬総社からその兆しは見えていたのですが。)利根川の川幅がだんだん細くなり、河岸段丘などという地理用語を久々に聞いた。前橋付近の内陸性気候から、日本海岸性気候の雪景色へと、様相を変えてきた。トンネルを抜けないけれども雪国であった。(水上のもう少し向こうにはトンネルがあって本物の雪国の舞台がある。(多分越後湯沢。)「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」の国境とは群馬県と新潟県の県境なのである。)この日、雪のため水上以北は列車が運休していた。前橋から1時間もしないのにこうも景観が様変わりする物なのかと言う感じであった。高崎に着くまで「青い空にぷかぷか浮かぶ雲、ひたすら広がる田畑、遠くの山並」という単調な車窓の情景が2時間も続いたのとは大違いだ。
水上周辺は積雪量50センチ以上の豪雪地帯であった。(元群馬県民でありながら水上に来るのは実は初めてであった。因みに同じ群馬の草津には、昨年のゼミ合宿で行ったのが初めてであった。更に伊香保温泉や磯部温泉(共に前橋周辺)にも行ったことがない。)駅から目的の公営の温泉まではバスで15分位、徒歩で45分位であった。僕達は群馬を舐めきっていたので、学校に行くような感覚で、豪雪地帯にいながら普通の靴、普通の格好で来た。(茶道部の人達はいつもこうなのである。)当然徒歩を断念し、バスで行く事にした。しかしバスは20分待ちであった。(やはり。)
 しかし雪が珍しかった僕達は、降り積もった雪を目の前にしてハイテンションになっていたので、駅周辺を散策した。そこで目を付けたのが巨大な氷柱である。(今までの自分史の中で最高に長い。中には数メートルもある物まであった。)ここはワイルドにこの巨大氷柱を折り、それを食いちぎる勇姿をマサルさんと記念撮影した。(←馬鹿だ。)


バスの運転手さんの帽子を勝手にかぶる。
右肘辺りに写るものが何かお判りだろうか?
ダッシュボードが付いている乗合バスは初めて見た。

20分経ちバスで目的地へと向かうことになった。雪国の道路は、雪が固まって氷になる危険を防ぐために、道路中央から水が吹き出ていた。そのような雪国事情に疎い(僕も知らなかったのですが)、南国松山育ちのおかわんさんは、果敢にも道の真ん中を闊歩し、愚かにも靴をびしょ濡れにしてしまった。そしてその靴は東京に帰ってくるまで乾く事はなかった。   

 


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