第5章 唐辛子の悲劇

ホテルに歩いていく途中、酒屋に立ち寄って酒類を買い漁った。その酒を以て飲み会をした。初めは田辺さんの買ってくれた湯葉の刺身を食べたりして平和を謳歌していたのだが、浅草で買った唐辛子煎餅を誰かが何処から途も無く導入した。導入する奴は一人しかいない。そして罰ゲーム付き大花札大会が始まった。(通常の花札は3人であるが、藤本のマイ花札と部室の花札を混ぜ、無理矢理9人で行ったのである。アタマを使う必要のない運次第の勝負であった。そして運のない連中はどんな勝負でも大差ないのである。
初めは罰ゲームとして、唐辛子煎餅一欠片であったが、次第にそれでは満足出来なくなり、唐辛子煎餅をパウダー状にした物一気飲みになり、最終的には一袋を全部パウダー状にして一気飲みになった。(もうどうにも止まらない。)大抵の場合、レベルアップの言い出しっぺが被害を被るのである。
この罰ゲームのエスカレーションは最近よく有るのでとても困惑している。一度発展と言う歯車が回転を始めてしまった文明の為、もう以前の水準に世界を戻せなくなってしまった様に、罰ゲームの過激さは留まる事を知らない。TMRの西川貴教が、
「欲望もレベル上げればちょっとやそっとじゃ満たせなくなるよ。」
と言っていたが、これは正に、
「罰ゲームもレベル上げればちょっとやそっとじゃ満たせなくなるよ。」
と言った所か。
因みに最後に負けたのが僕であるからこの様な思惟に至ったのである。この痛恨の一撃で、口は辛く胃の中は熱いと言う、内憂外患交々至ると言った状態であった。しかし遠藤もほぼ同じパウダー地獄を経験した。(このパウダー地獄を経験すると行き場を失った怒りが鬱積し、マジで誰かを苛めたくなるのである。)他の人も結構苦しんでいた。正木さんは本当に泣いていた。(←アホだ。)藤本は吐いていた。(←男子部屋のトイレでオエオエしないで欲しい。)唐辛子煎餅の後は、藤本が持参した日本酒一気が罰ゲームのUNOが行われた。当然のように、菊池・正木の両名は参加していない。こうして夜は更けて行くのであった。
夜も遅くなったので陽子さんと藤本が女子部屋に帰ろうとすると、正木さんは鍵を締めて寝ていた。それは別に構わないのだが、部屋のキーは自分が持っていたのである。締め出された2人は男子部屋から電話を掛けたのだが、正木さんはなかなか起きようとしなかった。隣の男子部屋まで電話の呼び出し音が聞こえるほど五月蝿いのに起きないのである。迷惑極まりない話だ。

 

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著作:あむみ  st53189@srv.cc.hit-u.ac.jp(99年4月30日まで)
構成:おかわん okada@virgo.higashi.hit-u.ac.jp