あれやこれや

2010年02月07日
間奏曲を聴かせる工夫(カルメン17)


徘徊中に叱られたので待合室に戻ると別のおねえさんが待っていました.飲み物サ
ービスがあるんだそうです.意地悪したお詫びという訳ではなさそう.でも,サービス
とは言いながら料金の内であることは見え見え.モモママはダージリン紅茶,私はオ
レンジジュースを頼みました.本音は“こんなサービスは要らないから500円安くし
ろ”.この時点では20人位の座席のあるゆったりした待合室に我々の他に客は一
人.ちょっと変なおじさんでしたが,後でその変ぶりに触れるかも知れません.開演
近くなればもっと集まってくるのでしょう.

おねえさんが来て“お待たせいたしました,会場の準備が整いましたので・・・”とのこ
と.待ってましたとばかり,急ぐ必要もないのに席に急ぎました.座席は二人ずつセ
パレートされ,二人用のソファーと二つのオットマン(足置き台).それに左右に棚が
あり,斜めに寝ころんだり勝手気ままに行儀悪く座れます.あと腰当てクッションと膝
掛け毛布も用意されていましたが私にはただの邪魔物でした.座席のセパレートは
十分で立ち上がらなければ隣や前の席で何をしているかは分かりません.安心して
持参のお弁当をオペラ鑑賞しながら食べられるというものです.ま,環境の説明はく
どくど書いても仕方ありませんのでこの辺で.あ,もう一つ.大スクリーンをやや見下
ろす角度になるため実に楽に見ることが出来ました.長時間なのでこれは大きいか
も知れません.

ネットビューイングでの最大の気懸かりは音響.今回が3回目ですが前の2回は1勝1
敗.また大迫力大音響でガンガンやられたら堪らないなぁと思っていたのです.今回
はまともでした.これで2勝1敗.やや大きめではありましたが,ホフマン物語の時と
違って歪むようなことはありませんでした.音響係の人が拙ページを見て反省したの
でしょう.流石にこれだけの劇場ともなると立派な再生設備が入っているものと見え
て生演奏を思わせる音でした.目をつぶって,オーケストラピットがスクリーンの前に
あり,その向こうの舞台で歌手達が頑張って歌っている姿を想像しながら聞いてみ
ると,全く違和感を感じませんでした.

演目はカルメン.カルメンは手持ち録画も劇場での鑑賞経験も最も多く20くらいのプ
ロダクションを見たことがあると思いますが,流石にどれをとっても満足でないことは
ありませんでした.毎回終わる度に,今回のが一番良かったと思える程です.それ
だけ作品の出来が良いんですね.しかも今回は奇を衒わない安心できる演出のメト
ロポリタン歌劇場(MET).これでも文句を言う評論家はいるんでしょうね.何をけな
すのか興味深いことです.

カルメンは全ての幕前に前奏曲と間奏曲があります.いずれも傑作揃いの贅沢なモ
ノ.だからじっくりと聞きたいのは人情ですが,オペラを劇だととらえ,唯の開幕案内
のブザーの代用と考える人もいるらしく,結構ザワザワしていることもあるのです
(2007.12.3 今だ! ゴホンゴホン).そこでMETの演出者は考えました.そして編み
出した手法は展開を予感させるバレエを見せるというもの.この作戦は見事でした.
私はバレエには興味がありませんが,安心して間奏曲を聴ける演出は大歓迎です.

続く.






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