
あれやこれや
高校,大学時代に住んでいた千葉県市川市の家には物置の上に物干し台がありま
した.そして弟のロン(スタンダードダックス)は物干し台が大好き.母が洗濯物を干
す時には必ずついて上り,手すりの柵の間からあたりを睥睨していたものです.ここ
までは構わないのですが,その後が大変.ロンを下ろすのを忘れていると,いつまで
も物置の上で泣いている“チューチュー(降りたいよぉ〜)”.自分ではなかなか下り
られないのです.階段を上るのは得意なのですが,下りるのは苦手.階段のピッチ
が胴の長さと合わない.階段を縦には降りられない.だからどうしても降りたい時
は,一段ずつ決めて行かねばなりません.つまり,前足だけ下の段に下ろす.この
動作は結構勇気がいるらしく躊躇の上やっと一段下りる.次に後ろ足を2本ともその
同じ段に下ろす.前足が下りた後なので,これは簡単.で,一旦階段と直角の向き
につまり一つの段に横向きに体勢を落ち着かせたら,躊躇の末,また前足から下の
段に下りる,という非効率的な下り方しかできないのです.こんなまどろっこしいこと
をするよりは泣いていればいつか誰か気がついて下ろしてくれる.かつては直滑降
も試みたことはあるのですが,“がたがた,どたどた”という音と共に階段を滑り落ち
てしたたかに何処かを打ったらしい.それ以来自分では余程のことがない限り一段
一段方式でさえも使わなくなってしまったのでした.その後,神奈川県鎌倉市の2階
屋に転居しましたが,同じ理由でひとたび2階に上がると1階へは戻れないという情
けなくも面倒くさい犬に成り果てていました.
さてここからは時を隔てて桃話.当家はマンションなので階段はありません.それに
桃はミニダックスなので仮にあったとしても直滑降で下りられそう.事実,若い頃は
散歩などで公園の階段のあるところを駆け上がったり駆け下りたりしていました(証
拠写真).

桃が若い頃階段を駆け下りた証拠写真(?)
だから一応普通の階段なら大丈夫.でも,桃もロンと同様甘えん坊という点では同
じ.いすに腰掛けていれば膝に乗りたくて手を掛けてじっとこちらの目を見てジーッ
と・・・.無視しているとすぐに“チューチュー(お願い)”と切なそうな声を出します.要
は何としても膝に乗ってくるのです.仕方がないので手で支えてやりますが,作業中
などで手が使えない時は隣に同じ高さのいすを置いて乗せてやれば顎を私の膝に
乗せる程度でも何とか落ち着きます.落ち着けば早速居眠り.問題なのはその後.
桃にとってのいすの高さは物干し台ほどではないにしても飛び降りられる高さではあ
りません.席を立つ時はせっかく寝ている桃を起こすのは可愛そう.出来ればそっと
しておいてやりたいのですが,後で面倒なことになることは必定.そこで良いものを
見つけました.犬用スロープ.これなら階段ではありませんしきっとうまく使えるは
ず.
“これ桃ちゃんに買ってきてやったよ”と見せたとたん犬用スロープは巨大ぬいぐる
みと化してしまいました.なかなか思うようにはならないものです.

縫いぐるみだと思っている こういうスロープ(右上がイス)
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