あれやこれや

2010年10月10日
テーマは遺産相続


超格安のチケットが手に入ったので明日,急遽キエフオペラのカルメンに行きます.
そこで今日はCS放送から先日録画した,ロイヤルオペラハウスのアントナッチ,カウ
フマン主演のカルメンDVDで予習.これは,中々凝った演出で楽しめました(だか
ら,予習にはなりませんでした).

今までも気にはなっていたのですが,宿営地でカルメンの友人フラスキータとメルセ
デスが歌うトランプ占いの歌.占いの結果は,一人が大親分と結婚して左ウチワと
言えばもう一人は大金持ちの年寄りと結婚して先立たれ,遺産が転がり込むという
絵に描いたようなサクセスストーリー.そういえば何だったか思い出せませんが,他
のオペラの題材でもそっくりなシツエーションがあったような.大金持ちの年寄りと結
婚し先立たれる.労せずして大金を手に入れる.ありがちではありますが,その分
かりやすい手段がこの部分.人類共通の夢なのでしょうか.ま,我々には縁の無い
話だから身につまされずに見てられて面白いのか.いずれにしても遺産相続関係が
テーマあるいは伏線になっているオペラ(オペレッタ)は沢山あります.

遺産をめぐるドタバタ喜劇は何と言っても“メリーウィドゥ”とプッチーニの唯一の喜劇
(私は唯一の傑作だと思っている)“ジャンニ・スキッキ”.それに名作“ばらの騎士”
だって財産目当てのオックス男爵が助平親父だったので一攫千金を棒に振る喜劇
だし,“愛の妙薬”は金持ちの叔父さんが亡くなって遺産が転がり込むという噂が重
要な伏線ですね.この噂を知らない主人公が急にもてだしたのは惚れ薬のせいだと
勘違いするのがこのお話の面白さ.

遺産相続というと何かジメジメしたものを感じそうですが,これらは何れも実にさわや
かな後味.本当の悪人や切った張ったが無いからなんでしょうね.逆に切った張っ
たが無くこれほどの作品に仕上げられているところが名作の所以なのでしょう.

なお,今週はカルメンの他,週末には新国立劇場でのフィガロの結婚があります.
私にとって週に2作品は新記録.そういえばフィガロの結婚もさほどの悪人が出ない
楽しい作品です.やはり生活費を切り詰めた代償なのですから思いっきり楽しまなく
てはね.クソ悲劇は嫌いです.






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