
あれやこれや
先週,ヴェルディの“運命の力”という傑作ではありますが,序曲以外は知名度の比
較的低いオペラを観て(聴いて)きました.また優に10回くらいのシリーズものがで
きる種はあるのですが,アイーダシリーズが続いた時は“アイーダは飽きたからそろ
そろ他の話題を”とお叱りを受けてしまいましたので今回はじっと我慢して今回だ
け.
久しぶりに国産のオーケストラを聴きました.前から感じていたのですが,国産オケ
は金管が下手.それも弦や木管とアンバランスなほど格差がありました.ド素人がこ
う言ってはナンですが,このことに触れることはタブーなのかなと思っていた程です.
先日筋金入りのクラシックファンであるHさんに会ったので,そのことをちょっと聞い
てみました.彼によると金管が下手なのは,日本人の骨格から来る歴史的なものな
んだそうです.私は金管部門は,特に文句を言われないので湯水につかっている怠
け者ばかりと思っていましたが,私で分かる位なのでその筋の人はみんな知ってい
たんですね.
さて今回の観想.東京交響楽団はうまい.弦の響きも絶妙,木管はもとより肝心の
金管の音も実に美しい.先ほどのHさんによると,最近の国内の金管は一頃と比べ
られないほど腕を上げているとのことですが,そのことがよく分かりました.偏見は
捨てましょう.
面白かったのは,マイナーなオペラなので流れを知らない客が多かったせいか,曲
の途中で未だ終わっていないにも関わらず静かになったところで真っ先にパチパチ
やって恥をかいた奴がいました.他にも何回かタイミングの悪い拍手がありました.
もちろん,私は何度も全局を通して聞いて予習は万全の状態で臨んでいますので,
そんなみっともないことはしません.
さて今日のテーマは拍手.クラシックのコンサートでは拍手どころの習慣があり,交
響曲などは楽章の間では拍手はしません.また独奏や独唱の場合もいかに感動し
ようとも伴奏の余韻が消えるまでは拍手はしないものです.この静寂が何ともいえず
心地良いものなんです.ところがオペラだけは例外.話の筋よりも歌手の声を聞くこ
とだけ(オーケストラはそっちのけ)に重点があるイタリアオペラの影響か,有名なア
リアなどが歌い終わった瞬間にワーッと拍手が来ます.感情をコントロールできない
軽薄な感じで私は好きではないのですが,習慣ですので仕方ありません.でも,コレ
を知ったかぶりでやられると今回のようなみっともないことになります.先ほど恥をか
いたと書いた奴は私の2,3人右側にいた人で,どのアリアにも真っ先に拍手を始め
ていました.よほど顕示性の強い人なんでしょう.
なお,評論家のようなことは言いたくありませんが,今回の目玉は主人公の一人で
外国から招いた女性歌手.確かに立派な歌を歌う人ですが,なぜか歌い出しが変な
ことが何回か.特に始めの頃は自分が本格的な音痴であることを忘れて“この人音
痴じゃないの?”と思った程でした.そんなはずはありませんので,別のことを考えて
回りの音を聞いていなかったのかも知れません.もちろん評論家が彼女のことを何
と言っているか知りませんが,ネームバリューに気圧されて絶賛していることでしょ
う.こんな一瞬の細かいことなど気にする人なんていないんでしょうね.
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