あれやこれや

2007年05月20日
掏り口(?)は左側(江ノ電5)


昔から当家でしばしば話題になる言葉です.“掏り口(すりぐち)”? 何のことなので
しょう.多分“降り口”と言っているつもりではないかと思います.そういう結論になり
ました.で,そのつもりで聞いてみてもやはり“すりぐち”に聞こえてしまいます.ひょ
っとしたら車掌を教育する係の人が“降り口”という字をすりぐちと読むものだと思い
こんでいるのかも知れません.

藤沢行きが稲村ヶ崎駅を出て半路面電車状態から立派な独立軌道に入ったあた
り.パッと眺望が開けます.それまでは民家の間から見え隠れしていた海を遮る物
が無くなり目の前に七里ヶ浜の広い海岸際に出るのです.一瞬にして世界が変わっ
た感じ.江ノ島,晴れている日は大島も見えます.夏は水着のお姉さん,その他の
季節は真っ黒なサーファー.数々のヨット.運が良いと帆を一杯に拡げた日本丸さえ
見られることがあります.そんな時,通い慣れた私でも思わず歌いたくなるもので
す.“しぃ〜ちりがはまのぉ〜いそづたい〜・・・・”.それは本能から来るもの.その
証拠に昼間の通勤時間帯ではない,観光客の居る時間帯にここを通りかかる時は
全乗客の内には1人か2人くらいは歌い出す人が本当に居るのです.

そこで水を差すのが,無粋な車掌の“次は七里ヶ浜〜,七里ヶ浜〜,スリグチは左
側でぇ〜す”.

ちょっと話が外れますが,ここで前に書いた“我は地の神アトラス(2007.5.11)”の補
足をさせて下さい.これは独りよがりのタイトルでした.これだけで何のことだか解る
人は滅多には居ませんよね.今はもっぱらオペラですが,昔はドイツリートばかり聴
いていた時期がありました.そういうわけで仏頂面をしている気の毒な人を見た時に
白鳥の歌の第8曲“アトラス”を思い出してしまいました.一種の条件反射です.で,
つい“アトラス”のことを書いてしまいましたが,少しだけ解説が必要でしたね.

シューベルトの“白鳥の歌”という感傷的な歌曲集も私が多感なわぁがまま少年(わ
ぁがままおじさんになる前がわぁがままお兄さんで更にその前)のころ大好きな曲集
で何度となく聞いていました.勿論,私は評論家でもシューベルト研究家でもありま
せんので解説なんておこがましいことはしません(出来ません)が,故.實吉晴夫さん
という方の素晴らしい解説があるのでリンクしておきます.短いのでちょっとクリック
して是非読んでみて下さい.大地を支えるアトラスの,詩人の,シューベルトの,多感
なわぁがまま少年の,そして座席を奪われた気の毒なおじさんの気持ちの一端を理
解していただけるものと思います.





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