
あれやこれや
一昨日の続き.横転び第2話です.
学生時代の春休み,“そうだ,広い海岸を走らせてやろう”.テレビなどではありがち
のシーンです.江ノ島が間近に見える七里ヶ浜の広い海岸で犬を自由に走らせる.
でも,多分そういう時の犬はレトリバーかジャーマンシェパード.ダックスは余程の訳
ありでなければ使わないはずです.分かりますね.
ボコボコの砂浜をあの低い姿勢で走れば,いや,走らなくても海岸に出るだけで,風
に吹かれて飛んで来た砂粒が目に入ってしまいます.走るどころではありません.で
も,折角連れてきたのだから諦めて帰るのは不愉快.波打ち際近くの砂が多少濡
れている所まで連れて行って放してやりました.この辺なら砂浜は平らだし飛び散る
こともない.
その日は穏やかで,ひたひたと寄せる小さい波だけ.朝なので観光客も来ていな
い.最高のコンディションです.でも波というのはそれほど安定しているものではあり
ません.時には驚くほど大きい波もあって,砂浜深くまで海水が来ることがあります.
波が来るのはこの辺までと多寡をくくっている時にこそ,そういうわぁがままな波が押
し寄せて来るのです.事前に大波に気が付けば,慌てて逃げることも出来ます.で
も,ロンにとって,波の大きさが色々変わることは未だ学習前.幾ら賢くても知識が
なければカオスの法則など知る由もありません.ご想像通りの事態が発生しました.
私もロンも安心している時(の数時間前)に太平洋の真ん中で気まぐれにジャンプし
たマッコウクジラが着水して,この時のとてつもない巨大な波の生き残りが七里ヶ浜
海岸にようやく訪れたとところだったのです.ギョッとしてももう遅い.私も膝から下を
濡らしてしまいましたが,ロンはそれどころではありません.相手が波では車のよう
にうまくはいきません.その波のつまり海水が押し寄せる所でゴロンと横転びしても
車よりたちの悪い波は止まってはくれなかったのです.ダックスフントの塩漬けが出
来上がったという次第.もっとも,背の低いロンですので転ばなくても同じ結果だった
でしょう.それ以来波打ち際もロンにとっては鬼門の一つとなったのでした.苦手番
付に追加です.“獣医,ヘビ缶,地震,泥棒,波打ち際”(2006.5.11 犬にもプライド
が).
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