
あれやこれや
今年こそはと思いつつ毎年実現できず,また今年もそろそろ夏が来て・・・.そう,お
化け屋敷のシーズン.今年こそはお化け屋敷に行くぞ.お化け屋敷にまつわる,心
の中の大きな傷を癒すために.←余りに大袈裟な.
大体,今時お化け屋敷なんてクラシックな出し物はあるのでしょうか? 遊園地にわ
ざわざ行くことがないので存在すら分かりません.それにあんな子供だましに引っ掛
かる子供が居るとも思えません.まあ,本気で怖がるのはラドンを見て怖がるクラ
ス,小学校の低学年くらいでしょう(2006.7.6 地底での恐怖).ちょっと考えれば人工
の囲いの中だけにお化けが出るなんてことある訳ないことくらい分かりますよね.中
学生になってこんなことが理解できないのは余程知能が低い証拠.威張る訳ではあ
りませんが,私は多少の問題はあってもそれほど低能ではありませんでしたので,
お化け屋敷は作り物だってことは十分過ぎる程理解していました.糸で吊ったコンニ
ャクや人造火の玉が飛び交い,井戸からは人形のお化けが飛び出し・・・,たまには
アルバイトのお兄さんが中に入った多少リアルなものも.余談ですが,お化けの仕
組みが知りたければ,R.シュトラウスの“バラの騎士”をご覧下さい.人は良いが助
平爺のオックス男爵がお化け屋敷でからかわれるという場面があります.話は戻り
ます.
この年の夏も福島市の中心部にある広場に恒例のお化け屋敷が立ちました.前庭
には,血まみれのお菊がおどろおどろしく井戸から身を出しています.前庭脇の通
路を通って右側の狭い入口から中に入ると,真っ暗な世界(多分).そこは魑魅魍魎
が跋扈する我々の知っている世界とは違う世界なのです(多分).中からは悲鳴が.
おそらく身の毛もよだつ惨劇が繰り広げられているのに違いありません(多分).そん
なことが分かっていながら自ら中に入って行くのは何も考えない人.まして入場料を
払って入るなんてものを考える人のやることではありません.私にはお化け屋敷に
入る人の気持ちを理解できません.事実,分別盛りの中学生である私は,入場料を
払ったにもかかわらず,意味無く危険に身をさらす愚に気付き,その入口から中に
入る寸前でグッと踏みとどまったのでした.係の人に聞いたところに依ると,入口か
ら出てきたのは私一人だったそうです.入口から出ようとする私に何度も何度も“大
丈夫ですよ”と言ってくれたのですが,その甘い言葉には裏がある.中からの絶叫を
聞いた以上,私の理性が中に入ることを許しません.私は意志を曲げず,しかも外
で入場待ちの人達の嘲笑もモノともせず,堂々と入口から帰ることに成功しました.
でも,入場料は返してくれませんでした.
夏が来る度に思い出すのです.“あー,あの時入れば良かった”と.今年こそは,お
化け屋敷に入ってやるぞ!!
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