
あれやこれや
どんな話でも聞き手あっての話というもの.聞き手がどんな人か,また聞き手の心理
状態を知らずしてまともに話を伝えることは至難の業.これを誤ると根に持たれてし
まいます.私自身,持ったことも持たせたことも何度もあります.そのいくつかはこの
ページでも既に紹介済みです(2006.10.24 言葉は難しい).
嘘はルール違反ですが余りに本当のことも言ってはいけない場合がありますよね.
面と向かっている場合でさえ言葉というものは難しいのですが,テレビなど聴き手が
不特定多数ならもっと難しい.昔,自動車のCMに“いつかはクラウン”というキャッチ
コピーがありました.プロが考え,多数の人のチェック済のこのコピーは,ハッキリ言
って素晴らしい.クラウンという高級車の良さを最前面に押し出し,既に所有してい
る人の自尊心をくすぐります.しかしながら,これは売る側だけの論理でした.この
車のメーカーの社員は皆高給取りで,このコピーに違和感など感じなかったのでしょ
うが,世の中の9割の人は気楽に買える車ではありません.少なくとも私は庶民(≒
貧乏人)なので(他にも大きな理由がありますが)買いたいとは思いません.不快感
以外の何物でもないこのコマーシャルを見た,つまり“お前は貧乏だからクラウンは
買えまいと”言われた9割の人は“いつになってもクラウンだけは買うまい”と心に誓
ったに違いありません.確かに気の利いたこのCMは効果の点だけから言うと間違
いなく逆効果.売れ行き低下に貢献したことは間違い有りません.なお,タイトルとは
関係ないことですが,資源の無駄遣いを助長する自動車メーカーのCMにはこれに
限らず常に不快感を感じてしまいます.
次も,似たような話です.家庭にビデオデッキなるものが普及して,未だ持っていな
い家庭は少数派になりつつある時代,つまり30年近い昔話です.私の姿形が正しく
貧困階級であることを証明していたらしく,たまたま(不本意ながら)通りかかったス
ーパーDの電気売り場で店員さんに声を掛けられてしまいました.“お宅でもそろそ
ろビデオはどうですか?”→ “どう見てもお前はビデオも買えない貧乏人だ”と言わ
れたようで,腹が立ってしまいました.正しく見透かされたことが不愉快だったんです
ね.“それ程のことなのかなぁ”と思われるかも知れませんが,人の心の動きというも
のは難しいもの.因みに,その時一緒に居たモモママも,このことをしっかり覚えて
いましたので,あの店員は結構多くの人を怒らせていたのかも知れません.そのせ
いだけではないと思いますが,スーパーDのこの店はしっかり潰れました(2006.10.
19 スーパーDの心掛け).
さて,本題.あれれ,また前置きがこんなに長く・・・.困ったことです.毎度で申し訳
ありませんが,続きは次回ということに.
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