
あれやこれや
前置きを書いている内に更にその話題からそれてしまいました.今日は,犬ではなく
熱帯魚の餌の話.
世界中の熱帯魚の餌で最もよく売れているのはテトラミンでしょう.何処のマーケット
でも売られている黄色いプラスチックの円筒型容器に入ったフレーク状の餌です.
今や安い熱帯魚の餌の代名詞.ところが,熱帯魚を飼い始めた頃(昭和34,5年頃)
は日本では売られていませんでした.当時の標準的な餌は乾燥ミジンコ.商品名「タ
ベール」とか「ヨクタベル」という情けないネーミングで小型のマヨネーズ瓶のような容
器に入っていました.東京水族館のような大きな店では例外的に外国製の目先の
変わった餌も手に入ることがありました.その目玉の一つがテトラミン.大量には輸
入して居らず,やっと買えた小さな容器(当時から茶色の蓋で黄色のプラスチックは
変わらず)のテトラミンを何日かに1回くらいの頻度で魚に恩を着せながら(?)与え
たものでした.つまり憧れのテトラミンだったのです.前にどこかで書いたことがあり
ますが物の値段って不思議ですよね.何(十)年経っても殆ど変わらないものもあれ
ば,極端に(ほぼ人件費に連動して)高くなるものもあります.熱帯魚関係の値段は
変わらない代表.むしろテトラミンは昔の半値位になっているかも知れません.少年
サンデーが30円,子供のバス代が5円の時代に,今なら300円位で買える小瓶が500
円ですよ.憧れだったのも無理はないというもの.
ところでその後,チャーミーというテトラミンのそっくりさんが出ました.その前にビタ
シュリンプというのもありました.細かい顆粒状で,強烈なおぞましいエビの匂いがし
ます.エンゼルフィッシュなど何匹かの魚たちが餌をつつく画面が大写しになり,“パ
ッパ,パッパ,おさかなが喜ぶビタシュリンプ〜〜”というテレビでは極めて珍しい魚
の餌のコマーシャルが流れました.魚にはエビ臭さが堪らないのでしょう.安いのに
良く食べてくれましたが,直ぐに沈んで砂利の隙間に入り,あっという間に腐ってしま
います.だからほんの少しずつ食べる速度を見計らいながら与えねばならず結構面
倒.結局,高価でも使いやすいテトラミンが当家の魚の主食でした.この頃は大分
貨幣価値も上がって,テトラミンも憧れレベルではなくなっていました.昭和40年代だ
ったでしょうか.
相対的に安くなったとはいっても手に入り難いテトラミンに代わって,そっくりさんの
国産品チャーミーが売り出されました.色が白っぽかった以外は容器の大きさ,形も
そっくり.中身もそっくり.赤,黄,緑などの径5mm〜1cmくらいのフレーク.見かけが
似ているから味も似たようなものか.ところが魚は(犬も)正直.人はだませても魚は
だませません.見向きもしないのです.結局は一瓶丸ごと捨てる羽目になってしまい
ました.このチャーミーのメーカーもVOと同じようにその後改良したのか,今でも同じ
ような名前の餌が売られていますので,後継品なのかどうかも知りません.テトラミ
ンを食べたことのない魚ならば,騙されて食べるかも知れませんものね.
今朝,テレビで段ボール入りの肉まんを1年間も食べ続けた北京に住む中国人が怒
っていました.“あれは実に不味かったし,よく腹をこわしたよ”と.私は食べ続ける
方が不思議だと思うのですが.あの人が魚ならチャーミー,犬ならVOを平気で食べ
る人なんでしょう.
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