
あれやこれや
空の大怪獣ラドンという巨大肉食翼竜が主人公の映画がありました(2006.7.6 地底
での恐怖).モデルである本物のプテラノドンを見たことのある方は滅多に居ないと
思います.もう一つ全然関係のないラドンがあります.有名なラドン温泉のラドン.こ
れも見たことのある方は少ないはずです.このラドンは空気のような気体なのですか
ら見るのは大変です.量だってほんの僅か,あるかないか.ただ,こちらのラドンは
空の大怪獣以上に怖ろしいかも知れない.“かも知れない”が付くのは怖ろしいかど
うかは今のところ推測でしかないからです.薬効が有るのか無いのか分かりません
が,ラドン温泉というくらいですので,普通の意味では怖ろしくなんかはなさそうです.

空の大怪獣ラドン(CS放送より) 地底の恐怖ラドン(見えない)
今回の新潟地震でも大騒ぎですが,壊れた原発からの放射能(正確には放射性物
質)漏れ.漏れた放射能がどれほど危険かという議論はちょっとヨッコ.量的な問題
こそあれ我々の生きている環境は様々な放射線に曝されてます.火山,温泉,地熱
は皆同根で,地球が本来持つ放射性物質の壊変による核エネルギーの変化した
姿.そして地底からの放射能漏れであるラドンガスは放射線を出しながら別の放射
性物質である鉛等に変わります.つまりラドン温泉のラドンは地殻の活動原因でも
ある地球的な核反応のおこぼれなのです.そして厄介なことに放射性なのです.ちょ
っと理屈っぽい話ですが,半減期という言葉があります.反応によって存在量が半
分にまで減るのにどれほど時間が掛かるかということ.だから半減期が長いものは
ゆっくり反応するので安定で,その逆に短い物はあっという間に反応してしまう.有
名なウラン238は45億年もかけてやっと半量が反応するのに対し,今日の主人公ラ
ドン222の半減期はたったの4日弱です.ウランは半減期が長く穏やかに燃え,制御
しやすいのに対し,ラドンはあっという間に強烈な放射線を出し中間生成物を経て鉛
に変わってしまいます.ということは,我々の回りにはラドン由来の放射線が充ち満
ちている.普通に生活をしている時に我々が受ける自然放射線の半分はラドン由来
と言われているほどなのです.それでも量的には微弱なので,桁違いに危険なタバ
コによる肺障害や交通事故を心配しても自然放射線の危険は心配する必要ないの
です.それどころか,根拠があるのかどうか怪しいものですが,微弱な放射線は体
に良いという説もある位ですし,少なくとも生物の進化の上では多大な(好)影響が
あったことは想像がつきます.だから,それほど怖がるどころか有り難いものかも知
れないのです.
ここで,ちょっとだけ問題が.日本では殆ど話題になりませんが,ヨーロッパ,特に北
欧では本気になって地下室のラドンが懸念されているそうです.換気の悪い地下室
にはラドンが溜まり易い.溜まったラドンは半減に4日かけて放射性の鉛微粒子に変
わり何らかの浮遊粉塵のような物に付着する.つまり放射性のゴミのできあがり.こ
のゴミは放射線を出しながら22日の半減期で更に別の放射性ビスマスやポロニウ
ムに変わるという具合です.だから地下のよどんだ空気やその中にあるホコリは怖
いという話.繰り返しますが,これは推定の話で実証がある訳ではありませんが,肺
癌の半分はラドン由来だ等との計算結果を示す人もいるほどです.
信じる信じないは勝手ですが,何れにしてもラドンが怖ければ飛行機に乗るのは止
めましょう?
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