あれやこれや

2007年08月09日
上方確認・・・よし(大森1)


またボツ作品を作ってしまいました.万博の思い出とそれにまつわる話です.で,こ
の話はもう少し涼しくなり躁状態が正常になって攻撃性が緩和されてから書き直すこ
とにして,今回は予定を変更して別の話です.

先日,出張先で時間が余ったので,幼い頃を過ごした土地(大田区大森)をちょっと
見てきました.20分ほど街を歩いただけですので大した収穫はありませんでしたが,
後日,もう一度ゆっくり見てきたいと思います.大森駅からJRに沿って柳本(やなぎ
ほん)通りを横浜方面に向かって歩くと直ぐ左側にJR線路をくぐる小さなガードがあ
ります.この土地に住んでいた小学生の頃,このガード下をどうしても通ることがで
きず,線路の向こうへ行く時はいつも遠回りして踏切を渡らねばなりませんでした.

その踏切の手前には小さな模型屋さんがあり,この店で模型用モーターを買い,蒲
鉾板に扇風機を組み立てたり,鉱石ラジオ(昔はこういう物があったんです)のキット
を買ったことを思い出しました.当時,模型用の小型モーターは貴重品でちょっと大
きめのものは100円以上もしました.私はそんなものは買えませんので多分80円位
の最も安い物を使いました.100円以上のは両側に永久磁石があり立派なボール紙
の箱に入っていて,如何にも格好が良く,憧れの品物でした.東京科学工業という会
社の製品でTKKというマークが付いていました.こんな子供騙しのようなオモチャを
作っていたこの会社が後年,世界のマブチに成長するとは,その頃は思いも及ばな
いことです.この日は時間が無くて残念ながら模型店の存続を確認してくることはで
きませんでした.

さて,何故ガードをくぐれなかったか? 話は更にずっと遡ります.小学校入学前.札
幌に住んでいた頃です.当時の札幌の交通手段は路面を走る市電のみ.50年以上
も昔の話ですので,車体は木造板張り.木造ですので当然のことながら釘やボルト
で構成されています.そして信じがたいことなのですが,この車体を支えているはず
の巨大な釘やボルトがしばしば抜け落ちて線路上に落ちていたのです.子供達は拾
ってオモチャにして遊んだものでした.それらの落下物の中で特に多かったのが鎹
(かすがい).ホッチキスの針の巨大版です.木材を繋ぐ時などに使われるコの字型
の一種の釘ですね.あれを走っている内にいつの間にか落とす.何度も拾いました
ので,かなり高い確率であれが外れるものだと思っていました.電車は激しく揺れま
すのでだんだん緩んできて抜けるのも無理からぬこと.・・・と子供が信じるのもまた
無理からぬこと.今,考えるとあれは電車の車体ではなく枕木から外れたのかも知
れませんね.でも,その頃の私は電車が鎹を落とすのは普通のことなんだと決めて
かかっていました.

そして大森の例のガード.今のガードは違うと思いますが,当時のガードはスケス
ケ.枕木の間から電車の底が見えたのです.ということはガード下をくぐっている間
に電車が来たらあの20cmもある鉄の塊である鎹を落とすかも知れない.いや私は
運が悪いから落とすに違いない.あんな物が上から落ちてくることが分かっていなが
らその下を通れますか?少なくとも私にはそんな勇気はありません.そして,50年経
った今でも,例えコンクリートで固められたガード下を通る時でさえ,つい上を見て安
全確認する習慣が未だに抜けきらないのです.“上方確認・・・よし”.






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